『飯哀』
ここへ通うようになって、もう一年も経つ。
それなのに、ここの家族は呑気なものだ。
最初こそ怖がっていたが、今は違う。
毎日、俺を待っていたかのように夕食が始まる。
これが借金取りと、金を借りた家族の日々。
滞る返済に謝罪され、後は和やかな団欒。
決して慣れてはいけないのに、油断していた。
今日の夕食は、俺一人分だけ。
家族は、吊るされた天井から見下ろしている。
俺達の最期の晩餐は、静寂に包まれていた。
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