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#小説
#90 ドレスコーディネーター Luisa(ルイーザ)
「ねぇ、そのマダム…なんとかさんのお店では
どんな準備するの?」
「全部だよ。ドレスも靴もバッグも
メイクもヘアセットも全部。
女の子のドレスコーディネイトで
彼女に勝る人は、僕の知る限りはいないよ。」
「そんなにすごい人なんだ…。
でも、ドレスとかって結構高いよね?
私、そんな持って来てないんだけど。」
「そのことなら心配しないで。
僕が無理に誘ったんだ。僕に任せて。」
Gerardがサ
#89 OliviaとCedric
先程よりも
少し音が大人しくなったシンクの食器たちを
うまく操りながら、Oliviaはため息をついた。
「Olivia、何か、やりたいこととかできたの?
ココを離れるの?」
「実はね…
まだ決まったわけじゃないんだけど、
この前、Cedric(セドリック)が言ってたんだけど…
彼、海底研究所に異動になるかもしれないの。
深海よりももっと深い、海の底よ。
あそこは気軽に行き来ができないから、
#88 悲嘆の涙の扇
私は、もう一つの箱を開けた。
そこには【悲嘆の涙のマスカレード】と
似た装飾が施された扇が入っていた。
あちこちからストーンがキラキラと輝き
鮮やかな青や深みのある紫など
様々に移ろう様子も同じだった。
縁にあしらわれた黒いレースや
繊細な模様もゴシック調で
ステンドグラスのような
透き通る紫や青が悲し気な雰囲気を纏っていた。
勝手に約束を決められてしまったが
土曜日はもともとOlivia
#86 時を歪める蝶の雫
「どっちにしても、私が学校に一緒に行くのは
ちょっと良くないんじゃない?」
「そんなことないよ。みんな自由に来るもん。」
「そうなんだ。じゃぁ、今度お邪魔してみようかな。」
Sophiaは
それを聞いて嬉しそうにニッコリと笑顔になった。
「そういえば、今までに
森の女神様の棲む場所に行った人はいるの?」
「いるよ!
真っ白の樹や蔦が絡んんでいる建物があって、
建物の中は朝も夜もずっと明る
#83 フクロウ便専用の扉
「あぁ、おかえり。
氷の王国は楽しかったかい?」
Gregoryがテーブルの食器を片付けながら
私達に声をかけた。
「うん!ただいま!
私、食器洗うね。M.ちゃんはそこに座って。」
Oliviaはカウンターの中に入り
シンクの目の前にある席を指して言った。
シンクでは
洗剤の付いたスポンジとグラスやお皿が
そこに見えない誰かがいるかのように
宙で洗われていた。
スポンジで擦られた泡だらけ
#79 氷の王国の王子生誕祭
いくつか綺麗な状態で落ちた
ファータの実を拾ったとき
陽がかなり傾いていることに気付いた。
「そろそろ街へ戻らなきゃ。」
「えぇ?もう帰っちゃうの?」
「うん…。でも、また絶対来るよ。
Sophiaに会いに。」
Sophiaの寂しそうな顔が嬉しそうな笑顔に変わった。
「さっきお花摘んでたとこまで一緒に行こ。」
私達は出会った場所まで戻った。
扉のある、精霊の宿る樹までの道は
かなり薄暗
#73 Gregoryのトンボ
「よかったー!無事ね?」
Oliviaにはまだ半透明のトンボが付きまとっていた。
扉の近くにいることで
再びOliviaの顔に向かって激しく羽ばたき、
おかげで私の頭にも何度かぶつかってきた。
「私、パパに見つかって…
あーもう!しつこいわねっ!」
Oliviaはまだ警告するように付きまとっているトンボを
手で振り払いながら話した。
「それで私、慌てて…
海底都市へ行く鍵の話しかしてなか