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理想をいくつか散りばめて、今を生きてみればいい

20190718

食べかけのココナツサンドが湿気っている。わたしが留守のあいだ、猫が舐めたのか?と訝しんでしまうほど、ふにゃりと情けなく湿気っている。

今朝、ふと、本棚から選った本から、一枚のレシートがはらりと落ちた。

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2016年1月4日(木)No1
文庫 ¥605
合計 ¥605
(うち消費税 ¥45)
お預かり ¥610
お釣り ¥5

点数 1
ありがとうございます!
またのご来店をおまちしております
5156 12時13分

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3年半前。赤坂の書店で、かつて新品だったそれが定価で買われたことを示していた。わたしが受け取ったレシートではない。この本を、わたしより前に手にした人のものだ。

このように、これからもきっと出会うことはない、しらない誰かの息吹を感じることがある。特に、古書店から連れ出した本ではしょっちゅうだ。生々しさを含んだそういう本も、わたしは悪くないとおもう。

そのレシートを受け取った人の顔や、性別、好きな色とか好きな食べ物、今の消息さえしらないけど、この本を、手にしたことはしっている。同じ本を、手にしている。不思議な感覚に陥る。

気楽な木曜日の夜だ。いまのわたしは、月曜日から連なる4日間をくりかえし働いていて、だから今日はわたしの「キンヨウビ」である。

酒をのむと疲れを感じるようになってから、自然とアルコールに頼らなくなった。自宅でプルタブを勢いよく引くこともない。それでも酒は好きだけど、どういうわけか、ひとりでのむほどの楽しさは無くなってしまったし、どうせなら好きな人と飲む酒に甘えたいとおもう。

怠惰な時にのむ酒は、自分をだましだましすっからかんにするための、最も手っ取り早い道具だ。本当に癒されるわけでも、何かが解決するわけでもない。それでなにかが解決していたのならば、わたしは今、つめたいキッチンの床で仰向けになんかなっていない。

華金の電車を避けるようになって、ずいぶんと楽になった。それにわたしも、避けられる理由になるのをやめた。

通勤定期がそろそろ切れるよ、と改札が教えてくれている。

4月、なんだかよくわからないまま、なりゆきでライターの仕事をしはじめた。わたしはたまに、ものすごく意欲的な瞬間がある。あの時は春がそうさせた。でも根底は自信なくて、半年でなく3ヶ月分の定期にしたんだったね。

いまの生活は、ゆるっとしていて、後輩に、そういう生き方が理想だといわれた。え〜〜うん、とてもいいよ、お金は無いけどね安らぎはあるよとわたしはこたえた。理想がわたしの目の前にある。理想の朝や、夜がある。

死のうと思っていたんだよねふとめの縄まで買ってさ、なんて冗談みたく笑っても、君のそれが冗談じゃないことくらいわかる。おなじせかいで立とうとしたわたしたちだ。痛い。痛かったよね。大好きなそのへらっとした笑い方が、余計にどくどくと不安にさせた。

君も、春のわたしみたいに、あたらしい生活がはじまるらしい。ゆるっとでいいからさ、今は、今を生きてこうねと言った。

aoiasa


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青い朝
最後までありがとうございました。 〈ねむれない夜を越え、何度もむかえた青い朝〉 そんな忘れぬ朝のため、文章を書き続けています。わたしのために並べたことばが、誰かの、ちょっとした救いや、安らぎになればうれしい。 なんでもない日々の生活を、どうか愛せますように。 aoiasa