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20240410-0413

四月十日(水)  雨あがり。青い花柄のワンピースを着て、掃除をし、パンをこねる。倉敷の花屋さんから花束が届く。半年ぶり。今回は緑と白の花束にしてもらう。クリスマスローズ、スノーボール、トルコキキョウ、コデマリ、グリーンアイス、ポピー。ひんやりとした花束。クリスマスローズやすずらんのような、うつむき気味の花が好きだ。  ブロッコリーを蒸し、たまごやきを焼く。パンは今日はパウンド型で、ちいさな食パンのように焼く。 四月十一日(木)  労働、歯医者。帰りにスーパーに寄り、ベビーリ

    • 20240401-0407

      四月一日(月)  四月のはじまり。労働、のち歯医者。歯医者ばかり行っている。  子供を育てることはそんなに難しいのだろうか、と思う。いや、もちろんとても難しいことだろうとは思うけれど、健康に、やさしい子に育ってほしいと願うことは、そんなに難しいのだろうか。むしろそれを願うことくらいしか、できることはないような気がするのに、願われなかった子はどうなるだろうか。  そんなことを考えて、嫌になる。そんなことを考えないようになりたいのに、自分で自分をかわいそうと思って、嫌になる。  

      • 20240324_27-30

        三月二十四日(日)  雨。昨日も雨。前髪が伸びてきて鬱陶しい。和歌山県産のキウイがみずみずしくておいしい。  昼。ベーコン、しめじ、まいたけを炒めて塩をして、豆乳を加えて沸騰させないよう気をつけながらあたためる。少しだけ味噌を溶かして、茹でたペンネとからめる。水曜日に買って冷凍していたチャバタを焼いてそえる。おやつは昨日焼いた全粒粉とホワイトチョコのスコーン。 三月二十七日(水)  休日、掃除。棚の上のものをどかしてふいたり、しゃがみこんで扉の下や金具をふいたりする。  美

        • 20240312-0317

          三月十二日(火)  週末の記憶がぽかんとしている。手帳を見れば何をつくり何を食べたのかが書いてあるしそこから記憶は広がるはずだけれど、しない。気がつけばもう三月も真ん中あたりで、それでも新しいしもやけができる。  労働、のち買いもの。いつものパンが品切れで、パンの棚の前で絶望をする。こんなことばかりだ、と帰り道で思う。雨あがりの、湿った空気。  トマトを洗って切り、きのこをほぐし、半分は炒めてマリネにし、もう半分は刻んだ油あげと炊き込みご飯にする。新じゃがを丸のままレンジでふ

        20240410-0413

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        記事

          20240323 真逆のこと

           昔の日記を読み返していて、いいな、と思った。自分で書いたことなのだけれど。  最近の日記は食べたものをなんとか書いているだけで、でも、それはほとんど生活のすべてみたいなもので、ぎりぎりで繋がっているか細い糸のようなものだとも思う。生きるために食べているわけでも、食べるために生きているわけでもなく、食べることで死ぬことができないからだと、それによって死に近づいていく精神を持っている、という事実の記録。  美味しいものが好きなのではなくて、うつくしいものが好きなのだ、と思う。あ

          20240323 真逆のこと

          20240302-0308

          三月二日(土)  言霊があるのなら、私は私に呪いをかけ続けているのだろう。  産直にて、キャベツ、菜の花、ほうれん草、大根。スーパーにミモザの束が売っていたので買ってきて花びんに生ける。あかるい色。部屋の中が一気に春らしくなる。  菜の花を水に放ち、トマトを切り、人参をラペにする。菜の花、ブロッコリー、トマト、ベーコンをオリーブオイルで蒸し焼きにし、茹でたペンネと絡める。冷凍していたパンを焼き、添える。  夜は菜の花に豚肉を巻いて焼く。 三月三日(日)  うつくしいものはな

          20240302-0308

          20240220-0225

          二月二十日(火)  濃い霧の朝。  労働。なまぬるい空気。雨は降らないけれど、じっとりと重たい空気。買いものをして、空腹で、よれよれと帰宅。鮭フレークとごまを混ぜたおにぎり、菜の花とたまごのサラダ。菜の花は少しの水とオリーブオイルと塩で蒸して、ゆでたまご、マヨネーズ、マスタード、すりごまと和える。  豚肉、大根、さつまいも、まいたけで豚汁をつくる。  週末、久しぶりにパンを焼こうと思っているのに、ドライイーストの小分けのものが見つからない。お徳用ではなく、小分けのが欲しいのに

          20240220-0225

          20240214-0218

          二月十四日(水)  厚あげ、ねぎ、溶きたまごのお味噌汁。とても美味しい。厚あげと油あげは、ほとんど同じみたいで、全然違うから驚く。 二月十五日(木)  この前の日曜日に買ったバラは、うすいベージュのような色だったのに、だんだんと、うす紫になっている。不思議。  美容院へ。車屋さんの角に菜の花が咲いている。まぶしい。そして、香り。知っている、と思う。この香り。子供の頃の香りだ、と思う。花の香り、とか、春の香り、ではなく、子供の頃の香りだ、と思う。  私の髪の毛は、伸ばした方

