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汗疱。2024年7月に突然発症した、治らない皮膚疾患。治療法は?受診までの体験談。

こんにちは、翼祈(たすき)です。
まずこの記事を読んで下さっている読者の皆さんに一言。本当はこちらを先に紹介すべきでしたが、先に「すべり症」の記事を書いてしまいました。私の既往歴一覧の掲載順はこちらの病気が先となりますが、読者の皆さんには、「すべり症」→「汗疱」の記事から読んで頂きたいです。

私は2024年6月から治らない、手の荒れに悩まされてきました。あの月は特に毎日の様に寝落ちをしていて、たまたまある日手にできた、小さな豆がきっかけでした。

普通豆というと、空気が軽く入っている様な白いもので、通常だったら、何もしなくても、自然と手の指から消えていく物ですよね?

私も昔から豆はよくできます。今までは、「あ、また、豆ができた」位だったのですが、この時にできた豆は、豆としての存在は消えても、アメーバの様な、皮膚と同化した周りに白い線がある様な状態になって、これが痛かったり、かゆかったりして、ずっと気がかりでした。

特に私が悪化した豆は、右手人差し指にできて、意外とこの指って使う指なので、何かのフタを開ける時や、何気ない動作の時に1番使ったり、ものが当たっている指で、「使い過ぎて、治らないのか?」とも思っていました。

私は2023年に記事に書くまでもなかったので書いてはいませんが、「表皮剥離」というものになって、その薬が保湿剤が入っていて、それを塗れば大抵何でも治っていたので、「今回も大丈夫」と思って、皮膚科をすぐには受診しませんでした。

ですが、1ヵ月以上経過しても治らず、かゆみや痛みも落ち着かず、「あ、これ、もう皮膚科に行かなくちゃいけない案件だ…」と思って、皮膚科に行くと、「汗疱(かんぽう)」と言われました。

この記事では最後に皮膚科に行った時の体験談を感想に書きます。

今回は、当事者の視点から、「汗疱」という皮膚疾患について発信したいと思います。

「汗疱」とは?

「汗疱」(かんぽう)とは、汗が原因で手足の指や手のひら、足の裏などにできる小さな水ぶくれのことを指します。

足の裏、手足の指にできることが多く、左右対称性に認められます。指は、指側面や指間(指と指の間)によくできます。

手が荒れて乾燥し、皮膚が硬くなっている状態の時に、「汗疱」ができる場所が併発する時があります。小さな水ぶくれができると2〜3週間程度で、薄皮が次第にはがれ落ちていきます。

多汗症という病気の汗をかきやすい人や、汗をかく春と夏にできる人が多いです。毎年季節の変わり目ごとに再発を繰り返す場合もあります。

小さいお子さんから思春期の若い人によく見受けられます。

水虫の様にカビ・真菌による病気ではないので、周りの人が「汗疱」に感染する心配はありません。

▽症状

手指や手のひら、足底に突然1~2mm大の透明で小さな水ぶくれ(小水疱:しょうすいほう)ができます。

「汗疱」の小さな水ぶくれが沢山できます。水ぶくれは複数個が散らばってできることもあれば、一度に沢山できることもあって、水ぶくれ同士がくっついて、大きな水ぶくれになる時もあります。

水ぶくれができたところには、軽いかゆみを伴う時もあります。

軽度では痛みやかゆみを伴うこともなく、2〜3週間程度で自然治癒しますが、場合によっては、水ぶくれが大豆サイズにまで膨れ、周辺が白色に濁ったり、赤くなっていきます。

また水ぶくれが破れ湿疹の状態になると、激しい痛みやかゆみを伴う時もあります。

一般的に、水ぶくれは破れ、治癒に至る過程で乾燥し、鱗屑(りんせつ)という皮膚表面からはがれ落ちる角質になって、皮がむけてブツブツ状になった後に、落屑(らくせつ)という皮膚の表面がはがれ落ちて自然治癒していきます。

