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心理セラピストは「萌え死に」を軽んずる勿れ #マニアックな心理学


まずは『萌え死』の定義をハッキリさせよう。

較的最近発生した「萌え」の概念であるが、1990年代後半からのアニメブーム以降、「萌え」を追求する技術はめざましい進歩をみせ、「しく萌える」などの本来の「萌え」では考えられなかった現が出現。さらには抑圧されたまま発散されずに内にこもった「萌え」によりえ死ぬような状態「萌え死に」が確認されるほどになった。

ニコニコ大百科


私は20年に渡り、自分の心のセルフケアをしている。

何らかのヒーリングテクニックを使うこともあるが、内観やフォーカシングで、心身からのメッセージを受け取って対処することの方が多い。

未だに心身からのメッセージは途切れない。
途切れないということは、まだ未解決の心の問題が沢山あるということだ。

フォーカシング(Focusing)とは

自分自身のからだの反応や兆候を汲み取り、そこに密かにあらわれているこころの求めを発見し、理解してあげること。それによって、抱えている不快さや違和感、心身に表れている不調などの問題にアプローチする心理療法・カウンセリングの方法です。


専門的な定義としては、「内側のはっきりしない何かに注意を向ける」ことや「はっきりと身体で感じられる」ことなど、具体的なアプローチの方法をもって説明されています。(※1)

こころの変化に注目する多くの心理療法とは異なり、「なんとなく感じるからだの変調」に焦点をあてる点がフォーカシングの特徴です。

コグラボより



先日、なぜか心がソワソワし、心拍数があがり、動悸を感じたので、"フォーカシング"をしてみた。

たまにこの「焦燥」と「動悸」というパターンが出てきて、心臓がバクバクして、頭に血が上ったようになってしまうのだ。
ホルモンバランスかと思ったが、薬では治らなかった。

心理療法では、原初の体験に「今ここ」で対処することで心身の症状を解消する。慣れてくると、セルフケアも出来るようになる。


落ち着いて自分の心身にフォーカスすると、小学校の時に感じていた、強烈にワクワクする興奮が記憶の底から浮上してきた。

「小学生の頃、何かあったか?」と、マッチする記憶を探ってみたら

・月刊『りぼん』の発売日に、急いで本屋に買いに行く
・好きな漫画の最新刊が出るので本屋にダッシュ
・好きなアニメ番組は、絶対見逃せない
   (録画できない時代であった。
    アニメを見逃すと、一貫の終わり。絶望する)

という、今となっては些細なことが思い当たった。

どうやらこの「焦燥感」は、
・月刊『りぼん』の発売日に、急いで本屋に買いに行く
が原初の体験のようだ。


それに伴う情動エネルギーが激しいので、「プロセスを終わらせる」ために、その情動を感じながら、落ち着くまで心のあり方を「観察」した。

すると、次第に焦燥感が落ち着いてきて、心臓の動悸もおさまった。

フォーカシングで、この「焦燥」の情動が変化した後は、原因不明の焦りと心臓の動悸が起こる事は、全く無くなった。


小学生の頃のワクワクと、突っ走りたくなる衝動って凄くエネルギッシュなんだなあ。
ワクワクを忘れてしまった人は、『小学一年生』のサイトを見て思い出してみよう!


これでワクワクがわからなければ、こちらの小学生魔王の漫画を読んで、小学生の頃を思い出そ。



情動のプロセスをしっかり終わらせるためには「感情と心身の反応を観察し、感覚が変化するのを見届ける」作業が必要である。

これで未完了の情動エネルギーの滞留は解消される。

情動は感情とごっちゃにされやすいが、別物である。

スピノザの『エチカ』の解説が的確である。

ちなみに「情動」(affectus)と「感情」は同じではありません。「情動とは、私たちの身体の活動力を増大し、あるいは減少し、促進し、あるいは阻害する身体の変様(アフェクチオ)、そして同時にそうした変様の観念である」(『エチカ』第3部定義3)と述べられている通り、情動は、私たちの身体についての感覚(感情)のような意識に還元されるような状態ではなく、身体そのものにおける変化と反応を含みこみ、身体における能動的な力、すなわち活動力(potentiaagendi)の発現の度合いを示す指標のことだからです(『エチカ』第4部定理7証明)

