『モンテ・クリスト伯』-その2 無実の罪に陥れた悪党3人&父としてのファリア司祭の尊い愛-
(Spoiler Alert!ネタバレ注意!)
みなさん、こんにちは!
今回はまず最初に、なぜエドモン・ダンテスが無実の罪で牢獄されるに至ったのかを、簡潔にご紹介してから、ストーリーをみていきたいと思います。
なお、前回も書いた通り、この記事は2020年に書いたアメブロの記事を加筆・修正したものなので、昨年(2022年)作成したYouTubeもあわせてご覧いただけると嬉しいです。
エドモン・ダンテス(後のモンテ・クリスト伯)が無実にも関わらず、牢獄へ入れられたのは、以下の3人の悪だくみが連鎖して起こったものでした。
①ダングラール
②フェルナン
③ヴィルホール
①は、エドモンが船長になるのを嫉妬していた(自分が船長になりたかった)。
②は、エドモンの婚約者が好きだった(エドモンと自分が好きな彼女を結婚させたくなかった)。
そのため、①と②は結託して、エドモンがボナパルト党だと言って密告。(当時、ナポレオンは既にエルバ島へ流されており、ナポレオンの支持者は際どい状況にあった)
①と②の人物は、密告したものの、まさかエドモンがそのまま14年間も牢獄へ入れられることになるとは思ってなかった。
私は今まで気づいてなかったんですが、今回の完訳版を読んで一番の極悪人は、③だと気づきました。
ヴィルホールのせいで、エドモンは14年間も牢獄生活を強いられることになるんです。
ヴィルホールが最終的に、シャトーディフの牢獄送りにしたんですから。
ヴィルホールは、地位もある検事だが、父親が有名なナポレオンの支持者だった。
そして、エドモンがそうとは知らずに手紙を渡そうとしていた人物こそ、彼の父だったのだ。
ヴィルホールは、その手紙の存在やその手紙を知っているエドモンを消そうと思い、当時、脱獄不可能と言われていたシャトーディフ送りにする。
シャトーディフは、実際にマルセイユ沖にあります(YouTubeでもご紹介しています)。
以下、簡単にストーリーをみていきます↓
20歳のエドモン・ダンテスは、婚約者のメルセデスとの結婚式当日に、憲兵に捕らえられ、マルセイユ沖に浮かぶシャトーディフの牢獄に、なんと14年間も入れられることになる。
この幸せの絶頂から、捕らえられてシャトーディフに連れていかれる描写がたまらなく切ない・・・。
裁判も何もなしに、いきなり牢獄行きですからね・・・。
私も、エドモンと同様、復讐する!絶対許せへん!
・・・と読んでいて、その理不尽さに私も怒りが沸々とわいてきました。
ダンテス自身もまさか政治犯が収容されている牢獄へ、しかも(この時はすぐに出られると思っていたので)14年間も過ごすことになろうとは思ってもみなかった。
ダンテスが牢獄内で自殺を試みていたとき、不意にある音に気付く。
そして、同じ牢獄にいるファリア司祭と出会う。
もちろん、2人は別々の部屋だが、脱獄を試みていた司祭が誤って、ダンテスの部屋に来てしまったのだ。
それから2人は脱獄のために力を合わせ、司祭はダンテスに様々な語学や地理、歴史などの教養、そして貴族的な身のこなし方まで教える。
この知識や教養が、後にモンテ・クリスト伯となって復讐をするときに、役立つことになるんですね。
YouTubeでも話しているかもしれませんが、私はダンテスには2人の父がいると思っています。
1人はダンテスの実父で、2人が深い絆で結ばれている描写から、お互いに深く愛していたのだなということがわかります。
しかし、このお父さんもダンテスが牢獄にいる間に亡くなってしまう・・・。
そして、もう一人の父は、このファリア司祭です。
もちろん、実の父ではないが、「神は子供がいない私に息子を授けてくださった!」という描写があり、ファリア司祭は全力で自分が持っている知識をダンテスに引き継ぐ。
ファリア司祭が様々な知識をダンテスに教えている描写は、本当の父子のようです。
このファリア司祭がいなければ、ダンテスは悪党3人に復讐はできなかっただろう。
ファリア司祭が亡くなるときの描写は、胸にせまるものがあり、アレクサンドル・デュマの表現はやはり素晴らしいの一言に尽きます。
このファリア司祭が、一介の船員に過ぎなかったダンテスを本物の貴族のように、教養のある人物に変えていく。
牢獄前は世間知らずの20歳の若者だったエドモン・ダンテスが、ファリア司祭によって、全く別人へと変貌を遂げる描写は、ファリア司祭がいかに稀有な人物だったかをも同時に物語っています。
そして、モンテ・クリスト伯となり、復讐を開始するにはそれなりのお金が必要だ。
司祭は、語学や教養のほかにある重大な秘密をダンテスに打ち明ける。
それは、宝が隠されているというモンテ・クリスト島についてだった。
モンテ・クリスト島は、ナポレオンが流されたエルバ島の南にあります。
シャトーディフやモンテ・クリスト島も、YouTubeでご紹介しているので、是非ご覧ください。
続く。
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