長くても1~2ヵ月で自然に完治しますが、再発を繰り返す場合が多いです。

水ぶくれが破れた後、自分で刺激を加えたり皮をむしったりしていると、水ぶくれが次第に大きくなって破れ、炎症が起こった状態の「汗疱状湿疹(かんぽうじょうしっしん)」に至ると、「異汗性湿疹(いかんせいしっしん)」に進行することもあります。「異汗性湿疹」では、強いかゆみや痛みが出現します。

▽原因

「汗疱」ができる人の多くは原因不明です。多汗症の人や、汗をかきやすい夏の時期に多くできることで、発汗の異常が原因と考えられてきましたが、現在では、発汗との関連は薄いと言われています。

汗腺と小水疱は通常繋がっておらず、水疱内容液も汗とは違います。

汗は皮膚の深くにある汗腺で生成され、汗管を通って皮膚の外に排出されますが、皮膚が以下の様な状態の時に、汗が上手く外に出せずに、皮膚の中に蓄積してしまうことで水ぶくれができてしまいます。

・汗管が細い
・沢山汗をかいた
・急に汗が冷やされた

食品に含まれる金属やコバルト、クロム、ニッケルなどの歯科金属によるアレルギー症状、ストレスによる自律神経の乱れ、アトピー体質、扁桃炎や副鼻腔炎などの慢性感染、喫煙、薬剤、食品添加物、防腐剤、避妊薬などの薬と関係していると想定されています。

具体的には歯に詰めている金属が身体内に吸収された中で、汗に変わって身体外に排出される時にアレルギー反応を起こして、水ぶくれができるともされています。

▽診断基準


「汗疱」の検査をする際に、水虫の原因菌でもある白癬菌症(はくせんきんしょう)の可能性に関して検査します。足に水虫があってジクジクしている時には、カビ・真菌に感染していないのに指や手のひらに小さな水ぶくれが多くできる時があります。この様な状態の時には、速やかに皮膚科を受診して下さい。

特に足指、足の裏に「汗疱」ができている時は、水虫(爪白癬・足白癬)と勘違いされることが多く、「偽(ニセ)水虫」の代表とも言われています。水虫は、「汗疱」・「異汗性湿疹」とは発症する原因が異なりますが、視診だけでは医者でも正確に判断することは困難な症状です。

そのことで、水虫などが疑われる時は、光学顕微鏡(クリティカル照明 LED)検査を行い、カビ・真菌の有無を確認します。

また必要に応じて、生検による病理検査、血液検査を実施する場合もあります。

また金属アレルギーなどの可能性がある時には、特定の手の動作での接触面と一致するため、原因物質の特定ができる時があります。

直接金属に接触したことが原因ではないこともあって、分からない時にはパッチテストを実施し、それでアレルギー反応が出るかどうかを確認する場合もあります。

▽「汗疱」と類似している病気

特に間違えられやすい病気が以下の2つです。
◉水虫(白癬:はくせん)

「汗疱」は手足に確認されるのに比べ、水虫は足に多く認められます。
足白癬には、「汗疱」に類似する小水疱型、および角質増殖型、趾間型が存在します。

診断は皮膚を一部採取し、顕微鏡でカビ・真菌を観察することで確定診断ができます。

水虫は周りの人が比較的容易に感染してしまうことで、的確な治療と診断を行うことが要求されます。現在では効果的な外用薬が登場していて、毎日塗る習慣として使うことが求められます。

◉掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)