Webあかしより

神経回路メカニズム研究者の定義は

情動とは何か

 「情動」、聞き慣れない言葉ですね。「感情」といえば、わかりますでしょうか。喜怒哀楽のことなんですが、それでは何故、「感情」といわず、「情動」という言葉を使っているのでしょうか。恐怖、怒り、悲しみ、喜びなどの感情には、その当人にしかわからない主観的な側面と、外部から観察可能な側面があります。後者は、感情に伴う自律神経系の活動の変化(心拍数の上昇)やその他の身体的変化(顔の表情、筋の緊張の変化)、あるいは、感情が生じている時に示す行動を通じて客観的にとらえることができます。したがって、自然科学の対象として感情を取りあげ、動物実験の成果を踏まえて議論を展開しようとすると、客観的にとらえることのできる、感情の下位概念である「情動」を研究することになるのです。

理研BSI


また、情動エネルギーというのは、幼少期に近づけば近づくほど強烈になるようだ。心を制御する大脳新皮質の働きが未熟だから、という話をどこかで聞いた。


私の場合は、中学生の時に発行部数最高を記録した全盛期の『少年ジャンプ』を買う情熱より、小学生の時に『りぼん』を買いに行く情熱と、それに伴う情動の方が遥かに強烈だったのである。

尤も『少年ジャンプ』の発売は"週間"だったので、月刊誌より落ち着いて待っていられたのかもしれないが・・・。

(ちなみに『りぼん』を買ったら、真っ先に岡田あーみんを読む派だった)



情動エネルギー爆裂なのは、小学生だけではない。

オタクや、アイドルの推し活をしている人々の情動エネルギーも計り知れない。


非オタの人は、オタクの熱狂的な性格がわからないと思うので、参考なる書籍を紹介する。

オタクの心的エネルギーの凄まじさを描いた漫画

漫画を読まなくても伝わる動画


オタクはよく「萌え死ぬー!」と錯乱していることがあるが、そのレベルの激しい情動エネルギーを、何らかのアクシデントで未解決のまま終わらせてしまった場合、その後の人生の思いがけない時にエネルギーが暴走して、身体に影響し、不定愁訴として発現したり、「萌え」過ぎたせいで「死」期が早まるかもしれない。
無いとは言えない。


また、"ことごとく死亡フラグが立つ推しキャラ達"に全力投球する度に死なれ、「喪失」の情動が蓄積されてしまった場合や、『推しキャラの葬式』のようグリーフワークをしなかった場合も、3次元の身内・友人を失ったのと同じくらいのインパクトを心身に刻み込んでいるかもしれない。可能性は十分にある。

芸能人が亡くなると、後追い自殺するファンがいるのは有名な話。それに近い現象かもしれない。

『北斗の拳』ラオウの葬式
(中略)
東京の高輪にある高野山東京別院で開催された『ラオウ昇魂式』にはラオウの声優を務めた宇梶剛士氏ら多数の著名人や、熱烈なファンが参列。その模様はTVニュースになるなど、ラオウの影響力の大きさを世に知らしめることになりました。


推しキャラ死亡がオタクに与える影響を描いたアニメ



というわけで、心理職の方は、世の中には計り知れない情動エネルギーを抱いているオタクがいることと、その"激しすぎる情動エネルギーの未解決のもの"が後々悪く作用するケースがあることなども知らないと、「恐怖」とか「悲しみ」などにばかりに目がいってしまい、クライアントの心身不調を根本から解決出来ないことがあるかもしれない。

情動エネルギーは、身体、特に神経領域に多大な影響を与えるので、決して無視できない問題である。


こういうことを真顔で述べる心理職は恐らくいないだろうから、心理学マニアな私が、せめてnoteに残してやることにした。


⭐︎最後に⭐︎

「萌え萌え滅ッッッ!」


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