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画家・ペーの日記
2023年4月11日 23:48
私はいつも誰かの心を想っている散歩すればあの人の表情を思い出して笑ってしまいお風呂にはいっていたらあの人の言葉を思い出して悲しくなるご飯を食べていればあの人のことを心配し珈琲を飲めばあの子のことを愛おしく思う私の心はどこへやら頭を空っぽにして誰もいない部屋で私は一人になってただぼんやりと 外を見ている木々の木漏れ日愛犬の寝息光のかがやき風は揺れ動きふ
2023年3月19日 00:35
「一週間」過去と未来が通り過ぎていた。それは誰もいないホームで目の前を圧倒的に通り過ぎる長い車両の特急列車。灰色の光の帯。轟音。歪んだ、時間という概念。まだ、続く。どこまでも走り過ぎる列車。影を追うことさえ出来ない。1日経ち、2日経ち、まだまだ列車は走っている。3日目。目が慣れてきたのか窓の輪郭がなんとなく見えてくる4日目。人影が見える。5日目。乗
2023年3月14日 10:37
遥か1万m上空から見えるのは漆黒に染まる故郷の大地と汚れなき群青色の空 そしてそれらを遮る真っ直ぐな夕焼けの炎思い起こせば実に長い間いつも二つの色が心の内に在って決して交わることがなかった恩讐の彼方に二十一年の歳月をかけて洞穴を貫通させた市九郎と実之助の一振の槌の力は目の前に在る夕焼けの炎を想わせるそれは祈りそれは懺悔それは数奇な親子の縁ほら
2022年12月30日 21:38
作者のオーリア・マウンテン・ドリーマーは、アメリカ先住民の文化に詳しいカナダ人女性だそうです。20年前の詩が多くの心を揺さぶり続けています。ーーーあなたの職業が何であるかは、私には興味がありません。私が知りたいのは――、あなたがどんなことを心から望んでいて、その願いが叶うことを夢見ているかどうかです。あなたの年齢がいくつなのか、私には興味がありません。私が知りたいのは――、あなたが愛
2022年9月27日 10:27
一羽のカラスが走る怪物に飛び込んだたくさんの怒りを道連れにして哀れなカラス甘美なささやきに取り込まれ旅立てど もはや 道はなく
2022年7月3日 08:40
大昔、生き物たちはそれぞれに自分の気に入らない色を持っていました。ある時、白い鳥がそれらの色を1つづつ引き受けましょうと名乗り出ました。木々は、朽ちゆく茶色をわたしました。空は、どんよりとした灰色雨は、不透明な青ゾウは、病に侵された皮膚の緑キリンは、抜け落ちた毛の黄色魚は、剥がれた鱗の銀・・そのほかにも、あらゆる色を引き受けたその鳥は、真っ黒な姿になっていました。
2022年7月15日 09:56
骨そこには動物たちがいたただし、全て骨だった生前の躍動感そのままに空洞の眼差しは虚空の闇を睨んでいるあるものは脅威から飛び立とうとしているあるものは安寧な世界で食しようとしているそれら生き物としての成り立ちを支えている圧倒的な神の所業美しきフォルム進化を重ね多様性を生み生き物はその宿命を全うするべき役目を負ったそこに心を見出そうとするのは人間がもっ
2022年2月15日 11:19
白き世界あいまいでかつて愛した人ももはやどこにも見当たらず無といえばそうかもしれぬ命という手応えすらもこぼれ落ちるように何もない白き世界包み込まれて気分は悪くないそれもまた消えゆくものとしてかつて信じていたものを思い出せずただわかるという感覚だけ再び眠りにつけばこれでほんとのおしまいさようならわたしの日々ありがとう(白き世界・了)