タガガさん

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第10章「喝祭」

自分が人よりも手汗をかくというのを知るのは、初めて女の人の手を握った時だった。 小学生の時から同じ学校の同級生だったのに、高校2年生になって付き合い始めたのは、…

タガガさん
11日前

新鮮なキャンバス

自分のことをかなり前から知っている人の事ばかり考えていたけれど そんなことはせんほうがいいんかもしれんくて 真剣に新鮮さを追い求めるのも 悪くないんじゃ…

タガガさん
3週間前

爪先彼女二

文章を書いている.文章を書いている. ただそれだけのことなのにこれだけの思いが込み上がってくるのはなぜだろう. すごいことなんかない.当たり前のことしか起こらな…

タガガさん
1か月前
4

黄色い愚鈍とピンクの憂鬱と青い海とあとなんとか

薄荷飴を舐めながら スッと口の中から鼻に抜けて行く風 私はぼーっと干された洗濯物を眺めながら 何も考えないこと それを考えている 薄荷飴がなくなりそうになると それ…

タガガさん
1か月前

猪口才な彼女

いつもとかわらない流れで 車から降りると 少し待っていてくれと女に無愛想に言い放ち 自分は中腰でいそいそと喫煙所に向かう どこへ行くにも何かやる前にはニコチンを摂取…

タガガさん
1か月前
1

彧女

凄いことなんかない 当たり前のことしか起こらない そんな悪魔みたいな言葉に躍らせれて 楽な人生を 楽な人生を探しながら 生きている 私は毎日保健室に登校する 私は…

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1か月前
2

離弁花の覚え方

家の下のバス停で、来ない君を待っている。 いつも行っていた公園に、君の姿が無いかを確認する。 一緒にいつも上っていた階段を眺めている。 君の姿はどこにも 就職して…

タガガさん
1か月前
1
第10章「喝祭」

第10章「喝祭」

自分が人よりも手汗をかくというのを知るのは、初めて女の人の手を握った時だった。

小学生の時から同じ学校の同級生だったのに、高校2年生になって付き合い始めたのは、私もあいつでも意外なことではある。私もどうすればよいか当時あまりわからなかった。距離感。会話のペース、内容。表情…。

自分主体の彼女は、付き合ったからといって、付き合う前とは私に向ける眼差しが変わることは無かった。基本的に普段はドライな

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新鮮なキャンバス

新鮮なキャンバス

自分のことをかなり前から知っている人の事ばかり考えていたけれど

そんなことはせんほうがいいんかもしれんくて

真剣に新鮮さを追い求めるのも
悪くないんじゃないかと
理解する

自分の全てを全くしらない事に加えて
世間を知らず
時代すら知らず
流行を知らず
恋なんて知らないいまま
誰かを愛せたら尚のことだと
素敵なことなんじゃないかと
胸に聞かせる

もう過去の柵に
すがること

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爪先彼女二

爪先彼女二

文章を書いている.文章を書いている.

ただそれだけのことなのにこれだけの思いが込み上がってくるのはなぜだろう.

すごいことなんかない.当たり前のことしか起こらない。

大学6年生の6月。外は雨が降っている。外の気温はそんなに高くはないけどジメジメする。気持ち悪い。大学の前の坂道で、茶色の多分だけどカタツムリの殻が落ちていた。中身はどこに行ったんだろう。気持ち悪くて誰もいないことを確認した後に蹴

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黄色い愚鈍とピンクの憂鬱と青い海とあとなんとか

黄色い愚鈍とピンクの憂鬱と青い海とあとなんとか

薄荷飴を舐めながら
スッと口の中から鼻に抜けて行く風

私はぼーっと干された洗濯物を眺めながら
何も考えないこと
それを考えている

薄荷飴がなくなりそうになると
それを無理矢理噛んでしまって
何か罪悪感に襲われる
ここで何も考えず解放されている時間が一番気持ちいい
少し昼寝をすると祖父へ一言声をかけて
畳に横になる
祖父はいそいそと畑に向かう

じっとりとした暑さに襲われて
起きると毛布がかかっ

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猪口才な彼女

猪口才な彼女

いつもとかわらない流れで
車から降りると
少し待っていてくれと女に無愛想に言い放ち
自分は中腰でいそいそと喫煙所に向かう
どこへ行くにも何かやる前にはニコチンを摂取する
これがないと病気にかかってしまう
そんな気さえする
医者は人々の病を治す為に有る
しかし病にならなければちっとも私の具合を診てはくれない
とてもとても困った存在である
私はそんなくだらないことを考えながら自動ドアの前に立つ
中を確

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彧女

彧女

凄いことなんかない
当たり前のことしか起こらない

そんな悪魔みたいな言葉に躍らせれて

楽な人生を
楽な人生を探しながら
生きている

私は毎日保健室に登校する

私は友達がいないわけではないけれど

体の病気が
悪化したんだ
ある事件がきっかけで

頭の中がグチャってなっちゃって
気づいたら
大きな病院のベッドの上にいた

裕福な家で育った私の顔を
心配性な母はまるで死人を見るような顔で覗き込

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離弁花の覚え方

離弁花の覚え方

家の下のバス停で、来ない君を待っている。
いつも行っていた公園に、君の姿が無いかを確認する。

一緒にいつも上っていた階段を眺めている。
君の姿はどこにも

就職して3日経つと顎が開かなくなった。

桜と供に散って行ったやる気。

こんなに桜の花が散るのを悲しいと思った事なんかないのに。

俯いて歩いているから、散った桜の花弁ばかりが視神経を刺激する。

車とかバイクで通勤している人だったら嫌が応

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