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エッセイ

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今までの日々や、ささやかな僕の奮闘を書いていければと思います。
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#友人

「世界のバランス」

「世界のバランス」

大阪から東京に仕事で来た後輩と久しぶりに会う約束をした。
あまり東京に来たことがない後輩を案内して回り、お昼には僕がオススメのラーメン屋へ連れて行った。その店はラーメンも勿論美味しいのだが、なによりも炒飯が絶品で後輩にも絶対食べて欲しいと思い、ラーメンの大盛りを頼もうとしていた後輩を説得してラーメンセットの食券を二枚と、ラーメン大盛りの食券を購入した。

「僕そんな、どっちも食べれますかねぇ」

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「花瓶の葬式」

「花瓶の葬式」

花瓶を割った。

その花瓶は僕の友人がまだ若く金もない頃に、それでもどうしようもないほどに魅了されて購入したものである。それから十年以上大事に使っていたその花瓶を、友人は僕の働くBARのカウンターに置いてくれと持ってきた。それは友人がもうその花瓶に飽きたとか、もっと高価でいいものを見つけたからという理由ではない。友人は自分の大事な花瓶と、その想いを僕に託したのだ。そして僕は、その花瓶を割った。

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「#6 口笛を吹いて気まずさが増す」

「#6 口笛を吹いて気まずさが増す」

若い頃は好きな人達や、気の許せる仲間達と酒を飲んで過ごしていれば良かったけれど、年齢を重ねるに連れそうもいかなくなって来る。
上司や先輩などに誘われた場にあまり面識のない人がいることもあるし、友人と飲んでいても、「今なんか久しぶりに友達から連絡来てんけどここに呼んでもいい?」とか、「ちょっと難波君に紹介したい人がいるんだけど、ついでに誘ってもいい?絶対気が合うと思うんだよね!」なんてやり取りが

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