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#読書感想文

『同士少女よ、敵を撃て』の感想とレビュー|侵攻されるロシア側から見た戦争

『同士少女よ、敵を撃て』の感想とレビュー|侵攻されるロシア側から見た戦争

逢坂冬馬先生の「同士少女よ、敵を撃て」を読んで。
(アガサ・クリスティ賞受賞作品)

同士少女よ、敵を撃ての感想とレビュー視点が第二次世界大戦中のロシア、そのスナイパーを担う女性兵士という面白味が素晴らしく歴史的な事実を踏まえている為にどこか「本当にあったのではないか」と思わせている点も作品の良さを際立たせています。

細部に渡る戦闘描写が秀逸で実際にその場にいるような臨場感を与えてくれます。逆に

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湊かなえ先生の『未来』で見える子供の貧困問題と大人の無知|伝えられない現実が闇の深さを濃くする

湊かなえ先生の『未来』で見える子供の貧困問題と大人の無知|伝えられない現実が闇の深さを濃くする

伝えられないって苦しいことです。
その苦しさが現実にどう跳ね返っていくのか、それを想像させてくれる。

『告白』から十年以上を経て、またも名作現るという感じの読後に「うぅむ」と子供の貧困と喘ぐ辛苦の現実に唸りました。

※感想とレビューを記載しますが、記事の特性上ネタバレを含む場合がありますので既読のもとでお読み頂けると幸いです。

お金のない大学生の末路作中に登場するある方の過去。
その過去に登

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正欲の考察|多様性とマイノリティの見方と登場人物の苦しみ ※一部ネタバレ有り

正欲の考察|多様性とマイノリティの見方と登場人物の苦しみ ※一部ネタバレ有り

今回は朝井リョウ先生の『正欲』についての考察。

考察記事の性質上、どうしてもネタバレになる部分も発生することがあるのでご理解下さい。

正欲のあらすじ登場人物が持つ「性欲」についてマジョリティとは異なる性質を持ちながら苦しむ登場人物たち。作中でも一般的とされる「異性への興奮」と更に昨今はマイノリティとして受け入れが始まってるLGBTQの存在。しかし中にはそんなものでは括れない「異常者」と世間で認

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黒牢城の感想レビュー|荒木村重と黒田官兵衛の謎解きと策謀。人心掌握の闇を暴き出す名作

黒牢城の感想レビュー|荒木村重と黒田官兵衛の謎解きと策謀。人心掌握の闇を暴き出す名作

 荒木村重を主人公とした「黒牢城」は多くのミステリーランキングを総ナメにした作品として知られています。歴史小説とミステリーの融合、これほどまでに上手くまとめ上げられるものなのかと思える作品です。

 歴史好きもミステリー好きも双方が納得出来るものでしょう。

※ネタバレも一部含んだものとなりますのでご注意下さい。未読の方は先に米澤穂信先生の黒牢城をお読み下さい。

荒木村重が謎解き役となる チープ

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