小さな水ぶくれや、黄色い膿疱(のうほう)が手足にできます。膿疱の有無で「汗疱」かどうか判断できますが、膿疱が伴わない時には鑑別が困難な時もあります。

人によっては、爪が変形するケースや膝や肘などに症状が出るケースもあります。

掌蹠膿疱症の主な原因は、扁桃炎や喫煙、歯科金属アレルギー、虫歯などが関係していると想定されています。

「汗疱」との大きく違う点は、「汗疱」は一時的にできるものであるのに対し、掌蹠膿疱症は数年に渡って症状が繰り返すことが特徴的です。

他、カビ・真菌などが原因で起こる接触皮膚炎(自家感作性皮膚炎)、水ぶくれ(水疱)、かゆみの強い赤い斑点(紅斑)が全身に出現する皮膚の自己免疫性疾患の水疱性類天疱瘡(すいほうせいるいてんぽうそう)、“ヒゼンダニ”と呼ばれるダニがヒトの皮膚に住みつくことで発症する疥癬(かいせん)、手足口病、かぶれなど

▽治療法

水ぶくれをつぶすこと、はがれかけた皮膚を無理に引っ張ることは避けて下さい。

症状が軽度では自然治癒していくことが多いため、清潔を維持し、経過観察することもほとんどです。

皮膚がむけているが特に痛みやかゆみがない時には、保湿剤を処方し、皮膚の表面を柔らかくすることで汗の排出を促進する場合もあります。

水ぶくれが潰れて炎症を起こしている時には、ステロイド外用薬で治療することが一般的です。

ヘパリン類似物質配合の保湿剤→症状が軽度で、かゆみもない場合
ステロイド外用薬・サリチル酸(塗り薬)→水ぶくれが大きく炎症を起こしている場合
アレルギー剤・抗ヒスタミン剤(飲み薬)→かゆみが強い場合

尿素含有軟膏→皮膚が分厚くなってしまった時に、水ぶくれを柔らかくする

かゆみが酷い場合は、抗ヒスタミン内服薬を併用します。治療薬を内服しても即座に症状が消失するわけではありませんが、約2〜3週間程度で症状が改善する時が多いです。

▽予防策

・「汗疱」は外部の刺激や汗で蒸れることによって悪化する恐れがあります。
そのため、汗をかいた時もこまめに拭くなどして清潔に維持して下さい。ハンカチなどは常に携帯する様にしましょう。

・肌着や下着には通気性がよく速乾性・吸汗のある素材を選択する、外出時には汗を拭くためのボディシートやウェットティッシュを携帯する、大量に汗をかく様な屋外レジャーに参加する時に着替えの衣類を持っていく、汗をかいて帰宅したらシャワーで軽く洗い流すなど、日頃から意識して下さい。

・炎症などを起こしている時には可能な限り水仕事は避ける様にして下さい。
毎日の家事など、日々の暮らしでは洗い物などの水仕事を極力控え、水仕事を行う時には手袋を着けるなどといった、工夫をして下さい。

・手洗い・入浴などで皮膚を濡らした時には必ず清潔なタオルなどで角質の水分を取り除き、よく乾燥させることも大事です。

・室内は高温多湿を避けるために、適宜、湿気を帯び過ぎない様に屋内では除湿や換気をすることが大事で「汗疱」を予防することができます。

・刺激性のある食べ物を控える(香辛料などが発汗を促します)
・こまめに保湿する
・アルコールをなるべく控える(血流が良くなり、汗をかきやすい)

・洗剤やシャンプーなど手足に触れるものは、天然の成分やノンシリコンタイプを使用したものを使うことも効果的です。

・病院で処方された治療薬を塗布し、めくれてきた皮膚をむしらない様にして下さい。

参考サイト

汗疱とは? 第一三共ヘルスケア

汗疱(かんぽう)  - 武蔵小杉皮ふ科 川崎市 中原区 武蔵小杉 皮膚科

『汗疱(かんぽう)』の原因・症状・治療法 田辺三菱製薬ヘルスケア

異汗性湿疹(汗疱かんぽう)の原因&対処法 シオノギヘルスケア

汗疱・異汗性湿疹(かんぽう・いかんせいしっしん) 成増駅前かわい皮膚科

汗疱(異汗性湿疹) ポラリスクリニック 中野駅前皮膚科形成外科

汗疱状湿疹 仙川駅前すずきクリニック

汗疱 メディカルノート(2021年)

