アダージョ、間延び

君と氷の上で踊り続けて 黒い薔薇が揺れて
舞台 砕けてしまったなら 二人で
パープルブルーの水底へ 沈んでいく 冬
いつかこのガラスも 廃工場で終わりを待つ

石榴の瞳に 僕のせいで 涙浮かんだら 嬉しい
白昼夢の庭 羽化したばかりの
翅をむしり取って 笑う あの夏の夜
奪って 奪って 僕のものになっていく
それが 気持ち良かった

ポラロイドは公園の砂場で
蟻に噛ませて 朽ちていった
幻影に 嫉妬する 何かを追いかけて
生きているつもりでいた
憐れんで この モノクロームの身体

檸檬が嫌いな 君はいつから 大人になったの
涙のような嘘は 分かりやすく
傷付けられるだけ
一人と一人だから いつまでも 不安
呼吸は 平行線で 白く 伸びては 消える

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