見出し画像

仕事の話。



 告知まで、そして手術が終わってからも悩み続けたのは仕事についてでした。就職先は決まっているけれど配属先など具体的なことは不明、病気のことを誰にどこまで連絡したらいいのかも分からない状態でした。仕事の関係で詳しいことは書けないかつ、説明が難しい部分もあるので、いつもよりふわっとぼやっと書きます。


参考にできる例がない

 「内定はいただいているけれど実際に働き始めていない場合」にどのような対応をされるのか、そして病気のことをどこまで採用先に話すべきなのか分かりませんでした。病名を伝えるのか、病名は伝えず手術を受けることだけ言うのか。それとも、何も言わずに4月から働くのか。当時の私が最も心配していたのは、採用を取り消されること。本当に何も情報がなかったので、かなり神経質になっていました。
 幸運なことに、告知後1か月も経たないうちに就職先に詳しい人と話をする機会があり、少し情報を集めることができました。はっきり分かったのは、「私が辞退しない限り、採用先から内定を取り消されることはない」という一点だけ。私が探せる範囲では、内定をいただいた後に病気が見つかって4月に間に合わない可能性があるケースは見つかりませんでした。前例がない。似た境遇の人すら見つからない。途方に暮れていました。
 採用先に連絡をしたのは告知から数瞬間後。できる限り情報を集めてから覚悟を決め、連絡しました。最初は病名を伏せていて、採用先から聞かれて初めて、病名を口にしました。それくらい言いづらかったです。医療の進歩によりがんは命を落とす病気ではなくなってきたものの、「がん」という言葉のインパクトはまだまだ大きいと思っています。さらっと言えるものではありませんでした。

事実と私の気持ち

 手術前にはっきり伝えたのは、病名、手術をする時期、退院予定日でした。病気を経験した方から言われてとても参考になったのは、「事実は事実としてはっきり伝える」ということ。病名も、手術をすることも事実です。気持ちを含めずに、事実は事実として淡々と伝える。冷静に話をするために大切なことでした。
 手術前の時点では、「この状態で4月から働くのは不安です。」と言っていませんでした。「不安」は、私の気持ちであって客観的事実ではありません。電話の向こうにいる相手に、自分の気持ちを素直に伝えることは抵抗がありました。不安を抱えているとはっきり口にすることでよくない印象を持たれたくなかったのです。それに、採用先に病名を伝えた頃の私は色々なことが重なって、限界ギリギリの状態でした。仕事のことは手術が終わってから考えようと思って、一旦保留にしました。

 少し長くなってきたので、手術後の私がどんな選択をしたのかは次の記事に書きます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?