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記事一覧

20240422-0427

四月二十二日(月)  Aの夢。Aは私が大切なひとを失ったことを知っていて、やさしくしてくれる。  ああ、全然大丈夫じゃないな、と思う。  労働、買いもの。スーパー…

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7日前
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20240416-0421 ながい一週間

四月十六日(火)  かなしい報せ。 四月十七日(水)  まだ受け入れることができない。帰ってきてほしいけれど、そんなことは叶わない。帰ってきてほしい。帰ってきてほ…

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11日前
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20240410-0413

四月十日(水)  雨あがり。青い花柄のワンピースを着て、掃除をし、パンをこねる。倉敷の花屋さんから花束が届く。半年ぶり。今回は緑と白の花束にしてもらう。クリスマ…

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2週間前
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20240401-0407

四月一日(月)  四月のはじまり。労働、のち歯医者。歯医者ばかり行っている。  子供を育てることはそんなに難しいのだろうか、と思う。いや、もちろんとても難しいこと…

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4週間前
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20240324_27-30

三月二十四日(日)  雨。昨日も雨。前髪が伸びてきて鬱陶しい。和歌山県産のキウイがみずみずしくておいしい。  昼。ベーコン、しめじ、まいたけを炒めて塩をして、豆乳…

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1か月前
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20240312-0317

三月十二日(火)  週末の記憶がぽかんとしている。手帳を見れば何をつくり何を食べたのかが書いてあるしそこから記憶は広がるはずだけれど、しない。気がつけばもう三月…

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1か月前
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20240323 真逆のこと

 昔の日記を読み返していて、いいな、と思った。自分で書いたことなのだけれど。  最近の日記は食べたものをなんとか書いているだけで、でも、それはほとんど生活のすべ…

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1か月前
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20240302-0308

三月二日(土)  言霊があるのなら、私は私に呪いをかけ続けているのだろう。  産直にて、キャベツ、菜の花、ほうれん草、大根。スーパーにミモザの束が売っていたので買…

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1か月前
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20240220-0225

二月二十日(火)  濃い霧の朝。  労働。なまぬるい空気。雨は降らないけれど、じっとりと重たい空気。買いものをして、空腹で、よれよれと帰宅。鮭フレークとごまを混ぜ…

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2か月前
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20240214-0218

二月十四日(水)  厚あげ、ねぎ、溶きたまごのお味噌汁。とても美味しい。厚あげと油あげは、ほとんど同じみたいで、全然違うから驚く。 二月十五日(木)  この前の…

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2か月前
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20240124_0201_05

一月二十四日(水)  雨の気配。  ここにしか鳴らない、ピアノの音。  アネモネの葉。  野良猫の毛並み。  いつかのベルベットのリボン、色はえんじ。  記憶はしばし…

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3か月前
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球根

 旅に出たいと思った。ここには帰ってこない旅。それはもう旅ではないような気がした。  チューリップがくたびれて、そり返りそうなほど花開いて、まるで別の花みたいだ…

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3か月前
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20240115-0121

一月十五日(月)  どうして自分を愛さなければならないのだろう。  帰り道、工事現場、灰色のどろどろしたものと、茶色のさらさらしたものを重機で混ぜ合わせていた。賢…

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3か月前
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20240106-0111

一月六日(土)  朝、うす暗く、くもり。道やベランダがしっとりと濡れている。静かに雨。しばらくすると晴れてくる。  夫は実家と図書館へ。久しぶりに一人の時間になる…

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3か月前
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20231231

 大晦日の夜はハーゲンダッツを食べることにしている。だいたいマカデミアを選ぶのだけれど、今年ははじめてショコラデュオを選んだ。美味しい。特にビターの方が。MOWの…

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4か月前
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20231212_13_14_21

十二月十二日(火)  雨上がりの、暗く湿った朝。  休日、掃除、家計簿。年末、お金のことをいろいろ考えて、くたくたになる。晴れてきたので二回目の洗濯をする。レタス…

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4か月前
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20240422-0427

20240422-0427

四月二十二日(月)
 Aの夢。Aは私が大切なひとを失ったことを知っていて、やさしくしてくれる。
 ああ、全然大丈夫じゃないな、と思う。
 労働、買いもの。スーパーの通路で、立ち尽くしてしまう。何を買えばいいんだっけ。ちゃんとメモを書いて右手に握りしめているのに。トマトを買って帰り、冷蔵庫にもまだトマトが残っていて、でもメモにはトマト、と書いてあるし、とにかく疲労している。
 たまごやきを焼く、はる

