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読書まとめ『キーエンス解剖』→普通のことをガチでやってるヤツ、最強

『キーエンス解剖 最強企業のメカニズム』西岡 杏


一言で言うと

普通のことをガチでやってるヤツ、最強



概要

時価総額国内2位のキーエンスの秘密に迫った本です。育休明けで職務内容が変わって、営業的な動きが求められるようになることもあり、読んでみました。

キーエンスは、徹底的な合理主義を貫く企業というイメージです。1分刻みのスケジュール報告、白シャツ以外禁止、接待や贈答品の授受禁止などの独特な社内ルールがあるらしい…とネット記事で見かけ、興味を持っていました。

本書で明かされるキーエンスの手法は、意外なほど普通です。ただ、それらの密度が濃い・解像度が細かいのが特徴だと言えます。主だったところをまとめると、下記のとおり。

データ経営:
1分単位で報告してデータ蓄積
・情報共有で属人化させない
・データどおりの行動をしているか監査
スピード:
・データをもとに即連絡
利益より納品スピード(即納)を優先
・営業ロープレを繰り返して迅速・正確な応答
ニーズ把握:
・手厚いフォローで距離を縮める
・顧客キーマンの動向を共有
・顧客がほしいと言ったものは作らない(真のニーズではないから)

普通の手法で高い成果を上げているのは、普通の手法を徹底してやりきる仕組みが整っているからだと感じました。先述の社内ルールも、属人化や個人によるブレを極力減らして、行動と成果の関連性を明確化するための手法だと考えられます。

本稿では、キーエンスの数多くの手法の中から、自分の仕事に取り入れることを3つに絞って共有します。参考にしたい手法・仕組みが数多く紹介されていて語り尽くせないので、ぜひ本書を読んでみてほしいです。(推薦図書のタグを毎回つけてるけど、推薦してる本とそうでない本がありますね…)



① データ経営:「可視化できる行動」で複数のKPI

キーエンスの仕組みの根幹にあるのは、行動の可視化だと感じました。1分単位の外出報告をはじめとして、電話や商談の回数など、キーエンスは行動を可視化することが文化として定着しているとのことです。

行動を定量的なデータとして蓄積することで、どの行動が成果につながるかを分析できます。そういった行動をKPIとして設定して取り組んでいるので、「がんばりどころを間違える」ようなことが避けられるわけですね。

KPI設定のポイントは「やれば確実にできるもの」を選ぶことだと感じました。他者に左右されず、自分が行動したかしなかったかだけが影響するものですね。例えば、noteの投稿にKPIを設定するならこんな感じでしょうか。

○ 他者に左右されない
 ・毎日投稿する!
 ・週1回誰かにコメントする!
 ・1か月で(自分が)フォローを100人増やす!

△ 他者に左右される
 ・公式のオススメに選ばれる!
 ・週1回誰かの記事で紹介してもらう!
 ・1か月で(自分への)フォロワーを100人増やす!

KPIを複数設定することで、多面的に分析できるようになるのも重要です。目標達成に影響を与える指標は、基本的にはひとつだけではなく、いろいろな指標が複合していることがほとんどです。複数のKPIがあることで、例えば先月はイマイチだったけど今月はよかった!といった状況に対して、先月と今月の各KPIを比較して、どのKPIの影響が大きいかを考えることができます。



② スピード:ローコードで今すぐ可視化

キーエンスの「即納」「デモ機で実演」の考え方は、ローコードツールとの親和性が高いです。顧客の課題解決案の試作品を、ローコードツールを使ってその場で作って実演する、といったアクションが取れれば理想的です。ローコードで御社のビジネスを加速させます!とか謳うなら、試作品もスピード感を持って提供できないと説得力がありませんからね。少なくとも、大まかな設計図や時間の見積もりを翌日には共有する、くらいの感覚は持っておきたいと思います。

※同じようなことを「対面開発」としてサービス化している事例もあるようです。

所要時間の実績データや、使いまわせるパーツの蓄積が、ローコードツールで即納を実現するための助けになります。過去の実績を蓄積・共有して活かす点では、データ経営ともつながってきますね。

また、実物を見せることは、真のニーズを可視化することでもあります。本書では「デパートで化粧品をお客さんに試してもらうことと同じ」と表現されていました。顧客自身が気づいていない真のニーズを読み取り、実物として即納して見せることができないか、試行錯誤していきます。



③ ニーズ把握:目的や真のニーズを問い続ける

目的に突き進む姿勢がブレないのがキーエンスの強みだと言えます。時間をかけて何かをやる以上、なんとなくではやらない。一例として、著者がキーエンスの広報担当者と取材の調整をしたとき、取材の趣旨や質問の目的を細かくヒアリングされたそうです。また、「会社を永続させる」という最上位の目的のために、創業時の商品である自動線材切断機から撤退するなど、目的に沿わなければやめる決断も。目的に沿った行動かどうかを見極め続ける姿勢は、見習わなければと思います。

解決策の提示だけでなく、問題点の発見も、キーエンスが提供している価値だと感じました。「コンサルティング営業」「顧客が欲しいというものはつくらない」という言葉にも表れています。顧客から依頼された仕事だけではなく、自分から問題点を見つけて、その解決策を提示する。そういった真のニーズを深掘り・先回りする姿勢が、キーエンスの信頼感を作っていると考えました。

ただ、現状の私の仕事では、顧客の真のニーズに近づくために私が取るべき「可視化できる行動」が定まっていない状態です。まずはこれを探るために、あらゆる行動を可視化することから始めないといけないのかなと思っています。

ちなみに、この考え方は仕事に限らず、子育てや人間関係にも応用が利きそうな気がしました。テレビが見たい→なにか刺激がほしい、とか。子ども相手でも気を抜かずに、真のニーズを考えるクセをつけていきたいですね。



以前の図解で取り上げたフラットな社風も、合理性を追究した結果なのかなと。後輩でも「さん」付け、肩書きで呼ばない、会議室の座席は入った順など。



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いつも図書館で本を借りているので、たまには本屋で新刊を買ってインプット・アウトプットします。