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三月二十四日(日)
 雨。昨日も雨。前髪が伸びてきて鬱陶しい。和歌山県産のキウイがみずみずしくておいしい。
 昼。ベーコン、しめじ、まいたけを炒めて塩をして、豆乳を加えて沸騰させないよう気をつけながらあたためる。少しだけ味噌を溶かして、茹でたペンネとからめる。水曜日に買って冷凍していたチャバタを焼いてそえる。おやつは昨日焼いた全粒粉とホワイトチョコのスコーン。

三月二十七日(水)
 休日、掃除。棚の上のものをどかしてふいたり、しゃがみこんで扉の下や金具をふいたりする。
 美容院で前髪だけ切ってもらう。大きな家がふたつみっつ、なくなっている。枝の合間から透き通った空が見える。細くてやわらかそうなあぶら菜、寄り添うちいさなムスカリ、うすい羽衣のような白いパンジー。目がちかちかする程真っ黄色だと思っていた看板が、色褪せたのかかたゆでたまごの黄身のような色になっている。私が立ち止まっている間に、まぶたを閉じている間に、いろいろなものが、ことが変わっている。工事現場の大きな水たまりが、みずうみみたいにちらちらと光る。
 帰って、あたたかいミルクティーを一杯飲んでから台所に立つ。小松菜を切りにんじんを切り、ひじきを煮てたまごやきを焼く。洗いものをして昼ごはんを食べ、洗いものをしてスコーンを焼き、洗いものをする。
 想像と、憶測は違うのだ、ということを忘れないようにしなくてはならない。

三月二十八日(木)
 労働、のち、雨の中歯医者。また抗生物質を飲まなくてはならない。

三月二十九日(金)
 あたたかく、快晴。傘を干し、パンをこね、春のコートを着て、首にスカーフを巻き、銀行、ドラッグストア、スーパーへ。パンは昼すぎに焼き上がる。全粒粉の入ったパン。夜は鶏肉とまいたけを焼き、バターと醤油をじわり。プロ野球が開幕する。
 私は私の生活をよくやっているのだ、と思う時もあれば、何も変わっていない、とも思う。子供の頃、派手にこけた時についた膝の傷痕みたいな、その時に血を拭いた、くまの絵柄のピンクのハンカチみたいな、こびりついた記憶に支配されている。

三月三十日(土)
 産直とスーパーへ。いつもと違う方のスーパーには、パルムのミルクティーが置いてある。なばなを水と塩とオリーブオイルで蒸し煮にして、マヨネーズ、マスタード、醤油、はちみつを混ぜたソースをかける。
 季節が急に変わって、からだがそれに対応していないのか、頭にぼんやりともやがかかったような感じがしている。料理の感覚が鈍くなっているような気がしている。
 午後、散歩をしながら近所のお店に行き、お茶碗やハンカチ、ジャムなどを買う。なまぬるい空気とうすピンクのもや。工事ばかりしている。
 抗生物質を飲むと唇がぱりぱりになってしまうのだけれど、胃薬を一緒に出してもらうようになってから、あまりぱりぱりしなくなった。

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