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休日の最後は、僕の思うがまま 一話完結(週一物語)5/10

あれはたしか長い休みの最後の日だったと思う。夏休みだったかな…?休みの最後の日は、なんだか空しくなる。明日の学校でやること、提出物、時間割…義務感が拭えない。逃げられない前日。明日来る感情は、楽しくないことが明らかだった。僕はそう予想して、休みの最後は友達に会うようにしている。でも今回はもう少し楽しい事が僕を待っている気がして、少しにやけながら、僕は自転車で集合場所に向かった。会うのは女の子。髪が長くて、ワンピースを着てきた。僕から誘ったこのカフェデート。ここで過ごすのは多分1時間ぐらいになるだろうと思って、適当な話題を言葉にした。彼女は僕の言葉から色々と話していたみたいだけど、基本的に僕は話を聞いていなかった。そんな話は目的ではないから。どうでもよかった。

「おい~…佐藤じゃん~」

軽薄な声、後ろを振り向けば友達の田中がいた。クラスメイト。いや、友達というよりも名前を知っている人と言った方がいい。あまり仲が良くない人だ。

「お前デートかよ、いいねー」

と言いながら僕に近付いてきた。

「え、…ああ……いや…えー…と」

僕は少し慌てて見せた。

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