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読書まとめ『バナナの魅力を100文字で伝えてください』→「やさしさ」が、あなたを伝え上手にする

『バナナの魅力を100文字で伝えてください 誰でも身につく36の伝わる法則』柿内 尚文


一言で言うと

「やさしさ」が、あなたを伝え上手にする



概要

編集者が教える、文章・伝え方の本です。仕事でもnoteでも、文章を書いて人に何かを伝えることは必須のスキル。レベルアップを図りたいと思い、読んでみました。昨年11月に高橋ひろあきさんの記事を見て興味を持ち、図書館で予約したんですが、コメントしてたとおりホントに半年待ちました。だいぶ熟したバナナです。


「一言で言うと」に書いたとおり、相手に伝わる文章を作るために最重要なのは、相手に対する「やさしさ」だと感じました。すぐに使えるいろいろなテクニックも紹介されていますが、それらの根底には、相手の理解を助けようとする配慮が不可欠です。

また、本書の印象的なタイトルも、伝え方の工夫が凝らされている、まさに名文だと思いました。タイトルに込めた工夫も種明かしされており、相手に与える印象をとことん考え抜いた結晶だとわかります。タイトルは、本の顔になる重要パーツ。プロの編集者は、ここまで深く考えて作っているんだな、と脱帽しました。

本稿では、伝わる技術を身につける上で欠かせない「やさしさ」を、3つの観点で紹介します。



① 伝わらないのが普通だと認識する

人それぞれ、知識も経験も育った環境も違います。だから、相手に自分の考えが伝わることは、簡単ではありません。例えば、「夕陽」という言葉から想像するイメージは、都会的なのか自然豊かなのか、静かなのか賑やかなのか、人それぞれ違います。ひとつの単語で相手がイメージするモノは、自分がイメージしているモノとは異なる、つまり伝わっていないと考える必要があります。

伝わらないのが普通だと認識していれば、たとえ一度で伝わらなくても、怒ったり諦めたりすることがなくなります。どこが伝わっていないかを明らかにしたり、根気よく伝える努力をしたりもできますね。一方、怒っている人の言葉はますます伝わらなくなります。人間は論理だけでなく感情にも左右されるので、やさしくない人の言葉には自然と抵抗感が生まれてしまうものです。

伝わらないのが普通ということは、言わなくてもわかる、なんてことはありえないですよね。本書では、仕事でも家庭でも、トラブルの多くは「伝えていない」ことが原因だと論じられています。仕事に限らず、家族や親しい間柄であっても、報連相はやはり重要。私も、コミュニケーション不足で妻とトラブルになることがあるので、仕事と同じくらいの気持ちで報連相をせねばと思いました。



② 相手の頭の中を想像する

相手に伝わるようにするには、相手ベースで考える必要があります。相手にとってのメリットを考え、それを伝えるようにするのがやさしさです。長女と一緒にアンパンマンを見ていると、時々「○○は世界一おいしい食べ物だ!パンなんかいいから、○○を食え!」みたいなスタンスのゲストキャラクターが出てくることがあります。なんやかんやあって丸く収まるのがアンパンマンの世界ですが、こんな感じの自分ベースなキャラクターになっていないか内省しなければ、と思わされます。

シンプルながら効果がありそうなのは、相手の知識や経験に合わせて、言葉を選ぶことでしょう。例えば、ソムリエがワインのおいしさを伝えるとき。ソムリエ同士での会話で伝わる表現(熱した小石のような匂い、とか言ったりするんです)と、ワインに詳しくないお客さんに伝わる表現は、まったく別物です。相手の反応を見ながら、相手に正しく伝わる言葉を使えているかを考えるやさしさが必要ですね。

相手の頭の中のストーリーをあえて裏切る、という高等テクニックもあります。著者が取材のときに気をつけていることとして、取材相手がスラスラ話したままで終えない、という考えがあるそうです。テーマを広げる・深める質問を投げかけて、「こんな話をするなんて思っていなかった」と相手に言わしめたら大成功。相手の頭の中のストーリーを想像した上で、予定調和に陥らないように質問を工夫することで、相手に新しい発見を与えることができます。



③ 視える化して、自分ゴトにさせる

伝わった状態とは、相手にとっての「自分ゴト」にすることだと考えました。伝える行為のほとんどは、相手の行動を促すことを目的としています。他人ゴトではなく自分ゴトにする例として、不法投棄禁止の看板に「不法投棄した5人に不幸が訪れました」と書かれていたらどうでしょうか。不法投棄しようとする人に対して、不幸になった人をイメージさせ、自分ゴトにさせる効果がありそうですよね。

人間、目に見えなければ実感しにくいものです。目に見えるモノに具現化されることで、初めて「あ、自分はこれが欲しかったんだ」と自分ゴトになります。人々の潜在的なニーズを具現化することで成功を収めたのが、キーエンスやスティーブ・ジョブズのiPhoneだと言えます。

視える化の方法として、私は図解とローコードツールを活用していくつもりです。図解は、紙とペンさえあれば作れる手軽さと、趣味でも仕事でも使える汎用性の高さが魅力。ローコードツールは、見るだけでなく実際に触れるものを作れるところがメリットです。『ノーコードシフト』でも、アプリをすぐに作ったので承認が早かった、という例が紹介されていましたね。



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本書をマインド・感情寄りのライティング本と位置付けると、ロジカル・論理寄りのライティング本が『書く技術・伝える技術』かなと思います。



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いつも図書館で本を借りているので、たまには本屋で新刊を買ってインプット・アウトプットします。