マガジンのカバー画像

週1物語 1000文字

11
今は小さくてもいいから、出来ることを繰り返す。その出来ることを繰り返して大きい壁を超えていきたい。そう思って書いてます。
運営しているクリエイター

記事一覧

――直情  short―― 一話完結 (週一物語)10/10

――直情 short―― 一話完結 (週一物語)10/10

大学に二週間行かなくなると、同じ大学の真理が家に来た。僕は作り笑顔を絶えなかった。笑う必要はなかったが、そうすることが正しいと思った。真理はこの二週間、僕にずっと電話をしていた。が、僕は出なかった。なぜでなかったのか、それはよくわからない。

「来てくれなくてもよかったのに、今バイトが忙しいんだ。なんだか、急にやめた人がいてさ、その人の代わりにシフト多めに入れられてしまったんだ。本当に困ったよ。明

もっとみる
足は赤い、声と影 一話完結(週一物語)9/10

足は赤い、声と影 一話完結(週一物語)9/10

窓から見える景色は錆びれたビルや、ちっぽけな商店街…くだらない。毎日見る景色はどこかくすんでいた。目線は下がる。

朝、いつもバスに乗る。田舎のバスは1時間に一本あればいい方だった。混む時間を避けて乗ったバスは誰も乗っていない。後ろから3番目の左側に座り頬杖をついた。またか…。バスの横を少年が走っている。こんな朝からなんでバスを追いかけるのだろうか。安全運転に走るバスは時速50km……なぜ追いかけ

もっとみる
追いかけてもその先に誰もいない。一話完結 (週一物語)8/10

追いかけてもその先に誰もいない。一話完結 (週一物語)8/10

ーーー降りしきる雨の中で僕は叫んだ。頭の片隅では分かっている、この真実を。でも今は追いかけさせて欲しいーーー

『嘘か夢か何だか知らねーけど、辞めろよ!出てくるんじゃない!笑うな、お前が笑顔なんて許せないっ!』声は叫びすぎて枯れ、頭痛で意識が薄くなっても、足を止めず追いかけた。あまりの声の大きさにすれ違う人は僕を見る。

この行動は雨が降った時にする、すごく良いように言えば習慣だった。雨の日だけ通

もっとみる
笑顔が嘘のように見える 一話完結 (週一物語)7/10

笑顔が嘘のように見える 一話完結 (週一物語)7/10

『お前、嘘ついてるだろ?』

『何が?』

教室で隣の子に話しかけてみた。彼女はいつも違和感があった。話す言葉、見せる行動が偽りに包まれているように感じた。

『なんか隠したいことでもあんのか?顔も表情も、行動もまるで演技してるみたいだ。そんなに嘘ついて何考えてるんだ?』

彼女はいつものように目線をそらして、無言でこの会話の終わりを待っているようだった。

『全部。なんか隠したいことでもあんのか

もっとみる
傘は透明で水をはじく 一話完結 (週一物語)6/10

傘は透明で水をはじく 一話完結 (週一物語)6/10

『どこかの世界の人よりも幸せ。だから、頑張りなさい』

………そんな事、知ったこっちゃねーよ。

―――教室で先生の話している。話は世界のどこかの人達の生活…?だったかな…。まぁ、そんな楽しくない話だった。そんな話を聞き流しながら、窓から景色を見る。今日は曇りで、雨が降りそうだった。いつになったら降るのだろうかと、雨をただ待っていた。暗い表情をしていても、天候のせいにできる。なんとも言えない感情も

もっとみる
休日の最後は、僕の思うがまま 一話完結(週一物語)5/10

休日の最後は、僕の思うがまま 一話完結(週一物語)5/10

あれはたしか長い休みの最後の日だったと思う。夏休みだったかな…?休みの最後の日は、なんだか空しくなる。明日の学校でやること、提出物、時間割…義務感が拭えない。逃げられない前日。明日来る感情は、楽しくないことが明らかだった。僕はそう予想して、休みの最後は友達に会うようにしている。でも今回はもう少し楽しい事が僕を待っている気がして、少しにやけながら、僕は自転車で集合場所に向かった。会うのは女の子。髪が

もっとみる
ざらついた感情。一話完結(週一物語)4/10

ざらついた感情。一話完結(週一物語)4/10

『守るからね。』『大丈夫だからね。』『いつも大切に思っているよ』

そんな言葉は、全部嘘だった。

その言葉を話す父はいつも家にいなかったし、その言葉を母は浮気する父をごまかすように使っていた。『お前の父ちゃん、浮気してんだってな。どうなの?その家の息子って??』学校に行けば、面白半分で友達が話掛けてくれる。身近な人は嘘つきで、クラスメイトの方が真実を語る。でも、ありがたかった。普通なら嬉しくない

もっとみる
無言のまま終わる会話 一話完結(週一物語)3/10

無言のまま終わる会話 一話完結(週一物語)3/10

色んなものが変わっていく。仕事も、人間関係も、好きなことも、会いたい人も。今まで笑顔で選択していたことが、今はどの選択をするのも迷っている。立ち止まって視界が下がる。ただ選択するのを恐れている。手が震えくる…震えを隠すために拳を握ってもより震えが起こる…。笑顔で選んでいたことを選べない。その選択をしたら、作り笑顔をしている自分を知ってしまったから…。分かんない………何が正しくて正しくないか。何を選

もっとみる
付き纏う、夢の自分 一話完結(週一物語)2/10

付き纏う、夢の自分 一話完結(週一物語)2/10

いつもこの夢を見るときは特別じゃないんだ。いつもの横寝から夢に入る。始めの夢はいつも遊園地があるんだ。僕は誰かとその遊園地に来ている。そこは有名なパークみたいに広くて、たくさんの乗り物に乗る。どの乗り物も楽しくて、僕は誰かと一緒に笑ってるんだ。あまり現実では笑わない僕がそんなに笑うなんて、変だろ?でも、その世界ではそれがナチュラルにできるんだ。時間もお金も、いつも背負っていた責任感も義務感も忘れら

もっとみる
視界に映る笑顔   一話完結(週一物語)1/10

視界に映る笑顔   一話完結(週一物語)1/10

「すばらしいッ!!今回もテストは満点だ!」

先生が私をほめたたえる。私の小学校は毎回のテストで点数の良い生徒から返却される。どの教科も私は一番だった。皆にすごいね!カッコいいねと言われていた。だけど、べつに別に大したことしたわけじゃない。

だた点の取り方が上手かっただけ。こんなに特別扱いを受けるけど、普通がよかった。そんな点数を取ったところで先生の笑顔が増えるぐらい。昼休みの時間に友達と解けな

もっとみる
《お知らせ》有料ノート始めました!

《お知らせ》有料ノート始めました!

追記5/11
本文は5/10に書いたものですが、訂正があったので、5/11に変更しました。訂正箇所は、有料マガジンと有料ノートを大きく勘違いしていたことです。タイトル、本文では『有料マガジン』と記載したものは、すべて『有料ノート』でした。本当申し訳御座いません。以降本文は訂正しております。大変失礼致しました。

今日から有料ノート始めました。一話完結で毎週、短い話の作品を出します。とりあえず10話

もっとみる