いち香

主に闘いの記録を書きます。あとは、たまに考えたことや感じたこと。

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マガジン

  • 私の蝶々がいなくなった。

    甲状腺がんと私の記録。私が経験したこと、感じたこと、考えたこと。古いものが上に来るように並べています。

  • 箸休め。

    短めのエッセイ。日々のことや、私の頭の中。

  • 嬉しかった言葉集。

    病気が見つかってからかけてもらった、嬉しい言葉たちを集めました。メイン投稿の間に、気まぐれで挟んでいきます。

記事一覧

固定された記事

私のこと。

きっかけ  2023年12月、病気が見つかりました。甲状腺がん。それが私に見つかった病気の名前です。病気について詳しいことは、別の記事に書きたいと思います。  病気…

いち香
2か月前
39

右手で手招き。

退院までにかかったお金  病気になったら避けては通れないもの。それは治療に伴う出費です。今日はお金の話をします。あくまでいち香の場合として、参考までにご覧くだ…

いち香
1日前
4

エネルギーの使い方。

落ち切った体力  退院後に声以外で困ったのは、体力がすごく落ちていたことでした。元々体力がある方ではないので、入院前にたくさん歩いて身体づくりに励んでいました…

いち香
3日前
10

声が届かなくても。

卒業前にしたいこと  身体も心もしんどかった術後1か月頃。少し無理をしてでもやりたいことがありました。卒業前の、先生方への挨拶回りです。学年の中で1番色々な先生…

いち香
5日前
12

サバイバーになれない。

 私は「がんサバイバー」という言葉があまり好きではありません。そもそも、がんサバイバーはどんな人を指すのか。きちんと理解するために調べてみました。 サバイバーの…

いち香
9日前
23

声が戻るまで。

退院後に1番困ったこと  退院してまず困ったのは、声がカスカスで上手に話せないことでした。声量もかなり落ちていて、ざわざわしたお店の中にいるときや道を歩きながら…

いち香
2週間前
18

「がんばったね。」

「がんばったね。」  心にすんなり入ってくる言葉です。「頑張れ」よりも「がんばったね」と言われる方が、私は嬉しく感じます。「頑張れ」と言われると「もっと頑張らな…

いち香
2週間前
8

踏み切れないのは。

   あぁ、病気になったことを封印してしまいたい。  初めてそんな風に感じて、自分で自分に驚きました。全部無かったことにしてしまいたい。「手術をする前とまったく…

いち香
2週間前
8

退院の日。

眠れない  朝4時頃に目が覚めました。いつもは途中で起きてもすぐ眠れるのに、この日は1時間経っても寝付けませんでした。退院に向けての不安が大きかったのかもしれま…

いち香
3週間前
9

可愛がられ分析。

 私の場合、看護師さんたちに「よくしてもらった」より「可愛がってもらった」の方がしっくりきます。どうして可愛がってもらえたのか。理由にいくつか心当たりがあるの…

いち香
3週間前
14

感謝の気持ちを乗せて。

みんなに感謝を伝えたい  退院前日の夜。れごさんが来てくれたことも、私に伝えてくれた言葉も嬉しくて。かけてもらった言葉を忘れないように何度も思い出しては、その…

いち香
3週間前
16

そばにいてくれること。

密かな楽しみ  ずっと書きたかった、看護師さんたちの話です。患者側として看護師さんを見るのはとても新鮮で、看護師さんを観察するのが毎日の楽しみでした。  どの…

いち香
4週間前
7

笑ってね。

退院まであと2日  術後9日目、入院11日目。この日は決まった時間の検温以外に何も予定がなかったので、ゆっくり過ごしました。本を読んで、友達と連絡を取って。久しぶ…

いち香
4週間前
17

退院したくない。

守られた場所  私はかなり入院生活を楽しんでいた患者だと思っています。病院は、そんなに考えなくても快適に生活できる場所でした。日々の小さな選択すらしんどく感じ…

いち香
1か月前
15

決まっていく。

精神腫瘍科  本題に入る前に、精神腫瘍科について少し説明。「がん患者さんと周りの人を精神的な観点から支えてくれる医療者がいるところ」と私は捉えています。  お…

いち香
1か月前
10

「あなたのつらさは、あなたにしか分からない。」

「いち香さんのつらさは、いち香さんにしか分からない。」  退院が決まってからぼろぼろの私に、受け持ち看護師さんがかけてくれた言葉です。この言葉をかけてもらったと…

