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散文詩 鍵っ子の行く道
鍵っ子が道を尋ねてきた
僕の帰る方向はどちらですか
僕は少しいじわるをして
適当な方向を指差した
鍵っ子はありがとうとお礼を言って
その方向へと歩き出した
僕は面白そうだったので
鍵っ子の後をそっと追いかけた
鍵っ子はたくさんの鍵を持っていた
道行く先々でいろんな物を開けていった
お腹が空くと適当な家のドアを開けて
台所で夕飯のおかずをつまみ食いした
食べることに飽きたら
爆弾が生えた少年(ウミネコ文庫応募作品)
ある朝よしおが目を覚ますと、いつもより頭が重たいような気分だった。頭に手を伸ばして触ってみると、頭のちょうどてっぺんの辺りに固い金属のようなものがあることに気がついた。よしおはベッドから起き上がると、急いで洗面所に向かった。台所では母親がよしおの頭を見て、ハッとしたような顔になった。けれど、すぐに目を逸らし「おはよう」と呟いた。新聞を読んでいた父親は、微かな声で「ふむ」と言った。
洗面所の鏡