          20240214-0218

          20240124_0201_05

          一月二十四日(水)  雨の気配。  ここにしか鳴らない、ピアノの音。  アネモネの葉。  野良猫の毛並み。  いつかのベルベットのリボン、色はえんじ。  記憶はしばしば、えんじ色をしている。  よく冷えた、白い朝。  もやもやとしていたので、朝の七時半からクッキーを焼く。薄力粉、アーモンドプードル、片栗粉、塩、シナモン、米油とはちみつ。オーヴンからシナモンの香りがあふれてきて、髪の毛までしみ込んでいく。  いつも、自分で考えて決めたい、と思っている。でも、誰かに委ねられたらど

          20240124_0201_05

          球根

           旅に出たいと思った。ここには帰ってこない旅。それはもう旅ではないような気がした。  チューリップがくたびれて、そり返りそうなほど花開いて、まるで別の花みたいだと言う人がいて、私は、チューリップにしか見えない、と思う。  ここに居続ける人の苦悩を知らない人の言葉は、香りがしない。  かたいパンにジャムをつけて食べる朝に焦がれて、そんな簡単なことも叶わないのかと途方に暮れて、チューリップは正しくしなびていく。  傷ついた木の机、窓枠の向こう側の霧、ムスカリの群れ、知らな

          20240115-0121

          一月十五日(月)  どうして自分を愛さなければならないのだろう。  帰り道、工事現場、灰色のどろどろしたものと、茶色のさらさらしたものを重機で混ぜ合わせていた。賢い人の、正しい解答欄はうつくしい、というのは本当だと思う。うつくしくない解答欄は、多分間違っている。今私が見ている景色は、きっと正しくないのだ、と思う。  Yさんから洋酒ケーキをいただく。「これ、好きなんです!」とめずらしく朗らかな声が出た。お酒がしみしみの、とても美味しいケーキ。  夕方、豚肉、大根、人参、白菜、ね

          20240115-0121

          20240106-0111

          一月六日(土)  朝、うす暗く、くもり。道やベランダがしっとりと濡れている。静かに雨。しばらくすると晴れてくる。  夫は実家と図書館へ。久しぶりに一人の時間になる。ミルクティーをいれて、パソコンを開く。しもやけは年末がピークで、年が明けてから次第に治まってきた。治まってきた頃が、色は一番痛々しくなるのだけれど。  柑橘の苦味が欲しいな、と思う。ひとりになりたいな、と思う。こんなにも私はきちんと孤独で、それは私にとってかなしいとかさみしいとかそういうことではなく、むしろ健全なこ

          20240106-0111

          20231231

           大晦日の夜はハーゲンダッツを食べることにしている。だいたいマカデミアを選ぶのだけれど、今年ははじめてショコラデュオを選んだ。美味しい。特にビターの方が。MOWのチョコレートがなくなってしまってから、これだけ美味しいチョコレートアイスを食べるのは久しぶりだ。  アイスの前には、鶏南蛮っぽいお蕎麦。これも毎年のこと。つゆを多めにこしらえて、明日のお雑煮にも使う。  しもやけがゆっくりと進行して、29日あたりから急激に悪化した。触れると熱くて痛くて、昼間はものすごくかゆい。  年

          20231231

          20231212_13_14_21

          十二月十二日(火)  雨上がりの、暗く湿った朝。  休日、掃除、家計簿。年末、お金のことをいろいろ考えて、くたくたになる。晴れてきたので二回目の洗濯をする。レタスを洗い、トマトを切り、ピーマンを切り、ブロッコリーを蒸し、たまごやきを焼く。須賀敦子『霧のむこうに住みたい』を少し読む。前に図書館で借りて、読みきれなかったのだけれど、いい本だと思ったので古本で買った。単行本の表紙には長机と、椅子と、窓が写っていて、理想の部屋だ、と思う。借りていた時にはそこまでたどり着かなかったけれ

          20231212_13_14_21

          静かで、うつくしい音を残して。

           何も食べたくない、と思う。  からだの中を空にしたいのかもしれない。  私の、内臓。  見たこともない、それはきっと赤くて、あたたかくて、湿っている。  粉砂糖をふりかけた、パンオショコラのうすいうすい一枚一枚が剥がれ落ちるみたいに、つめたいパンを、あたたかいスープにひたすみたいに、生きていきたい。死んでいきたい。静かで、うつくしい音を残して。

          静かで、うつくしい音を残して。

          20231204_05_08_10

          十二月四日(月)  よく冷えた朝。吐いた息が、そのまま凍ってしまいそう。  実用的ではない部屋がひとつ欲しい、と思う。そこには好きなものしか置かない。嫌なのもは何も置かない。そんな部屋は頭の中にすでにあるのだけれど、本物が欲しい、と思う。それくらいに、切実な日々。  午後、コーヒーを飲んだ後に、牛乳をあたためて少し飲む。あまい液体が欲しかった。栄養のある液体が欲しかった。  本当にやりたいことを自ら避けてばかりいるようで、おかしい、と思う。でも、あたためた牛乳を飲むことはでき

          20231204_05_08_10