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「どうして、うさぎの目は赤いのか?」の「正解」で、嫌がられた小学生の記憶。
小学生の頃、電車が1時間に一本くらい運行するような地方に住んでいた。
商店街も、小ぶりで、それでもその中には本屋が一軒あるような時代だった。
店の中は、とても古くからあるようなゴツい木製の本棚が作りつけのように並んでいて、そこには、当然だけど、本や雑誌が並んでいた。
子供の科学
その頃、毎月、本屋で買っていたのが、「子供の科学」だった。
1924年創刊で、今も販売されているから、もうすぐ100年の歴史をもつ雑誌だけど、小学生の自分にとっては、分からない部分もあるが、ここでしか読めないような興味深い内容もあって、自分しか買っていないような気がするほど、他に手に取っている人を見たこともなかった。
それに、冊数もあまり置いていない感じもして、発売日あたりは、そわそわして本屋に行ったが、いつも、古くからの木製の棚に1冊だけ置いてあって、買い漏らしたことは無かったと記憶している。
自然科学や、模型や、紙飛行機や、写真や、幅広い話題が載っていたが、考えたら、同じクラスで、この雑誌の話題も出たことなかった。
その読者のページで、“大人に、この雑誌の話をすると、「子供」がついていることで、ナメられる”という文章を、何度も見た記憶はあった。
親以外の大人に、この雑誌を見せたこともなかったので、自分には、この「ナメられる経験」は縁遠かったけれど、それに近い思いをしたこともあった。
ウサギの赤い目
小学校が、1学年1クラスの小規模な学校だった。学校の行事とは別に、住んでいる地域で、子供を集める催しを、古くからある木造の大きい建物で行うこともあった。そこでは、大人がその会を仕切り、子どもが集められ、それほど楽しい、という感じもしなかったが、お菓子などをくれるので、足を運んだ。
そこには、小学生では低学年から、高学年、もしかしたら、中学生くらいまでいて、そこに親世代、場合によっては、さらに上の大人も来ていたから、年代はバラバラだった。
そこで、一応、交流らしきことも行われていて、いろいろな話題が出て、大人から子どもに対して、何かを聞いて、それに子どもが答える、というような、やや一方的な会話もあちこちでされていた。
すぐそばに、自分と同世代くらいの小学生の女子がいて、大人と話をしていて、どうしてだかウサギの話題になり「どうしてウサギの目は赤いのか?」ということを、その女子が大人に聞かれていた。
少し考えたあとに、「うさぎさんは、恥ずかしがり屋さんだから」と答えていた。
周囲の中年男性はうれしそうだった。その女子の好感度も上がっていたようだった。
嫌われる子ども
そんな会話が一段落したあと、その中年男性は、私にも話を振ってきた。
「きみは、どう思う?」
淡々と、答えたのは、こんな内容だった。
瞳の色は、虹彩の色で決まる。確か、ウサギはその虹彩の色がとても薄いから、瞳の奥の網膜の血管の赤い色がそのまま出ているはず。だから、目が赤く見える。
厳密に言えば、ある種類のウサギだけに限られていることだし、虹彩も色が薄いのではなく透明だから、微妙に間違った発言ではあるのだけど、自分としては、「子供の科学」などにあった科学的な事実を伝えたと思っていた。
ただ、目の前の中年男性の表情が、それまでの女子にむけていたものと一変していた。瞳には怒りにも近い不快さが出ているのは、分かった。男性は、不自然に笑って、何か答えたあと、すぐに目を逸らして、他の場所へ立ち去っていった。
確かに、私が言っていることは、「事実」としては、正しいのだと思う。だけど、もしかしたら、そんなことを、そこにいる大人も知らなかったし、別に「正解」を知りたくなかった可能性もある。
空気を読む
すでに何十年も前だから、今の自分だったら、その場で、そんなことを言う小学生が嫌われるのは、わかる。科学的な事実を知っていたとしても、「恥ずかしがり屋」と答えた方が「期待される子ども像」として「正解」だったかもしれない、とも思う。
それが、空気を読むということだからだ。
だけど、そんなことは、そのころもできないし、今もうまくやれていない。ただ、子ども世代に、自分が知らない「正解」を言われたとしても、不快になるような大人には、ならないようにしたいとは思ってきた。
それでも、そんな自分でも、小学生の時の「自分」は、扱いにくいような気もする。
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