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戦争と平和 〜単純に「戦争反対」と声をあげてよい時〜

今、春の訪れを感じさせる都心の公園にあるカフェにて、うとうと眠ってしまいそうな陽だまりの中でこれを書いている。心地よいBGMが流れ、窓の外では、人間の子供以上におしゃれな服を着た犬を連れた人たちが談笑している。そして、手元のスマホに目を落とすと・・・「ウクライナ側が激しく抵抗」のニュース!

東京と、キエフ。なんという違い!

ロシア軍によるウクライナ侵攻以降、心がざわつき、何もできない焦燥感に襲われっぱなしだ。タリバンの政権掌握の悪夢以来の衝撃。今回は、さらに世界の秩序を今以上に弱肉強食に変えていく暗黒時代への序章の匂いすらする。

ロシア、ウクライナ、アメリカの分析、そしてプーチンという人間の分析・・・それぞれの専門家が解説してくれる。自分はよく知らないので、ためになるものは、ためになる。

そして、誰しもが”知ったようなこと、わかったようなこと”を言ったり書いたりしている。「ロシアというのは、昔からそういうもんだ」「そもそも、アメリカが〜だから、〜なのだ」「中国の立場としては〜」・・・

それはそれでよいのだが、それにしても、実に気持ちが悪い。心がそわそわする。
何かが違う・・・これは、何の違和感なのだろう。

それは、今起きていることの、あまりの酷さ、それを世界中の誰もが感じているのに、そのまま「ちょっとこれは酷すぎる!」と声をあげきれていないことではないだろうか。

分析、結構。理屈、結構。”わかったような”解説、結構。まずは今行為としてどんなひどいことが行われていることを認識したい。その上に、違う意見、議論があればよいのでは。

比喩が適切ではないかもしれないが、例えば・・・
ある人が他人の家のドアをぶち壊して侵入し、中の人を殺しまくり、中の人が抵抗して戦っているとする。

その時に、「これは家宅侵入?殺人?傷害致死?いや、正当防衛?」と法律の議論をしたり、「いや、被害者だってもともと〜だし」「隣の○○さんがあの家に干渉したから」「犯人にも言い分があり、あの家が脅威なので自衛のためだと言う」「一方的じゃなくてお互い殺しているのでは」「そもそも家人から助けてほしいと言われて家に入ったらしい」「いや、それはフェイクニュースらしい」「そもそも犯人の性格が形成された思春期の環境は〜」「こういう事件が起きた時は、どの法律でどう対処すべきか」「今回の犯人が捕まらなかったら、今度うちの近所で似たような事件が起きないか心配」などと、侃侃諤諤、議論していたとすれば・・・そして、そう言っている間にもまだ殺戮と抗戦が続いていて、子供たちが、周りの人たちが恐怖に怯えているとしたら・・・

喩えていうならば、こんな感じがして仕方がないのだ。

「戦争反対(正確には”侵略”反対)」と声をあげることが、チープな感じがして恥ずかしい人も多いかもしれない。しかし、今は、まず単純にそう思ったら、そう言って構わない状況ではないだろうか。怒りをあらわに蛮行を非難していい。政治的思想関係なし。知識がなくても、分析ができなくても、構わない。それは専門家に任せればいい。自分が動いて何も変わらなくても、構わない。チープと言われようが、なんと言われようが、これは、「ダメだ!」単純にそう言ってよい事態なのだ。

それにしても、自分は、何もできていない・・・・

想像ばかり。しかし、全世界の人が想像力を働かせることは、とても大事だと本当に思うのだ。

また例え話で恐縮だが、今、日本に敵軍が侵入し、主要都市が支配下に置かれたら・・・。原発も抑えられた。山梨県あたりまで、そして東京湾沖まで敵軍が迫って大量の死者が出ているらしい・・・こんなカフェでカフェラテなんて飲んでる場合か。ひっきりなしに爆音が聞こえ、アパートが空爆されたようだ。ネットも電話も通じなくなった。家族の安否がわからない。逃げようにもどこに逃げればよいのか、敵が今ここに来たらどう戦えばよいのか・・・

とにもかくにも、「キエフ陥落」のニュースを見なくて済むように、祈っている。

アフガニスタン・カブール近郊に残された旧ソ連軍の戦車の残骸 撮影 AJ

(注:表紙の写真は、ロシア・サハリンの州都ユジノサハリンスク市内の”戦勝”を記念する広場 AJ撮影)

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