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20240416-0421 ながい一週間

20240416-0421 ながい一週間

四月十六日(火)
 かなしい報せ。

四月十七日(水)
 まだ受け入れることができない。帰ってきてほしいけれど、そんなことは叶わない。帰ってきてほしい。帰ってきてほしい。嘘みたいなのに嘘じゃない。今までありがとうとか、ゆっくり休んでとか、あなたの分までとか、そんなことは言えない。帰ってきてほしい。私は知っている。時間は解決してくれないことを。この「帰ってきてほしい」をずっとずっと抱えて生きていかな

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20240410-0413

20240410-0413

四月十日(水)
 雨あがり。青い花柄のワンピースを着て、掃除をし、パンをこねる。倉敷の花屋さんから花束が届く。半年ぶり。今回は緑と白の花束にしてもらう。クリスマスローズ、スノーボール、トルコキキョウ、コデマリ、グリーンアイス、ポピー。ひんやりとした花束。クリスマスローズやすずらんのような、うつむき気味の花が好きだ。
 ブロッコリーを蒸し、たまごやきを焼く。パンは今日はパウンド型で、ちいさな食パンの

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20240401-0407

20240401-0407

四月一日(月)
 四月のはじまり。労働、のち歯医者。歯医者ばかり行っている。
 子供を育てることはそんなに難しいのだろうか、と思う。いや、もちろんとても難しいことだろうとは思うけれど、健康に、やさしい子に育ってほしいと願うことは、そんなに難しいのだろうか。むしろそれを願うことくらいしか、できることはないような気がするのに、願われなかった子はどうなるだろうか。
 そんなことを考えて、嫌になる。そんな

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20240324_27-30

20240324_27-30

三月二十四日(日)
 雨。昨日も雨。前髪が伸びてきて鬱陶しい。和歌山県産のキウイがみずみずしくておいしい。
 昼。ベーコン、しめじ、まいたけを炒めて塩をして、豆乳を加えて沸騰させないよう気をつけながらあたためる。少しだけ味噌を溶かして、茹でたペンネとからめる。水曜日に買って冷凍していたチャバタを焼いてそえる。おやつは昨日焼いた全粒粉とホワイトチョコのスコーン。

三月二十七日(水)
 休日、掃除。

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20240312-0317

20240312-0317

三月十二日(火)
 週末の記憶がぽかんとしている。手帳を見れば何をつくり何を食べたのかが書いてあるしそこから記憶は広がるはずだけれど、しない。気がつけばもう三月も真ん中あたりで、それでも新しいしもやけができる。
 労働、のち買いもの。いつものパンが品切れで、パンの棚の前で絶望をする。こんなことばかりだ、と帰り道で思う。雨あがりの、湿った空気。
 トマトを洗って切り、きのこをほぐし、半分は炒めてマリ

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20240323 真逆のこと

20240323 真逆のこと

 昔の日記を読み返していて、いいな、と思った。自分で書いたことなのだけれど。
 最近の日記は食べたものをなんとか書いているだけで、でも、それはほとんど生活のすべてみたいなもので、ぎりぎりで繋がっているか細い糸のようなものだとも思う。生きるために食べているわけでも、食べるために生きているわけでもなく、食べることで死ぬことができないからだと、それによって死に近づいていく精神を持っている、という事実の記

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20240302-0308

20240302-0308

三月二日(土)
 言霊があるのなら、私は私に呪いをかけ続けているのだろう。
 産直にて、キャベツ、菜の花、ほうれん草、大根。スーパーにミモザの束が売っていたので買ってきて花びんに生ける。あかるい色。部屋の中が一気に春らしくなる。
 菜の花を水に放ち、トマトを切り、人参をラペにする。菜の花、ブロッコリー、トマト、ベーコンをオリーブオイルで蒸し焼きにし、茹でたペンネと絡める。冷凍していたパンを焼き、添

