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4.pay it forward〜旅人を迎える側として(第10章.旅先で触れた親切〜pay it forward)
今回の旅のエッセイを通して私の旅の体験談と旅に対する思いを綴ってきた。最後に、逆に私が旅人を迎える側の人間として体験したことを書いてみたい。
2014年9月。よく晴れた土曜日の午前中。私は埼玉県飯能市の辺りを一人、車を走らせていた。ここから私の自宅のある埼玉県小川町へ帰るために、である。
ちょうど前方、左側の路肩沿いに、リュックサックを背負った二人組がヒッチハイクをしているのが目に留まっ
3.ハンガリーの留学生(第10章.旅先で触れた親切〜pay it forward)
ハンガリーの首都ブダペストに到達した。玄関口の空港はハンガリー出身の音楽家であるリストにちなんでリスト・フェレンツ空港という(ちなみに一般的に我々が耳にする「フランツ・リスト」はドイツ語読み。ハンガリーは日本と同じように名字が先、名前が後である)。
私は空港から市内の中心に向かおうとバスに乗った。バスでまずはクーバーニャ・キシュペシュトという地下鉄の駅まで行って、そこから地下鉄3号線で市内中
2.イスタンブールの靴磨き(第10章.旅先で触れた親切〜pay it forward)
トルコの最大都市イスタンブールは「東西文明の十字路」と言われている。地理的に街のほぼ中央に位置するボスポラス海峡がヨーロッパとアジアの境目だと言われているからである。私も船に乗ってボスポラス海峡を渡った時は、今まさにヨーロッパからアジアへ渡っているのだ、と感激したものだった。
もちろん、「東西文明の十字路」と言われているのは地理的な理由だけではない。例えば、イスタンブール観光のハイライトであ
1.謝謝(ありがとう)!台湾!(第10章.旅先で触れた親切〜pay it forward
台湾では数々の親切に触れることが出来た。私は台北から九份という小さな山沿いの街に向かった。まずは台北から鉄道で40分程掛けて瑞芳という駅で降りた。改札を抜けた所に観光案内所があったので、九份行きのバスは何処から出ているのか聞いてみた。私は九份の中国語読みが分からなかったので、試しに「キューフン」と日本語読みで言ってみた。すると案内係の女性は慣れているみたいで、すぐにバス停を教えてくれた。恐らく日
もっとみる2.ムスリムたちの酒宴(第9章.旅先で考えた食することの楽しみ③)
ムスリム(イスラム教徒)にとって飲酒は基本的にご法度である。「基本的に」ということは、要するに抜け道があるということだ。
イスラム教が国教のチュニジア。この国にはイスラム教国なのにセルティアという国産のビールがある。まあ、イスラム教国と言ってもチュニジアを含むマグレブと呼ばれる北アフリカ諸国では中近東に比べて戒律はかなり緩い。レストランではアルコールを置いている店は多い(もちろん、アルコール
6.fishなメニュー(第8章.旅先で考えた食することの楽しみ②)
海に囲まれた島国で育った我々日本人は魚に対して相当思い入れがある。一つ一つの魚の種類を区別することはもちろん、稚魚と成長魚も別の名前を付けて区別する。それだけ日本人にとって魚は馴染みのあるものなのである。
一方、マルタ。こちらは地中海に浮かぶ小さな島国。日本と同様に海に囲まれているので、魚介類は人々の生活にとって馴染み深いものである。
そんなマルタを私も訪れたことがある。宿を取ったのは首
5.近未来でレトロなオランダ(第8章.旅先で考えた食することの楽しみ②)
オランダの首都アムステルダムから列車で25分程。私はユトレヒトに到着した。この街は美しい運河が流れるオランダ第4の都市である。
列車を降り、駅構内を歩いていると、びっくりする光景が目に飛び込んできた。一見したところ小さなコインロッカーのように見えるが、それは自動販売機だった。しかも何の自動販売機かと言うと、何とコロッケである!コインロッカーのように扉が沢山あり、1ユーロ硬貨を入れると扉が開く
3.トルコのごはん(第8章.旅先で考えた食することの楽しみ②)
トルコ料理はフランス料理、中国料理と共に世界三大料理の一つとされている。オスマン帝国が最も華やいでいた頃、宮廷料理として発展を遂げたのが今のトルコ料理の原型と言われている。
そんなトルコ料理。最も名が知られているのが、やはりケバブだろう。ケバブとは要するに肉である。羊か鷄か、あるいは牛。豚は食べない(トルコはイスラム教のため)。それらの肉を炭火で焼く。ケバブの中ではドネル・ケバブが有名だろう
1.ウサギ料理(第8章.旅先で考えた食することの楽しみ②)
南フランス。コート・ダジュール地方の街マントン。メインストリートのサン・ミッシェル通りから少し入った通りに田舎料理のレストランがあった。夕食時、私は店に入ると、窓際の席に案内された。メニューを見ると、何と「Lapin(ウサギ)」があった。私はそれまでウサギを食べたことがなかったので、興味本位で頼んでみた。
出てきた物はウサギのソテー。何かのソースが掛かっている。恐る恐る食べてみると、これが柔