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彧女

凄いことなんかない
当たり前のことしか起こらない

そんな悪魔みたいな言葉に躍らせれて

楽な人生を
楽な人生を探しながら
生きている

私は毎日保健室に登校する

私は友達がいないわけではないけれど

体の病気が
悪化したんだ
ある事件がきっかけで

頭の中がグチャってなっちゃって
気づいたら
大きな病院のベッドの上にいた

裕福な家で育った私の顔を
心配性な母はまるで死人を見るような顔で覗き込んでいる
目頭が赤く腫れている彼女に呆れながら

もう貴方は無理しなくていいから
と告げられた

その時私はなんにも言えなかったけど
退院した後に
学校だけにはせめて行かせてくれと母に直談判した

母は泣きながら止めようとしたけど
さすがにウザかったから
殴った
そうすると母もわかってくれたんだ

それはいつも父が母にしている事だったから

そうすればいい
そう思っていたしそれを変だと思ったこともなかった

先生にまずは保健室でゆっくりすることを勧められ
渋々保健室のベッドに横になりながら
私のためだけに授業をしてくれる教師に感謝しながら家に帰る

毎日掃除の時間に仲のいい友達が
掃除をサボって私の様子を見に来てくれる
それがその時は嬉しかったし
退屈なベッドの上で充分な勉強もできず、本を読むのも好きじゃない私は
空に浮かぶ雲をずっと眺めていたから
それが私の唯一の憩いの時間なのである

あの事件の後
あいつには会ってない
謝らないといけないんだろうか
会いたく無いわけじゃないんだけど
会ったらどうにかなってしまいそうなのが怖い

なんて言えば良いかわからんし
話しかけられたところで口を聞けるのかがわからない

ふぅ。なんだよ。
そんなことを。
グルグルグルグル。
私はつまんない、同じようなことをずっと考えていたんだな

あの14歳の私は
どうしようもなく綺麗な心をもっていたのだなと
7年後の私は思いに耽る

私の隣には彼が居る
わかっているんだ

上手く行くとか行かないとか
そんなのはどーでもいいんだ
相手がどんなにクズだろうと

台本にない人生
これなんだ
私は
これを欲している

おもろい人生!
これこそが私!
今だからわかる
将来のことばかり気にしていた自分に言いたいんだ
私はそんなに上手に生きていけない
私は常に

しか

だけしか生きていけないのだと

そう
全部テキトーでいいのである

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