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20240220-0225

20240220-0225

二月二十日(火)
 濃い霧の朝。
 労働。なまぬるい空気。雨は降らないけれど、じっとりと重たい空気。買いものをして、空腹で、よれよれと帰宅。鮭フレークとごまを混ぜたおにぎり、菜の花とたまごのサラダ。菜の花は少しの水とオリーブオイルと塩で蒸して、ゆでたまご、マヨネーズ、マスタード、すりごまと和える。
 豚肉、大根、さつまいも、まいたけで豚汁をつくる。
 週末、久しぶりにパンを焼こうと思っているのに、

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20240214-0218

20240214-0218


二月十四日(水)
 厚あげ、ねぎ、溶きたまごのお味噌汁。とても美味しい。厚あげと油あげは、ほとんど同じみたいで、全然違うから驚く。

二月十五日(木)
 この前の日曜日に買ったバラは、うすいベージュのような色だったのに、だんだんと、うす紫になっている。不思議。
 美容院へ。車屋さんの角に菜の花が咲いている。まぶしい。そして、香り。知っている、と思う。この香り。子供の頃の香りだ、と思う。花の香り、

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20240124_0201_05

20240124_0201_05

一月二十四日(水)
 雨の気配。
 ここにしか鳴らない、ピアノの音。
 アネモネの葉。
 野良猫の毛並み。
 いつかのベルベットのリボン、色はえんじ。
 記憶はしばしば、えんじ色をしている。
 よく冷えた、白い朝。
 もやもやとしていたので、朝の七時半からクッキーを焼く。薄力粉、アーモンドプードル、片栗粉、塩、シナモン、米油とはちみつ。オーヴンからシナモンの香りがあふれてきて、髪の毛までしみ込んで

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球根

球根

 旅に出たいと思った。ここには帰ってこない旅。それはもう旅ではないような気がした。

 チューリップがくたびれて、そり返りそうなほど花開いて、まるで別の花みたいだと言う人がいて、私は、チューリップにしか見えない、と思う。

 ここに居続ける人の苦悩を知らない人の言葉は、香りがしない。

 かたいパンにジャムをつけて食べる朝に焦がれて、そんな簡単なことも叶わないのかと途方に暮れて、チューリップは正し

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20240115-0121

20240115-0121

一月十五日(月)
 どうして自分を愛さなければならないのだろう。
 帰り道、工事現場、灰色のどろどろしたものと、茶色のさらさらしたものを重機で混ぜ合わせていた。賢い人の、正しい解答欄はうつくしい、というのは本当だと思う。うつくしくない解答欄は、多分間違っている。今私が見ている景色は、きっと正しくないのだ、と思う。
 Yさんから洋酒ケーキをいただく。「これ、好きなんです!」とめずらしく朗らかな声が出

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20240106-0111

20240106-0111

一月六日(土)
 朝、うす暗く、くもり。道やベランダがしっとりと濡れている。静かに雨。しばらくすると晴れてくる。
 夫は実家と図書館へ。久しぶりに一人の時間になる。ミルクティーをいれて、パソコンを開く。しもやけは年末がピークで、年が明けてから次第に治まってきた。治まってきた頃が、色は一番痛々しくなるのだけれど。
 柑橘の苦味が欲しいな、と思う。ひとりになりたいな、と思う。こんなにも私はきちんと孤独

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20231231

20231231

 大晦日の夜はハーゲンダッツを食べることにしている。だいたいマカデミアを選ぶのだけれど、今年ははじめてショコラデュオを選んだ。美味しい。特にビターの方が。MOWのチョコレートがなくなってしまってから、これだけ美味しいチョコレートアイスを食べるのは久しぶりだ。
 アイスの前には、鶏南蛮っぽいお蕎麦。これも毎年のこと。つゆを多めにこしらえて、明日のお雑煮にも使う。
 しもやけがゆっくりと進行して、29

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20231212_13_14_21

20231212_13_14_21

十二月十二日(火)
 雨上がりの、暗く湿った朝。
 休日、掃除、家計簿。年末、お金のことをいろいろ考えて、くたくたになる。晴れてきたので二回目の洗濯をする。レタスを洗い、トマトを切り、ピーマンを切り、ブロッコリーを蒸し、たまごやきを焼く。須賀敦子『霧のむこうに住みたい』を少し読む。前に図書館で借りて、読みきれなかったのだけれど、いい本だと思ったので古本で買った。単行本の表紙には長机と、椅子と、窓が

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