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雑談はオンライン授業の大切なマクラ。10年熟成の寝る授業と寝ない授業を分ける雑談。

授業中に雑談は必要なのか、不要なのか。
家庭教師という「勉強を教える」がメインの職業では意見が分かれるところ。

オンライン家庭教師おおすみの答えはちょっとずるいけど、

「相手による」

けど、考えてみたらオンラインになってから雑談の量をけっこう増やしました

元々私は授業中の雑談を割とすぐ「そろそろやるよ〜」とする方。その分、科目の内容を楽しくできないかを考えます。しかしオンラインで活動していく中で変わっていきました。

今日は、
・オンラインで雑談を増やした理由
・どんな雑談をするの?

を言葉にしてみます。


<オンラインレッスンで雑談を増やした理由>


これは2つ。
”集中を持続させる”
”体調等の様子を知る”ため。

共通している理由としてオンライン授業で1番難しく感じている、

空気を共有できないこと。


▪︎授業をよくする”空気感”


やっぱり、その場に一緒にいると言葉以上に共有できるものが多い。その力が授業自体や生徒たちに影響を与えてくれる。

だから集団授業ではよく喋るけれど、
個別授業では”いかに喋らないか”を目標に、
いつどんな言葉を発するべきか、を選んで空気感を作るよう心掛けていた。
ずっとその”空気感”を大切にしてきました。

オンライン授業ではびっくりするほどそれが作れなくて苦戦しました。
こちらが黙ってしまえば、そこにあるのはただPCと気まずい沈黙だったのです。
生徒の注意もすぐにどこかへ行ってしまう。
「こんなにも集中が切れやすいのか」と最初苦戦しました。この辺はまた細かく言葉にします。

集中力が切れやすいということは眠くなりやすいということ。
個別で寝れないだろう、はそうですが、眠くなるのは個別でも同じ。
しかも”顔色”等の判断が難しいから体調が悪そうでも気付けない。体調が悪ければ更に集中できなくてあたり前。

最初は全然思う様な授業ができませんでした。

▪︎試行錯誤の末の雑談


そこから色々対策をしてきました。
その一つが雑談を増やしたこと

特に眠そう、集中できてなさそうな時にオンラインだと対処する術が本当に少ない。画面の向こうから話しかけることしかできない。

相手からもらえる情報も、画面に見えることと声がほぼ全て。

なので積極的に雑談する様になりました。

喋ることで、意識をPCに向けて、思考や、言葉で表しきれない、細かいところが共有できる。
話してくれることで相手のことも伝わり、お互いに言葉にしていくことで、やっと授業の”空気感”ができる。今はそう思えます。

(もちろん喋るのが苦手な子には、無理に喋らなくても大丈夫な授業でやっています。まあ先生が喋る量が増えるんですね…。笑ってくれればオールOK)

じゃあどんな雑談をするのか。

それは毎度お馴染み前提から
整理させてください。
(周りくどい?)


<授業中の眠気原因分析おおすみ版>


授業中に集中できない、眠い原因はいくつかあると思います。
一旦、”集中できない”の進化系を”眠い”としてまとめて”眠い”で書いていきます。

体調的な原因からくる眠気は、
正直、先生側からは助けてあげるのは難しい。
先生側から助けられる要因は

・部屋の酸素濃度(薄いと眠い)
・部屋の気温(高いと眠い)
・授業の内容(今日はココについて)

パッと浮かぶのはこの辺りです。
今日は3つ目がメインですが、個人的には上2つも結構大事。
暖房ガンガンの塾の教室とか、「そりゃ寝る。」と思います。

さらに一般的な知識として、

授業が始まる5分前までは眠くないのに、授業中になると突然眠気に襲われてしまう。この時、脳の中では覚醒を導くオレキシンという神経伝達物質の分泌が少なくなり、脳が働きにくくなっている可能性があります。脳は理解できない情報に対して働きづらく、解釈するための脳機能がうまく使えない状態に陥りやすいのです。…反対に授業が自分の知りたいことや、学びたいことであると脳からはノルアドレナリンやドーパミンという興奮性の神経伝達物質が分泌され、覚醒しやすくなります
(Town workがこの記事を作っているのがちょっと興味深かい。上記の後に続く部分については私としては賛否は置いときます。)

