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2005年の日記(2024/05/20〜21)

2005年を思い浮かべて書いた架空の風景と回想です。 2005年1月1日 晴れ。アパートの窓。銀色の煙突が蔦のからまった屋根からつきでる。川。土手にひとが集まっている。子供が走ってる。鳥がむれをなして空を飛行している。工場。予備校は休み。除光液をコンビニで買う。ロータリーにつぶれたタルトが落ちている。カラスがつつきにくる。2時からバイト。Fさんはしんどくなると、家のトイレで口を抑えて思い切り「死ね!」と叫ぶらしい。 2005年5月2日 会社帰り。アパートの窓。明かりが

    • 会う(2024/05/0X)

      もっと上手に。いる。言う事。いない。いないでいいこと。言わないで良いこと。逆らうこと。水みたいなものが全身にしぶきをあげて、かかり、かかっては撥ね退け、いる。刺す。刺される。退会する。もう無理なのでそのままでいるもういないのでなにかに代替するまま、ああ言えばこう言い、知らないまま時が過ぎ、しらない、すべてつまり、詰まったまま動き、動いては退き、いなくなっては点滅した。 オレンジ色の、例えば信号機の光みたいなしかしずっともっと強烈なので夜を昼にした。昼と夜があるのではなく。ま

      • 2024/05/13 日記

        雨が苦手、というより、薄暗いところが苦手なのかもしれない。島のばあちゃん家の仏間は、居間から完全に切り離されてひとつの部屋になっていて、ガラスのふすまを引くと、いつも真っ暗な、窓のない、線香の匂いがして、夏になるとサウナみたいに蒸し蒸しとして熱い仏間があらわれるのだけど、そこにひとつ大きなダンボールを置いて、その中に入り、完全な真っ暗になるのを怖がりながらもよろこんだ記憶がある。 明かりにめっぽう弱いのかもしれない。一度、「人生の最初の記憶」を改ざんしたことがある。本当は、

        • 無題#3 (4/29~2024/5/02

          つまんだ頬は奇妙な心地よさを指先に残して、ガムのように伸び、目の周りに絡まって煙みたいになったあと伏せた机から顔を上げる。気がついたら放課後だった。 鍵を職員室へ返して、駐輪場から自転車を出す。大きな蛾が、それは最初、厚い枯れ葉、凝視するふたつの目に見えたが、校舎の白い壁に張り付いていた、二匹のとても大きな蛾だった。みつめられていた。いくつもの輪がめだまの中心から波紋みたいにいくつもいくつも飛び出し、うすい紫色で世界が覆われていくのを感じた。駐輪場が遠かった。荷台には、包帯で

        2005年の日記(2024/05/20〜21)

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        記事

          2024/05/02

          行き先を増やす流れる水みたいなのが見える。川にたっている。剥がすシールのあとの低い粘着質に指を走らせる。携帯電話の着信履歴を全部閲覧した後に後ろから1個ずつ消して、最後の1個の電話番号にかける。蛾が2匹白い校舎の壁に張り付いていて、とても大きな蛾だったからそれが蛾と気づかないままに、しかしその異様な光景に目眩がして、風の中の紫色の波紋みたいなものが切り裂いて、木の葉が全部切り裂かれて、波紋だらけで、色々な方向に伸びていく波紋は例えば縦方向にも奥行方向にも横方向にも、そして波紋

          2024/05/02

          くま日記(2024/05/01)

          フライングプレスを二発、それからドロップキックも何本かお見舞いされた。プロレスを見せたばっかりに、プロレス熱にうかされているくま吉は、「くまも、プロレスラーになる」と言って、昨日、新日本プロレスの、入門審査を受けてきたらしい。 くまは、一応格闘技経験があって、むかしボクシングをやっていたらしい(わたしと出会う前の話だ)。 だから履歴書には、ボクシング経験あり と書いたらしい。 「10さい、くま吉です」と言って、リングに上がり、得意のドロップキックやマズルアタック、そして

          くま日記(2024/05/01)

          2024/04/29~04/30

          2024/04/29 小学生の時、家の前の坂を下ると、ものすごく大きなミミズが落ちていた時があった。(このnoteの一番最初に投稿したのにも書いた。というか、その確認ために、その記事を下に貼り付けて、このブログがもう1年も続いていることに気づいた。やばい。時の流れって怖い。) なんとなく、去年の4-7月くらいにかけて自分の書いたnoteとかツイートがすきだ。この最初の記事は、いつかZINEとか本とかつくる時に載せてみたいな、と思う。思えば今まで、その初期微動のエネルギーだ

          2024/04/29~04/30

          無題#2 (2024/04/23 〜 04/25)

          放り投げられたピアノカバーは、埃をたてて落下していく。ヘンリーダーガーは真っ暗な部屋でタイプライターを打ち込み、ほこりは、カーテンの隙間から差し込む光のなかでくるくるとまわる。キティちゃんの置物は窓際に置かれている。木の張り出した窓枠の上でいくつかのキャラクターが待っている。茶色い酒瓶には緑色のラベルが張りつけてある。丸い根菜は芽を出して根が生えている。ブックストア入口の、入って左手にあるスペースで、静かに話し合っているふたりがいる。棒みたいに細い紫色のさつまいもが3本、ティ