いち香
1か月前
10
私のこと。

私のこと。



きっかけ

 2023年12月、病気が見つかりました。甲状腺がん。それが私に見つかった病気の名前です。病気について詳しいことは、別の記事に書きたいと思います。
 病気のこと、病気をきっかけに感じたことや考えたことを発信するかとても悩みました。悩んで悩んで、私の経験が誰かの支えになったらいいなと思い、書くことに決めました。やってみようと少しでも思ったのなら、挑戦してみる。病気になってから変わった

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右手で手招き。

右手で手招き。



退院までにかかったお金

 病気になったら避けては通れないもの。それは治療に伴う出費です。今日はお金の話をします。あくまでいち香の場合として、参考までにご覧ください。
 入院までの色々、手術・入院、退院後にかかったお金は下の通りです。

 専門病院初診から入院するまでに主に必要だったのは、診察代と検査代でした。合計、約6万円。どの検査も受けるのが初めてだったので、いくらかかるのか分からなくて。

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エネルギーの使い方。

エネルギーの使い方。



落ち切った体力

 退院後に声以外で困ったのは、体力がすごく落ちていたことでした。元々体力がある方ではないので、入院前にたくさん歩いて身体づくりに励んでいました。入院中に体力が落ちるのが怖くて、入院してからも毎日少しでもお散歩するつもりでいました。
 しかし、いざ入院してみたらお散歩できるところがほとんどなくて。外来のある1階は混雑していて、とてもじゃないけれどお散歩できる雰囲気ではありません

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声が届かなくても。

声が届かなくても。



卒業前にしたいこと

 身体も心もしんどかった術後1か月頃。少し無理をしてでもやりたいことがありました。卒業前の、先生方への挨拶回りです。学年の中で1番色々な先生にお世話になったんじゃないかと思うくらい、たくさんの先生にお世話になりました。ゆっくり話したい先生方には約束をしていましたが、アポを取るほどではないけれど一言ご挨拶をしたい先生もいます。本来なら謝恩会でご挨拶すればよいのでしょうけれど

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サバイバーになれない。

サバイバーになれない。

 私は「がんサバイバー」という言葉があまり好きではありません。そもそも、がんサバイバーはどんな人を指すのか。きちんと理解するために調べてみました。

サバイバーの意味も調べてみました。

 定義的には私もがんサバイバーに含まれますが、「私はがんサバイバーです。」と名乗るのは何だか違う。「がんサバイバーなんですね。」と誰かから言われるのは、もっとしっくりこない。「がん経験者」の方が受け入れられます。

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声が戻るまで。

声が戻るまで。


退院後に1番困ったこと

 退院してまず困ったのは、声がカスカスで上手に話せないことでした。声量もかなり落ちていて、ざわざわしたお店の中にいるときや道を歩きながらだと話すのが難しかったです。手術したことを知らない人が聞くと驚いてしまうくらいのかすれ具合。相手が「声どうしたの?」と聞いてこないかな、聞かれなくても不思議に思っているだろうな、気を遣わせて申し訳ないな、など色々考えてしまって。神経を使

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「がんばったね。」

「がんばったね。」

「がんばったね。」

 心にすんなり入ってくる言葉です。「頑張れ」よりも「がんばったね」と言われる方が、私は嬉しく感じます。「頑張れ」と言われると「もっと頑張らなきゃ!」と思うし、限界が近いときに言われると「もう頑張ってるのに…。」と感じてしまうので、「頑張れ」はあまり好きではないのです。「頑張れ」が嬉しいときも、もちろんありますが。言うのも実はあまり好きではありません。他にいい言葉が見つからなく

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踏み切れないのは。

踏み切れないのは。

 

 あぁ、病気になったことを封印してしまいたい。

 初めてそんな風に感じて、自分で自分に驚きました。全部無かったことにしてしまいたい。「手術をする前とまったく変わらない私だ。」と思い込んで生きていたい。でも実際は難しいでしょう。毎日薬を飲んで、定期的に病院に行かなければいけません。どちらも元気でいるために必要です。手術の痕は残っているし、首元を触れば甲状腺がないと分かります。手術前には戻れな

