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日記・83:一寸先は二子にこ笑顔

お盆が明けると、子供達が楽しみにしていた町内花火大会だ。

夕方5時より、ビンゴ大会やカラオケ発表会、婦人会の踊りや地元の小学生によるダンス、中学生の演奏会など、いろんな催し物が行われる。

屋台もたくさん並び、久しぶりに帰省してきた友達同士で食事や会話をみんなが楽しんでいる。

瞬と若菜もお小遣いをもらい、友達と金魚すくいをしてみたり、クジをひいたり、フライドポテトを食べたり、汗びっしょりになってはしゃぎ回っている。

家から近いこともあり、自分もクラスが一緒のお父さん、お母さん達と、焼きイカなんか食べながらビールを飲んだ。

自分が小さい時から変わらない花火大会である。
前日までの二日間は、盆踊りが行われる。
暑い中のイベントだけど、大切な行事であり、子供にとってはかけがえのない夏休みを代表する楽しみである。

やがて周りが暗くなると、花火の打ち上げだ!

「パパー!」と、瞬と若菜が駆け寄ってくる。

若菜は花火の音が少しだけ怖いらしいので、抱っこすることにして、もう片方で、瞬と手を繋いだ。

ヒューーーー、どどーん・・
ヒューーーーぅぅ
ダダダーーーん!!

夏の夜空に大きなひまわりの花が咲く、
咲く、咲く!

黄金色に、七色に、大きな大きな大輪だ。

ヒュルヒュルヒュルヒュルーー、
ダダダーン、ドドドーン!!

妻も、生前、花火が大好きだった。
お腹が大きかった、夏、一度こっちに帰り、同じように手を繋ぎ、この場所で空を観た。

照れくさいのを我慢して、幸せにするけん、と言ったけど、轟音に消されてその声は仕掛け花火とともに見えなくなった。

妻は、年甲斐もなく大はしゃぎで、始終笑顔だった。ニコニコしていた。

それが幸せで、自分も笑った。


花火を観ると、なぜか勇気と涙が出る。

それはコインの裏と表のようだ。

だから、いい。

ふと、瞬と若菜の顔が、花火の灯りに照らされる。

二人とも、大きな笑顔で嬉しそうだ。

とめどなく打ち上げられる花束も、いつかは終わる。

かと思ったら、

ヒューーーーン、
バラバラバラー、
ドドーーーン!!

おまけだ。

周りから、笑い声が聴こえてくる。

さぁ、また来年も楽しみだ。

暗闇は、よい隠れ場所だ。
涙を隠してくれるから。

そして笑顔も。

それなら、明るい方がいいな。

涙も、鼻垂れ顔も、見られていい。

その分、その何十倍も笑っていこうよ。

「パパ、若菜、線香花火がやりたい」

「いいよ、んじゃ、しんちゃんとかこうちゃん、チーちゃん達も連れておいで」

「パパ、おれも友達連れて来ていい?」

「いいよーー!!」

んんーーーーン、
やっぱり花火とビールは合うなぁ。

何があっても笑っていこう!!

どんどん、どんどん、空に舞え!!

それ、それ!!


 


 

  


私の記事に立ち止まって下さり、ありがとうございます。素晴らしいご縁に感謝です。