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#中華料理

いつもの冷しゃぶに飽きたら、雲白肉。

いつもの冷しゃぶに飽きたら、雲白肉。

きょうはユンパイロー(雲白肉)にしようと思う、と告げると妻の表情があきらかにこわばった。妻は未知なる食に対する警戒心がとても強い。対する自分はわりと何でも興味を持って食べ漁るほうだ。いつもこちらの思いつきで見よう見まね料理を食べさせられているので、妻としてはそういう態度になるのも無理はない。

あわてて僕は言い直した。「中華風ピリ辛冷しゃぶにするよー」

妻はホッとしたようで「最初からそう言ってく

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おうちで中華 - 雪菜肉末炒蚕豆(高菜漬けと豚ひき肉と空豆の炒めもの)

おうちで中華 - 雪菜肉末炒蚕豆(高菜漬けと豚ひき肉と空豆の炒めもの)

空豆が大好きなので、この時期は空豆ばかり食べている。今日は新たな空豆中華をご紹介しよう。江南料理の雪菜肉末炒蚕豆(高菜漬けと豚ひき肉と空豆の炒めもの)だ。

名前は長いが、3つの食材を炒め合わせるだけのシンプルな料理である。豚ひき肉と雪菜(≒高菜漬け)の旨味を、ホクホクの空豆にからめて食べる。その美味しさは、食べずとも想像してもらえることだろう。

雪菜肉末炒蚕豆 
xuěcài ròumò ch

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おうちで中華 - 臘肉炒蒜苗(葉にんにくと中華ベーコンの炒めもの)

おうちで中華 - 臘肉炒蒜苗(葉にんにくと中華ベーコンの炒めもの)

日本でも広まってほしい中国の野菜は色々あるが、そのひとつが蒜苗(或いは、青蒜)。葉にんにくのことだ。シャキッとした歯ごたえににんにくの香りが立ち(当たり前だ)、甘みもある。炒めものに使うととても美味しい。

最近、蒜苔(にんにくの芽)は普通のスーパーでも見かけるようになってきた気がするが、蒜苗はまだまだ。日本人が大好きな麻婆豆腐や回鍋肉だって本場は必ず蒜苗を使うのだから、潜在的需要はあると思うんだ

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おうちで中華 - 涼拌薄荷(ミントの冷菜)

おうちで中華 - 涼拌薄荷(ミントの冷菜)

ご好評を頂いた薄荷牛肉湯(ミントと牛肉のスープ)に続いて、今日も新たなミント料理をご紹介する。雲南料理の涼拌薄荷(ミントの冷菜)だ。これまたSNSで大きな反響を頂いたので、早々にレシピ化してみた。

ミントを料理に多用する雲南料理。その中でも最もシンプルなミント料理がこれだ。最小限の調味料でミントを和えるだけで、ミントの爽やかな香りがむくむくふくらみ、清涼感に満ち溢れた前菜になる。

涼拌薄荷 凉

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おうちで中華 - 薄荷牛肉湯(ミントと牛肉のスープ)

おうちで中華 - 薄荷牛肉湯(ミントと牛肉のスープ)

今日はとびきりのご馳走をご紹介する。雲南料理の薄荷牛肉湯(ミントと牛肉のスープ)だ。SNSに上げたら予想以上に大きな反響を頂いたので、早めにレシピ化してみる。

牛肉を煮込んだあっさりスープに、大量のミントをどっさりちぎり入れ、煮えばなを食べる。ミントを!?牛肉と!?大量に!?どんな味なの!?そういう驚きの声をたくさん頂いたが、実際に作れば、今度はあまりの美味しさに驚いてもらえるはずだ。

薄荷牛

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おうちで中華 - 茴香豆(空豆のウイキョウ煮)

おうちで中華 - 茴香豆(空豆のウイキョウ煮)

今日の料理は、茴香豆(空豆のウイキョウ煮)。そう、またも空豆中華だ。茴香豆は、大人気の葱油蚕豆(空豆の葱油炒め)と並んで、僕の中で空豆中華の双璧をなす存在である。

茴香豆
huíxiāng dòu空豆が安く買えた上海時代、大抵は数キロ単位で買ってきて、その日食べる分は葱油蚕豆にして、残りは茴香豆にしていた。茴香豆は味が染み込んだ方が旨いので、買ってきた日に一気に作っておき、翌日以降に食べるのだ。

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おうちで中華 - 雪菜焼黄魚(高菜漬けとイシモチの煮付け)

おうちで中華 - 雪菜焼黄魚(高菜漬けとイシモチの煮付け)

今日は久々に魚料理をご紹介しよう。上海など江南地方の家庭料理として親しまれている雪菜焼黄魚(高菜漬けとイシモチの煮付け)だ。

名前から焼き魚と思うかもしれないが、中国語だと「焼」は煮ること。魚と雪菜(≒高菜漬け)を一緒に煮ることで、互いの旨味が互いに染み込み、優しく深い味わいが生まれる。

雪菜焼黄魚 雪菜烧黄鱼
xuě cài shāo huáng yú用いる魚は、イシモチ(シログチ)。上海周

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おうちで中華 - 薄荷炒蛋(ミントの卵炒め)