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退院の日。

退院の日。



眠れない

 朝4時頃に目が覚めました。いつもは途中で起きてもすぐ眠れるのに、この日は1時間経っても寝付けませんでした。退院に向けての不安が大きかったのかもしれません。病棟が朝モードになるまであと1時間。個室とはいえ、かなり早い時間に部屋の電気を点けるのは抵抗がありました。どうするか悩んでいたとき、前の晩に「早く起きてしまったらナースステーションに来ていいよ。」と看護師さんが言ってくれたのを思

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可愛がられ分析。

可愛がられ分析。



 私の場合、看護師さんたちに「よくしてもらった」より「可愛がってもらった」の方がしっくりきます。どうして可愛がってもらえたのか。理由にいくつか心当たりがあるので、分析してみたいと思います。
 突然ですが、看護師さんたちのことを書いたら書きたくなったので。やってみます。

その1、幼い

 可愛がってもらえた理由として、これが1番大きいと思っています。入院当時、私は22歳。同じ時期に入院している

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感謝の気持ちを乗せて。

感謝の気持ちを乗せて。



みんなに感謝を伝えたい

 退院前日の夜。れごさんが来てくれたことも、私に伝えてくれた言葉も嬉しくて。かけてもらった言葉を忘れないように何度も思い出しては、その度に泣いていました。退院が決まってからたくさん流した不安の涙ではなくて、嬉しい涙でした。たくさんの看護師さんが気にかけてくれたのが嬉しい気持ち。看護師さんたちと会えなくなるのが寂しい気持ち。退院するのが不安な気持ち。色々な感情が渦巻いて

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そばにいてくれること。

そばにいてくれること。



密かな楽しみ

 ずっと書きたかった、看護師さんたちの話です。患者側として看護師さんを見るのはとても新鮮で、看護師さんを観察するのが毎日の楽しみでした。

 どの看護師さんも親しみやすく、丁寧に接してくれました。そのなかでも、話しやすい人と少し話しかけづらい人がいました。話し方、選ぶ言葉、雰囲気、表情や仕草。たくさんの要素が、その人の「看護師像」を作っていました。
 たとえば、受け持ち前に挨拶

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笑ってね。

笑ってね。



退院まであと2日

 術後9日目、入院11日目。この日は決まった時間の検温以外に何も予定がなかったので、ゆっくり過ごしました。本を読んで、友達と連絡を取って。久しぶりに穏やかな時間が流れていました。
 この日の日勤さんは、受け持ち回数おそらく最多の方でした。退院に向けた不安を初めて打ち明けた看護師さんです。私は心の中で、「れごさん」と呼んでいました。あだ名の由来は秘密です。れごさんとは関わる時

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退院したくない。

退院したくない。



守られた場所

 私はかなり入院生活を楽しんでいた患者だと思っています。病院は、そんなに考えなくても快適に生活できる場所でした。日々の小さな選択すらしんどく感じていた私にとっては、とてもいい環境だったのです。
 消灯時間と起床時間が決まっているので、特に考えなくても起きられるし寝られます。入院している間にアラームをかけることは一度もありませんでした。毎日決まった時間にバランスの取れた美味しいご

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決まっていく。

決まっていく。



精神腫瘍科

 本題に入る前に、精神腫瘍科について少し説明。「がん患者さんと周りの人を精神的な観点から支えてくれる医療者がいるところ」と私は捉えています。

 お昼前に、精神腫瘍科の先生が来てくれました。昨日話を聴いてくれた認定看護師さんも一緒です。来てくれるのが早くてびっくりしました。私と話した後、受け持ちさんがすぐ連絡してくれたのでしょう。話しやすい先生でほっとしました。仕事への不安、今の

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「あなたのつらさは、あなたにしか分からない。」

「あなたのつらさは、あなたにしか分からない。」

「いち香さんのつらさは、いち香さんにしか分からない。」

 退院が決まってからぼろぼろの私に、受け持ち看護師さんがかけてくれた言葉です。この言葉をかけてもらったとき、私のことを理解してくれた感じ、看護師さんと通じ合えた気持ちになれたから嬉しかったのです。
 学生のとき、実習中に「今、患者さんと気持ちが通じ合ったな。」と感じる瞬間が何度かありました。心がじんわり温かくなるような、言葉では表現できない

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