          無題#2 (2024/04/23 〜 04/25)

          日記: 4/26-28

          2024年4月26日 Obsidianで書こう。どうせ自分のスタイル。どうせどうせと思う。徳利みたいな単語を知りたい。喃語で喋りたいと思う。まだからだの中に喃語が残り蠢いている気がする。「徳利(とっくり)」はそのような喃語的響きに似ている気がする。全部から浮きたって一人でいる気がする。ハイエースに乗って降ってくる雹を凌ぐ動画を前に見た。とんでもなくデカイ雹。ダメだ。とんでもなくデカい雹だった。何が。去年の10月中頃に雹がここらでも降った。そして、家の車庫のトタンの屋根の一部

          日記: 4/26-28

          2024/04/27

          普通にただnoteを更新するようなことができてなにか安心している。そうそうこんな感じだったな、って思っている。生活と幻想をゆきつもどりつする。コアラが無限に増殖する世界があってもいいし、しかし、この生活、みたいなものもちゃんとそこにある。けど、やっぱり、幻想の方へ、ただそちらだけの世界みたいな場所に行こうとする。誰も怒鳴らない場所。あるのかもしれない。あったとしても。あったとしてもなのかもしれない。ユートピア的な場所。どうしてそんなに極端になるのか。ただもっと普通に、生活をや

          2024/04/27

          2024/04/27

          もっと普通に日記を書けるようになりたい。と思う。なんか、変なことばっかり書いてた気がする。一旦もとに戻る。しかし寂しい。そう。寂しい、とか書きたい。 今日、ラジオトークで、ライブ配信をした。そしたら、コメントくれる人とかいて、とても嬉しかった。わたしは、ラジオでも、ずっと同じ話ばっかりしている気がする。 なんかほんと、最近普通の日記を普通に書くみたいなことを全然してなかった気がする。生活に戻る。生活をやっていくぞ。なんか、最近の自分というのは、どこかユートピア的な世界を建

          2024/04/27

          くま吉との出会い

          私が家で飼っているくま吉というクマとの出会いについてお話します。 あれは私が高校3年生のときです。部活を引退して、さてこれからの進路をどうしよう、と考えていました。わたしが所属していた部活は、新設されたばかりのお好み焼きクラブで、先輩不在のまま、一期生としてお好み焼きキャリアをスタートさせました。夏の大会には県内屈指のお好み焼きエリートたちが集まります。クラブに着任した顧問の先生は、お好み焼きの競技は未経験ですが、学生の頃にたこやきをやっていた先生でした。 わたしの部活の

          くま吉との出会い

          2024/04/22 日記

          イメージの描写だけをする、みたく書いている。 雨が降るととても寂しい。知らない道を通ると寂しい。 くまがおまんじゅうすぎてかわいい。 もっと色んな方法を試したい。 無理くり自分を楽しくさせようとしている気もする。 生活が尊い。たっとい。 デプレッションってなんやろ。 もちもちになる。 もちもち赤ちゃん-1グランプリ(もちもちの赤ちゃんの一番を決める大会。毎回、すべての赤ちゃんが同じくらいとてももちもち、ということで全員優勝している。) なんか疲れています。最

          2024/04/22 日記

          無題 #1(2024/04/22)

          青面コアラが松の木にしがみついている。夜が忍び寄ってくる。固く手を結ぶ。鈎爪になった灰色の手が松の木の幹に食い込む。目が黄色く光る。劉邸の白い塀を沿って、優くんの手を引いて歩く。 電柱が立っている道の向こう、その向かいに畑がある。土の中では種が発芽しようとしている。芽は暗闇の中で、ぴきぴきと割れる殻の音を聞き、にゅるりとした、すこしぬめりのある、軟体動物然とした、まだ白い萌芽はやわらかい、くねくねと動きながら日光に向かって伸びてゆく。 虫の声が聞こえる。しんしんと鳴く。青

          無題 #1(2024/04/22)

          2024/04/20 ボブ・ロス的な 1

          The Joy of Paintingはボブ・ロスというアフロのおっちゃんが出ている絵画の番組で、30分の番組内で、絵を一枚完成させる、というような内容。これもまた、前回に話したような環境音楽的な番組だと思う。ディレクションがほとんどない。むしろ、ディレクションがないことがひとつのディレクションになっているのかもしれない。今で言うASMR的なものの走りじゃないかとも言われている。ASMRのことは好きだけど、ASMRのことを好きな人をみてると心配になる。わたしは、TRUE KY

          2024/04/20 ボブ・ロス的な 1

          2024/04/20

          わたしは物語のことが基本的には苦手なんかなと思う。といってまったくダメなわけじゃないけど。おそらく、ディレクションされたものが苦手なんだと思う。演出とか演技とか。例えば漫画なら、コマ割りとか、トーンとか、タッチとかで演出(ディレクション)を加えて読みやすくしたり、メリハリをつけていくわけだけど、そのようなことがなんか苦手で、それは、多分その、ディレクトされた感情の方向に、自分もちゃんと100パーセント合わせきって、作者の向かわせようとしているわたしの感情、にならなきゃいけない

          2024/04/20