おうちで中華 - 薄荷炒蛋(ミントの卵炒め)

前回に続いて、今日もミント中華をご紹介する。かつて雲南旅行で出会った薄荷炒蛋(ミントの卵炒め)だ。

ミントを卵と一緒に炒めるだけなのでレシピと言うほどのものではないのだが、「ミントってそうやって食べてもいいのか!」と驚いてくれる人もいるんじゃないかと思って、レシピにしておく。

薄荷炒蛋
bòhe chǎo dàn冴えない見た目と思うかもしれないが、雲南の田舎の食堂で出てきそうな気取りのない仕上

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おうちで中華 - 西紅柿捶肉湯(トマトと叩き肉のとろみスープ)

おうちで中華 - 西紅柿捶肉湯(トマトと叩き肉のとろみスープ)

今回の料理は、西紅柿捶肉湯(トマトと叩き肉のとろみスープ)。「捶」とは「打つ、叩く」という意味で、豚肉を叩いて薄く伸ばすところから、この名前がある。

西紅柿捶肉湯 西红柿捶肉汤
xī hóng shì chuí ròu tāng叩いて片栗粉をはたくことで、ちゅるんと柔らかくなった豚肉が実に旨い。叩くことにきちんと意味が感じられる。自然にとろみが付いたスープは、優しい旨味に溢れている。味付けは塩だ

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おうちで中華 - 豌豆炒蛋(えんどう豆の卵炒め)

おうちで中華 - 豌豆炒蛋(えんどう豆の卵炒め)

春は様々な豆が出回り、それを卵と炒めるだけで美味しい一品になるのが嬉しい。中でも僕が大好きなのが、豌豆炒蛋(えんどう豆の卵炒め)だ。

豌豆炒蛋
wān dòu chǎo dàn レンゲでガバリと頬張ると、ふわふわ卵の中でパツパツの豆が弾ける。その甘いこと甘いこと!鼻から抜ける豆の香りもたまらない。

豆を卵と炒めるだけの単純な料理だが、立派に食卓の主役を張れるひと皿だ。我が家では、作るたびに家

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おうちで中華 - 醃篤鮮(筍と塩漬け肉と豚肉の煮込みスープ)

おうちで中華 - 醃篤鮮(筍と塩漬け肉と豚肉の煮込みスープ)

筍の季節は、心が浮き立つ。今回は筍が出てきたら毎年必ず作る、上海ならではの春のご馳走スープをお届けしたい。その名も、醃篤鮮!

難解な名前だが、ちゃんと意味がある。すなわち、

「醃」=塩漬けすること。鹹肉(豚三枚肉の塩漬け干し)を指す。
「篤」=とろ火でコトコト煮込むこと。
「鮮」=生もの。生の豚肉を指す。「鮮やかな旨味」という意味もある。

つまりは、「塩漬け肉と豚肉をとろ火で煮込むスープ」と

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おうちで中華 - 葱油蚕豆(空豆の葱油炒め)

おうちで中華 - 葱油蚕豆(空豆の葱油炒め)

そろそろ空豆の旬がやってくる。その前に、単純にして至高の空豆中華・葱油蚕豆(空豆の葱油炒め)を紹介しておこう。空豆好きにとって、この料理を知らないのは人生の損失だ。嗚呼、全世界の空豆好きに伝えたい。

つやつやとした葱油(青葱ソース)をまとって翡翠のように輝く空豆は、実に艶めかしい。いざ頬張れば、皮まで柔らかな空豆にまず驚き、歯をかみ合わせるごとに広がる旨さにもう一度驚くことになる。

葱油蚕豆 

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おうちで中華 - 胡蘿蔔炒蛋(にんじんの卵炒め)

おうちで中華 - 胡蘿蔔炒蛋(にんじんの卵炒め)

人参が旬を迎えましたねということで、今日は簡単な人参料理をご紹介。胡蘿蔔炒蛋(にんじんの卵炒め)だ。

思いっ切り家庭料理なので、レストランの品書きで見かけることはあまりない。だが、シンプルな味付けが人参の甘味を引き立てて、とても美味しい。身近な食材で気軽に作れるところもいい。

因みに、胡蘿蔔とは、「西域から伝わった大根(蘿蔔)」という意味だ。植物学的には人参と大根は全くの別種だが、確かにまあ、

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おうちで中華 - 涼拌竹筍(筍の冷菜)

おうちで中華 - 涼拌竹筍(筍の冷菜)

旬のうちに、筍料理をどんどんご紹介していこう。今日の料理は、涼拌竹筍(筍の冷菜)だ。見た目にも爽やかな、春らしさいっぱいの冷菜である。

これまで紹介した筍料理の中では、最もシンプルな一品だ。ご覧の通り、乱切りにした筍を和えるだけなので、ものの5分で作れる。

涼拌竹筍 凉拌竹笋
liángbàn zhúsǔnむちゃむちゃ簡単なのにとても美味しいから、重宝する。シュクッとした筍に青葱の香りがからん

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