https://townwork.net/magazine/life/121653/

つまり、皆さんおなじみ、

理解できない  眠い
知りたい  覚醒

が基本的な理由。

ここにおおすみ版では

「脳は生活に必要性を感じないものから忘れていく」
「知識のつながりを作ることで忘れにくくなる」

の知識を混ぜ込んで考えます。

すると、眠くなる理由は、

眠い

授業がつまらない

言われていることが理解できない

内容の必要性がわからない

自分が知っている事とつながらない

こうなります。

シンプルにすると
つまらない = 何ともつながらない
となります。

これを原因と考えます。

<眠くならないためには?>


なので眠くならないためには、
原因を逆手に取って考えます。

知識を知りたいと思えればいい。
知識が自分の知っていること、知りたいことと繋がればればいい。

ということです。

つまりポイントは授業中に
「あ、それは知ってる!」
「あーあれってそういうことだったのね」
をいくつ散りばめられるか。だと思います。

「いやいや、今から習うのに、知ってる!なんてならんでしょ」
と聞こえますが。

そこが腕の見せ所かなあと。
雑談や、相手について自分が知っていることから、いかに次に話す内容を相手の知っていることと繋げられるか。ここが大切。

知ってることや体験したこととのつながりが見える事で知りたい(気になる)という気持ちを半強制的に作り出す。ということです。

このために大切になるのが、雑談。
普段からお互いのことを知っていれば、
「この例えは伝わりやすい」
「これはわかりにくいからなんか近い経験がないか聞いてみよう」
「なかったら簡単なストーリーを作ろう」
そうして経験や知識を元に、新しいの内容と繋げながら、進めていく。
こうしてオーダメイドされた授業であればよほど寝ることはないと思います。

(体調的に眠くなってしまうのは体調的に対処するしかありません。手を洗うとかちょっと寝るとか、チョコを食べる等)

だから、お互いに情報量の少ないオンラインこそ雑談が重要だと感じます。


<どんな雑談をするのか>


どんな授業の内容が雑談しやすいか、
少しリストにしてみます。

▷科目との関連
・国語の言葉のイメージ、内容(国語は雑談の宝庫すぎる)
・英語のフレーズ(実際に使う場面)
・数学の実用法(関数や図形は特にしやすい)
・理科の現象や理論の実用(化学反応や力学の方が私は雑談しやすい(生物系苦手))
・社会は言わずもがな(ちょっとググったらネタの宝庫)

▶︎自分でストーリーを作る時
自分の経験や小説、映画、から拝借する。
「こういうシーンみたことない?」
「あるある」(「ない」の場合は上に戻り「ある」になるまで繰り返す)

▷相手が身体的に疲れていそうな時
情報量を少なくするけど、言葉を増やして、具体例などイメージしやすいものを多用する。少しでも脳が簡単に理解できる様にする。
(簡単に理解できると忘れやすいという欠点があるかも)
時には、思い切って唐突に「今日はなにがあったん?」と聞く。
ちょっとびっくりして目が覚めてくれます。
その後しばらく雑談して、授業に戻ったり。

そんな風に授業に緩急をつけます。


<おわりに:雑談は眠らないマクラ>

▪︎落語の枕

話の最高峰の芸術といえば「落語」
その落語には大切な”マクラ”が存在しますね。
その存在価値は以下だと言われています。

マクラは観客に自然に落語に入ってもらう役割を果たします。
枕で観客の気持ちを解すと共に反応を探り、その日の観客に会う演目を決めて本題に入ります。落ちや本題の展開に重要な語でわかりにくい言葉をさりげなく説明したりするのにも枕が使われます。

https://www2.ntj.jac.go.jp/dglib/contents/learn/edc20/geino/rakugo/tokucyo1.html

マクラによって
観客の心の準備、身体の準備、頭の準備をして
これから起こる事柄の価値を最高にする。

マクラがあるからこそ、時代が違う落語でも楽しく聞ける。知らない内容でも知ってることの様に楽しめる。

まさに授業における”雑談”は落語における”マクラ”です。

決して無駄なものではなく、授業の価値を高めるものとして、特に「オンラインでコミュニケーションがうまくいかない」と思っている方はむしろ喋らなさ過ぎかもしれません。

ちょっと増やしてみてください。
きっと授業がしやすくなったり、生徒さんの成績があがったり、すると思います。

また私の雑談ネタは読書によって培われています。
そんな読書についてのおすすめ記事です。

今日も雑談が、よりよくどこかで使われていきます様に。

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駄文をご拝読いただき、ありがとうございます。
また次回、宜しくお願いいたします。

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