私が受診したきっかけ

冒頭でも書きました通り、私はこの病気をただの豆と思い、重要視していませんでした。

発症から2週間経過して、「表皮剥離」で内科を受診した際に処方して頂いた塗り薬があるのを思い出して見つけて、「これで良くなる!」と思って、塗り続けていました。

毎日塗っても、痛みやかゆみは引かず、むしろ悪化している感じもして、「塗っている薬の量が少なかったのか?」と思って、足しても、全然治らない…。

「あれ?もしかして、これ、ただの豆じゃない?」と思っていた時に、生活支援員さんとの面談がありました。

その時に、「何か困っていることはありませんか?」と聞かれたので、「右手人差し指の豆が治らなくて。痛いし、かゆくて。去年右手親指になった『表皮剥離』で頂いた薬が、保湿成分が入っているので、その薬があるのを気付いて、塗っているんですけど、全然良くならなくて…」

と言うと、

「多分、人差し指と親指の症状は違うものなんじゃないですか?1ヵ月経過しても、治らないなら皮膚科に行くべきですよ」

とアドバイスを頂いて、その週の終わりに、皮膚科に行きました。

皮膚科で、「この豆なんですけど、かゆくて、痛くて。豆だと私は思っているんですけど…」と先生に手を見せると、「『汗疱』ですね」とすぐ言われました。

実は私も「汗疱」?と思っていたのですが、検索している時に、2〜3週間で、自然治癒すると書いてあったので、1ヵ月も治らない私は、「汗疱」ではないと思ってました。

「汗疱」と言われて、「症状はどの程度ですか?」と言うと、「軽度です」と先生から言われた後、「これは一生付き合っていかないといけない病気です。状態が少しずつ良くなったり、悪くなったり。今は痛い、かゆみの症状が出ているとのことなので、ステロイドを混ぜた塗り薬を出しておきますね」と言われて、診察を終えました。

「一生付き合っていく病気」という言葉が引っかかり、薬局で薬剤師さんに、
「『汗疱』って、先生が一生付き合っていく病気って言われたのですが、本当ですか?」とウルウルしながら聞くと、
「そうですね。手が荒れてたり、乾燥していると酷くなるので、保湿もしっかりして、良くなっても手がまた荒れ出したら、この薬塗って下さいね」と言われました。

確かにステロイド入りの塗り薬を塗ると、良くなりました。一時期、手が久しぶりにキレイな状態の日々が続きました。

この記事を書く1週間強はパソコンを触っている時間が長く、会社に残って仕事を夕方遅くまで仕事したりして、手を使い過ぎたせいか、乾燥したらしく、また「汗疱」が芽を出し、今までなかった左手親指にも、右手人差し指と似ている状態になっています。

薬はステロイドが入っているので、「塗り過ぎは身体に良くない」ことは知っているので、本当に悪い状態の時だけ塗っています。

この間、ライターの支援員さんに、
「『汗疱』だけではなく、両膝の軟骨すり減りや軽度に近いすべり症、坐骨神経痛にもなって、治らない病気がまた増えて、通院する科も増えて、『どうしてこんなに沢山既往歴があるのに、生きているんだろう?』と良く思いますよ。でも、何か意味があるから、生きていると思っています」

と話すと、

「翼祈(たすき)さんの体験談は、同じ病気を患う人の希望になると思いますよ。『こんなに既往歴があるけど、生きて、頑張っているんだ』と、勇気を与えてくれると思いますよ」

と言われて、「元々『汗疱』は記事を書こうと思っていましたし、すべり症も含めて、記事を書きます」と返して、今この記事を書きました。

この記事も私の既往歴の一覧に追加しておきますので、この記事を含めて、誰かに「一人じゃないよ」と、思って頂けると幸いです。


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