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小説集

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#短編小説

マクベス実験No.68

そして、・物語が始まる。
私が「音楽」と述べた時に(因果の流れ)君の世界には音楽="彼,queは一流のピアニストである,の調べ"が広がる=<君の世界には音楽が広がる広がる音楽は彼の調べ>は君を包み込むだろう/実のところ僕は何も話したくないんだけれど(逆説)それは不可能だ(因果の流れ)よって語らねばならない/そして今世界は構築されつつある。音楽は第8番イ短調k.310,queは彼の最も好むピアノソ

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速習西洋論破哲学 ひろゆきからマルクスまで

 ひろゆきは論破した。
 かのソクラテスを論破した。
 このことについてはプラトンの『ティマイオス』だか『プトレマイオス』だか『ティラノサウルス』かなんかに収録されている。
 「星とはなんだ」と問うソクラテスに対し、ひろゆきは「なんなのか、と尋ねることがバカで、実際それはそれでしかないわけですよね。なんなのかというような問いを立てること自体がバカで、何かを説明するには言葉が必要なわけじゃないですか

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文学者・小泉進G郎の崩壊

※この文章はフィクションです。実在する団体・人物とは一切関係がありません。ご了承ください。

 小泉進G郎は自宅近くのスーパーマーケットでレジ打ちのアルバイトをしていた。仕事の内容は単純だ。バーコードをスキャンして、画面に表示された値段を言う。そして清算済みを示す赤いカゴに商品を入れる。これだけだ。彼はこの仕事を3年間もやっている。熟練者である彼のレジはいつも、他のレジよりも進みが早い。しかし、彼

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Σ殺し

 まずはじめに、私が目覚める。

 私は暗闇の中を歩いている。(本当に歩いているのか?)足元が見えないからわからない。何も見えないまま、ただ前進している。(本当に前進しているのか?)それなら後退しているかもしれない。取り敢えずのところ、私が暗闇の中にいることは事実のようだ。光の灯らないこの世界では、闇のみが支配的である。闇を切り裂いて進むのは私だけ。

 私は私を殺すだろう。(私を?)いや、その私

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恋する者の肖像

信号が赤に変わった。彼は立ち止まる。その後、メガネを掛け紺色のスーツを着た男が彼のちょうど左側で立ち止まった。彼はゆっくりと首を左側へ向ける。一秒、二秒、三秒。三秒もかけて彼は左側を向いた。スーツの男はただ真っ直ぐ信号機を見つめている。男の右手はカバンを掴んでいる。彼の目線は男のカバンに付けられたストラップに向かっていた。彼はそのストラップに見覚えがあったのだろう。私は螺旋階段を登っている。白塗り

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