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“一意性”に恋い焦がれて

起業家という道を経て、今は二作目の出版を目指している橋本なずなです。

本日、とあるメディアさんとの打ち合わせがありました。
春に撮影を含んだ取材が行われるのですが、どんなものを撮るのか、どんなことを語らせていただくのか。事前のミーティングでした。

今回担当していただく記者(?)さんはお若い方で、歳は同じ20代。
育った境遇や興味関心の事柄も近しく、勝手に親近感を感じていました。

『 noteも、本も読ませていただいて・・・ 』
記者さんはそう言って、手元をガサゴソ。私の書籍【10歳で私は穢された 】を、そこに持ってくださっていたように思います。

取材の中でも『 ヤナちゃんさんが… 』『 彼氏さんができたって。えーっと、名前は… 』など、完全読者な視点でお話しされていて、私は思わず頬がほころびました。

取材対象なのだから良くも悪くもチェックするよな、と思いつつ、読まれているとは思っていなかったので( あんなことやこんなことも書いちゃってたな… )と恥ずかしくなりました。


ミーティングの途中、「 母が亡くなってしまった事で性的虐待について和解ができない / 子どもに戻れない 」ということについて、どう思っているかを尋ねられた時。

私が唯一、叶えられなかったこと 】を読んでくださったようで、
私は改めて「 もう二度と、母と向き合えないという事実 」についてお話しをしました。
それ以前は兄のこと、父のこと、普段の活動やお仕事について気丈に話していたのに、母のことになるとやはりこみ上げて来るものは多く…

私は堪えることができず、涙ながらにお話しをしました。

『 すみません、おつらいことを訊いてしまって… 』

記者さんは眉をひそめて言いました。
気を遣わせてしまって申し訳ないなと、つられて私も眉をひそめます。

母の死に関わらず、今でも精神疾患の闘病をしていた時期のこと、自殺未遂を起こした日のこと、性的虐待やビッチだった頃のこと。
自身の過去を語るのは、かなりのHPが消費されるなと思います。

何度取材を受けようとも、どれだけnoteで綴ろうとも、これだけは慣れないものです。

けれど、やはりそこにこそ、私が私である理由。
「 私にしかできないこと 」の可能性を感じています。


【 10歳で私は穢された 】を執筆していた時、担当してくださっていた双葉社の編集長がこんなお言葉を授けてくださいました。

『 橋本なずな、あなたは “生き証人” だから ——— 』

生き証人、その言葉に私は強い使命感を感じました。

これまでの自身の経験を赤裸々に語れる人が、
精神疾患を克服し社会へ復帰できる人が、
自殺を試みたけれど命が助かる人が、
闘病の経過とその後について言葉に起こせる人が、

果たして、どれほど居るだろうか。

しかし、あれもこれも全て、機会を与えてくださる出版社さんや取り上げてくださるメディアさん。
そして、それを見た世間の方々が応援のメッセージを届けてくださるから、続けられていることだなと思います。


私は幼い頃から “一意性” に恋い焦がれていました。

何でも持っていた人気者の兄の陰で、“私だけ” なものが欲しかった。
兄の二番煎じじゃなくって、“私にしかできないこと” をしたかった。

それで色々試みました。歌ったり、躍ったり、演奏したり。
お菓子を作ったこともあったし、服やインテリアのデザインに興味を抱いたこともあります。

そしてもう数えることさえもやめて、何度目かの挑戦となった “起業” 。
それに紐づいた “発信” という活動が、過去の挑戦という花々が枯れ切った乾いた荒野に一凛の花を咲かせたのです。

これまでの経験を、考えや思いを、自身の世界観を発信する。

それが今「 橋本なずなにしかできないこと 」として、
その一意性をより確かなものに確立しようとしている最中です。


記者さんにこんなことを尋ねられました。
『 発信していて、つらいなと思うことは無いんですか? 』

——— 「 つらいほうが勝るなら、とっくに辞めていると思います 」

私は今日一番の笑顔で、そう答えました。

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