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#異世界ファンタジー
#90 ドレスコーディネーター Luisa(ルイーザ)
「ねぇ、そのマダム…なんとかさんのお店では
どんな準備するの?」
「全部だよ。ドレスも靴もバッグも
メイクもヘアセットも全部。
女の子のドレスコーディネイトで
彼女に勝る人は、僕の知る限りはいないよ。」
「そんなにすごい人なんだ…。
でも、ドレスとかって結構高いよね?
私、そんな持って来てないんだけど。」
「そのことなら心配しないで。
僕が無理に誘ったんだ。僕に任せて。」
Gerardがサ
#89 OliviaとCedric
先程よりも
少し音が大人しくなったシンクの食器たちを
うまく操りながら、Oliviaはため息をついた。
「Olivia、何か、やりたいこととかできたの?
ココを離れるの?」
「実はね…
まだ決まったわけじゃないんだけど、
この前、Cedric(セドリック)が言ってたんだけど…
彼、海底研究所に異動になるかもしれないの。
深海よりももっと深い、海の底よ。
あそこは気軽に行き来ができないから、
#88 悲嘆の涙の扇
私は、もう一つの箱を開けた。
そこには【悲嘆の涙のマスカレード】と
似た装飾が施された扇が入っていた。
あちこちからストーンがキラキラと輝き
鮮やかな青や深みのある紫など
様々に移ろう様子も同じだった。
縁にあしらわれた黒いレースや
繊細な模様もゴシック調で
ステンドグラスのような
透き通る紫や青が悲し気な雰囲気を纏っていた。
勝手に約束を決められてしまったが
土曜日はもともとOlivia
#87 悲嘆の涙のマスカレード
こちらの世界に戻った翌日、
朝早くにコツコツと窓を叩く音で目が覚めた。
あぁ、Oliviaがフクロウを送ってくれたんだ…
そう思って体を起こしたとき、
それはおかしいと気が付いた。
Oliviaは昨日、遅くまで仕事をしていて
今日中には送る、という話だった。
仮に昨晩送れたとしても
一晩で着くはずがない。
恐る恐るカーテンを開けてみると
外側の窓枠を何かがガチャガチャと音を立てて
歩きなが
#86 時を歪める蝶の雫
「どっちにしても、私が学校に一緒に行くのは
ちょっと良くないんじゃない?」
「そんなことないよ。みんな自由に来るもん。」
「そうなんだ。じゃぁ、今度お邪魔してみようかな。」
Sophiaは
それを聞いて嬉しそうにニッコリと笑顔になった。
「そういえば、今までに
森の女神様の棲む場所に行った人はいるの?」
「いるよ!
真っ白の樹や蔦が絡んんでいる建物があって、
建物の中は朝も夜もずっと明る
#79 氷の王国の王子生誕祭
いくつか綺麗な状態で落ちた
ファータの実を拾ったとき
陽がかなり傾いていることに気付いた。
「そろそろ街へ戻らなきゃ。」
「えぇ?もう帰っちゃうの?」
「うん…。でも、また絶対来るよ。
Sophiaに会いに。」
Sophiaの寂しそうな顔が嬉しそうな笑顔に変わった。
「さっきお花摘んでたとこまで一緒に行こ。」
私達は出会った場所まで戻った。
扉のある、精霊の宿る樹までの道は
かなり薄暗
#75 精霊の宿る石
鍵を手に取った私は
前回深海都市への扉の鍵を買ったときのことを
思い出した。
深海へ行く準備を全くしていない状態で
何も考えずに扉へ向かおうとしていた。
鍵屋に声をかけられ、
薬のことを教えられなかったら
扉をくぐった瞬間、どうなっていただろう。
「あの…精霊の宿る樹の辺りは
何か行く前に準備するものとかありますか?」
「あぁ、前回は
深海にそのまま行くとこでしたもんね。
でも、大丈夫。
#74 精霊の宿る樹への扉の鍵
落ち込んだ気分で自分の部屋に帰ってから
2ヶ月ほどが経った。
Oliviaからはフクロウが届いたりなどの
音沙汰も何もなかった。
きっと、気軽に連絡を取ることも
禁止されたのだろうと思っていた。
この2ヶ月、あまり積極的に
あちらの世界へ行きたい気持ちにならず
自分の生活に忙しく過ごすようにしていた。
しかし、あちらの世界には
ずっと気になっている場所があった。
それは「妖精の森」。
2
#73 Gregoryのトンボ
「よかったー!無事ね?」
Oliviaにはまだ半透明のトンボが付きまとっていた。
扉の近くにいることで
再びOliviaの顔に向かって激しく羽ばたき、
おかげで私の頭にも何度かぶつかってきた。
「私、パパに見つかって…
あーもう!しつこいわねっ!」
Oliviaはまだ警告するように付きまとっているトンボを
手で振り払いながら話した。
「それで私、慌てて…
海底都市へ行く鍵の話しかしてなか
#68 海中守護の薬 60min.
「あ、ちょっと待って!
お嬢さん、もしかして、一人で行くのかい?」
鍵屋の店員に、そう呼び止められた。
「あ、はい。」
「お嬢さん、ここの人間じゃないよね?」
「はい、そうですが…」
「どうやって深海で息するのか、
準備はしてますか?」
そこに関しては何も考えてなかった。
以前、凍てつく寒さの氷の王国へ行った時は
Oliviaの母のAlexが何か呪文をかけてくれた。
「あ…何も準備し
#67 深海都市への扉の鍵
Oliviaは父のGregoryの声を背に
逃げるようにスタスタと歩き出した。
「まずは花屋さんに寄るわね!」
そう言って広場のカフェの向かい側にある
50mほど先の花屋を指差した。
「もう買うものを決まってるからすぐ済むわ。」
「Olivia、あなたのお父さん、
ただの私の案内じゃないって
気付いてたみたいだけど?」
「でしょうね…。
だから、1時間以内には必ず戻るわ。」
「うん、ど
#66 OliviaとGregory
Oliviaからの手紙を書いた次の日の夜
暗くなり始めた頃に
窓ガラスをつつくコツコツコツッという音がした。
Oliviaの手紙を持ってきたフクロウが
狩りやひと時の休息から戻ってきたのだった。
私は窓を開けて
フクロウが窓の桟に留まれるようにして
昨夜書いたOliviaへの返事の手紙を手に取った。
「あ、ちょっと待って。」
Oliviaに言われたように
何日で到着するか分かるよう、
くる