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コンサル未経験者がキックアウトされる前に読むべき必読書(財務・会計編)

コンサルティングファームは人気業界となっており、腕に覚えのある人材がこぞって就職・転職しているためにコンサル業界は急拡大している

各コンサルティングファームはコンサル未経験者であっても積極的に採用している一方で、コンサル未経験者へ丁寧な教育を提供しているわけではない

戦略コンサルはFAS(ファイナンシャルアドバイザリーサービス)と比較すると、相対的に定性分析により比重を置いたプロジェクトの数が多い。従って、稀に発生するデューデリジェンス系のプロジェクトへアサインされると、元銀行員や会計士でない限りはパフォーマンスを出すのに苦労する傾向にある

本Noteでは、コンサルティング業界にて10年超の経験を有する筆者が、これからコンサル業界へ入ろうとする人向けの必読書を紹介する


目次

  1. はじめに

    • 想定する読者層

    • 筆者の略歴

    • 本記事を読むことで期待できる効果

  2. 厳選されたお勧め書籍

    • 財務編

    • 会計編

    • 企業分析編


1.はじめに
想定する読者層
年齢:大学生から30歳前後
職歴:大学生、社会人
就職先・転職先の希望:戦略コンサルティングファーム、総合コンサルティングファーム(戦略チーム、事業再生チーム)

■筆者の略歴
Fランから浪人を経て中堅大学卒業。その後、大手日系企業からキャリアをスタート。大学入試センター試験の英語は200点満点中123点(偏差値50)から英語を勉強して、米国MBAを取得。トップティアの外資系戦略コンサルティングファーム及び外資系総合コンサルティングファームで10年超の勤務。元面接官

本記事を読むことで期待できる効果
コンサル未経験が業界から短期でドロップアウトすることがないように、コンサルタントして最低限押さえておくべきスキルが学べる書籍が理解できる。特に、財務や会計への知見が乏しい方向けの書籍を紹介している


2.厳選されたお勧め書籍

■財務編
実況!ビジネス力養成講義 ファイナンス:石野 雄一
米国インディアナ大学にてMBAを取得し、日産自動車の財務部や戦略コンサルティングファームでの勤務経験をもつ石野氏の書籍。ファイナンスとアカウンティングの違いから解説が始まり、初心者向けにファイナンスで理解しておくべき点を網羅的に記載している。石野氏もファイナンスで苦労してきた経緯があるために、ファイナンスの各公式の裏側にある意味合いを非常に丁寧に記載している。なお、本書は石野氏の週末セミナーの内容を書き起こしたものである。石野氏にご興味があれば、その他2冊の書籍も購入するとよい

実況LIVE 企業ファイナンス入門講座:保田隆明
リーマンブラザーズ証券やUBS証券にて、M&Aや資金調達アドバイザリーに従事された保田氏の書籍。企業の一生という視点にて、事業成長に応じてM&Aや資金調達のあり方が異なっていくことが平易に記述されている。スタートアップにとっての資金調達やストックオプションから解説が始まり、上場大企業向けのDCF法のよる企業価値評価の算出方法、M&Aの実務についても記載されている。ストーリー仕立ての構成であり、初心者はファイナンスについて押さえておくべき内容を網羅的に学習できる

MBAバリュエーション:森生明
ゴールドマンサックスにて、M&Aアドバイザリーに従事されていた森生氏の書籍であり、中級者向けバリュエーションの定番書前半部分では企業価値の意味合いを筆者の実体験を交えながら解説しており、後半部分では数値を用いた解説という流れである。本書はファイナス全般ではなくバリュエーションに特化した内容となっているため、ファイナンスの入門書を通じて、基礎を理解した後に読むことをお勧めしたい

ROIC経営:KPMG FAS
KPMG FASが出版しているROICについて記述した中級者向けの書籍。戦略コンサルであってもPLとBSのトレードオフの関係性への理解、ROICへの基本的な理解は必要となるために、必要に迫られた時に該当箇所のみを一読するとよい

企業価値評価:マッキンゼー
マッキンゼーが出版している企業価値評価についてのロングセラー書籍。上下巻から構成されており、企業価値評価についてかなり詳細に記述されている上級者向けの書籍。投資銀行や商業銀行などの金融バックグランドがないと本書を読み進めていくのになかりの労力が必要となるために、手元に置いておき、必要に迫られた時に該当箇所のみを辞書的に活用することがお勧めである


会計編
財務3表一体理解法:國貞克則
神戸製鋼でご活躍され、ピーター・ドラッカー経営大学院でMBA取得を取得された國貞氏が会計の苦手な人向けに記述された書籍。簿記を勉強しなくとも財務三表の連動が理解できることがウリの書籍。会計初心者にとっても、損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書の繋がりが平易に理解できるようになっている。國貞氏の他の書籍も同様にお勧めである

管理会計の基本:千賀秀信
管理会計の初心者向けの書籍。変動費や固定費、限界利益、損益分岐点分析などの管理会計で必ず理解しておくべき基本的な事項が記載されている


企業分析編
デューデリジェンスのプロが教える 企業分析力養成講座:山口揚平
トーマツコンサルティングやアビームM&Aコンサルティングで活躍された山口氏の書籍。財務と事業の両面からバランスよく企業を分析するための方法を紹介しており、デューデリジェンスの入門書としての位置づけである。JR西日本、スターバックス、任天堂などを取り上げ、各企業の事業特性に応じた分析の切り口を示している

戦略思考で読み解く経営分析入門:大津広一
米国ロチェスター大学にてMBAを取得し、富士銀行(現みずほ銀行)、バークレイズ証券で活躍された大津氏。財務分析にて着眼するべき基本的なポイント、売上高総利益率、売上高販管費率、総資産回転率、DEレシオ、EBITDAマージン、等について、ソニーやアサヒビールなどの実例を交えながら解説している

M&Aを成功に導く ビジネスデューデリジェンスの実務:PwCアドバイザリー
PwCアドバイザリーが出版しているビジネスデューデリジェンスの定番書。ビジネスデューデリジェンスにて実施するべき事業構造分析、業績構造分析、にて着眼するべきポイントが網羅的にまとめられている。また、M&A時に最も重要なシナジー発現ポイントの抽出方法やその定量評価のあり方についても記述されている。ビジネスデューデリジェンスに関与する際の必読書といえる

M&Aを成功に導く 財務デューデリジェンスの実務:PwCアドバイザリー
PwCアドバイザリーが出版している財務デューデリジェンスの定番書。財務デューデリジェンスはFAS(ファイナンシャルアドバイザリーサービス)が請け負うことになるものの、戦略コンサルも一読しておくとよい内容となっている。過去の収益から一時要因を除去した正常収益力分析、運転資本分析、固定資産分析、ネットデット分析、そして事業計画の評価手続きについても網羅的に記述されている