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#小説

『スノー・ホワイト』(掌編小説)

『スノー・ホワイト』(掌編小説)

窓の外は一面の雪景色。

線路の連結を車輪が越えてゆくリズムが
いつもなら僕を心地よい眠りに誘う。

今日はまったく眠くならなかった。
彼女に会える嬉しさが覚醒させている。

リュックの中をのぞきこむ。
読みかけの文庫本と携帯音楽プレイヤーがあった。
どちらを手にとろうか迷い、どちらも手にとらなかった。
目的地まであと一時間。
リュックを胸に抱えると、また窓の外に目をやる。
絶え間なく雪が降ってい

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『白い妖精』

『白い妖精』

くだらない人生を過ごしていた彼の元へ
ある日『白い妖精』があらわれました。

白い妖精は彼に告げました。
「願い事をかなえてあげます」
彼は伝えました。
「たくさんの友達をください」

彼にはたくさんの友達ができました。
その日から彼は毎日友達と遊びました。
それは楽しい日々でした。

しかし、彼はくりかえす日々に飽きてしまいました。

そんな彼の元へ『白い妖精』があらわれました。
「願い事をかな

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太宰治の人間失格について

太宰治の人間失格について

―― 恥の多い生涯を送って来ました。
(太宰治・人間失格より引用)

この世は化け物ばかりだと思って生きてきた。
それはそれは恐ろしい世の中だと思ってきたけれど、
自分も化け物の一人だと知ったときの絶望感は
深淵の闇に永遠に落ちていくようなものです。

―― 自分の幸福の観念と、世のすべての人たちの幸福の観念とが、まるで食いちがっているような不安、自分はその不安のために夜々、転輾し、呻吟し、発狂し

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『変装』

『変装』

帽子を目深にかぶる
切りすぎた髪を隠したくて
きみは言う
「髪型、素敵なのに」

サングラスをかける
おどおどした目を隠したくて
きみは言う
「きれいな目、してるのに」

厚手の服を着る
体形を隠したくて
きみは言う
「良い体、してるのに」

心に鍵をかける
弱い自分を隠したくて
きみは言う

「あなたは、誰?」