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#僕

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kimi koi
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#退廃

花と針

花と針

アオハルの破片は心の粘膜
透過して音もなく刺さるんだ
刺激と暴力を履き違えて
僕を一人にしないでよ

カラフルな喜びが花開く季節は
僕の心象モノクローム際立つ季節
拒絶と喪失が隣り合わせの空間で
青ざめた桜が開花する

誰か前線を止めて
描けない未来 進めない足
誰か冷戦を止めて
透明なピラミッドから転げ落ちる

窓から見える春霞の並木
校内お

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青い部屋のカーネーション

潤む画面に海月 巡って踊るアンニュイ
透過して 肺は白 喉は赤 吐き出して錆色
僕の自由が一つ一つ奪われては
水底に集う花々に 吸い取られていった

回転させた 何度も吸い込んで
ヴァイオレット色のカスタネットは空振り
いつか見た景色が 狂った幸せに思えたから
ルイボスバニラの香りで 強引に誘ってほしい

液と液 混ざり合って溶けて 綺麗にして 僕を
指先のパルス 微かな誤差 深い眼差しの

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スワロフスキーと黒鳥の夢

オフホワイト色の夢 剥がれた
嗚咽して 吐き出した ただれた まどろみ
君のところまで 連れて行く天使の羽根は
夜の工場地帯 煤で汚れた純真

大切なものは 廃工場で 埋め立て地
水面は鏡 映し出して 向き合った 過去
ジェットブラックの世界 君の瞳は濡れていた
人間じゃないものが好きなのと言って
幽霊のようにふわり 旋回する影に 手を伸ばして

夢の国の土台には 幾千の凡庸が眠っていて

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アダージョ、間延び

君と氷の上で踊り続けて 黒い薔薇が揺れて
舞台 砕けてしまったなら 二人で
パープルブルーの水底へ 沈んでいく 冬
いつかこのガラスも 廃工場で終わりを待つ

石榴の瞳に 僕のせいで 涙浮かんだら 嬉しい
白昼夢の庭 羽化したばかりの
翅をむしり取って 笑う あの夏の夜
奪って 奪って 僕のものになっていく
それが 気持ち良かった

ポラロイドは公園の砂場で
蟻に噛ませて 朽ちていった

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