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散文・詩

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2023年9月の記事一覧

【詩】お天気雨

【詩】お天気雨

晴れているのに
明るい空から雨が降る
どこか懐かしいこの感じ…

そういえばキミとの恋は
お天気雨のような恋だった
雲ひとつないような気持ちなのに
いつもどこか寂しくて…

でもお天気雨はすぐに止む
それまで少し待てばいいだけだった

私は雨やどりという言い訳のもとに
時間をやり過ごせばよかったのに

雨やどりって
いつ雨が止むかわからないのに
何て詩的な
時間を贅沢に使うための言い訳

私は今

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【詩】キミに似合う人よりも…

【詩】キミに似合う人よりも…

左利きのキミのまねをして
腕時計を右手にしていたあの頃

フォークを右手に持ち
ナイフを左手で持ったり
左手で字を書く練習までしていたあの頃

キミが着ている服に似た服を買ったり
キミが読んでいる本を自分も読んだり

私はキミに似合う人になるよりも
キミ自身になりたかった

©2023 alice hanasaki

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最後までお読みくださり,ありがとうござい

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【詩】初 恋

【詩】初 恋

何も疑うことを知らなかった
ただ純粋な愛だけを信じていた

「純粋過ぎて怖い」と言った
キミのその言葉の意味さえわからずに

今ならわかる
100%の思いなんてないってこと

人は多くても
70%くらいの気持ちでしか向き合えない
100%を超えた愛は壊れるしかない

だから初恋は実りにくい
でも初恋の眩しさには何も敵わない

©2023 alice hanasaki

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【詩】おばあちゃんがくれた休暇

異国で受けたおばあちゃんの訃報
現実を見るまでは気持ちの整理がつかず
四十九日の本葬に帰国して
ようやく気持ちが落ち着いていった

ずっと帰りたかった家にも帰れず
たった一人で夜中に旅立った
そんな最期をどんな気持ちで迎えたのか
考えれば考えるほど胸が張り裂けそうになる

東京の休暇の最終日は冷たい雨
思いがけず里帰りできて
懐かしく温かい人たちに会い
アメリカでの緊張が溶けていくかのよう
私はだ

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【詩】飛ばした麦わら帽子

【詩】飛ばした麦わら帽子

母は私に愛情をかけてくれたが
母親という立場の割にはクールな性格だった
自分のことは自分でやりなさいとよく言われた
そして長女の私はそのように育った

妹はちょっと違う
母は妹にはちょっとあまいところがあった
下の子はかわいいのだろう
姉として冷静に思い
焼きもちを焼いたこともなかった

小学生のいとこが遊びに来た夏
ひとつお姉ちゃんのいとこと私は
おそろいの麦わら帽子で
母と妹と4人でプールに出

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