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食のかたち
2023年8月31日 05:19
長いこと料理の写真を撮っている。カメラマンでもないのに、まるでお仕事のように、できるだけ料理が美味しくみえるように、わが家の一皿の風景を画角におさめていく。妻のつくった料理に、作品性のようなものを感じていて、それが生活の中の、日々の繰り返しに埋もれて、消えてなくなるのはもったいないような気がした。だから料理の写真を残している。そういえば、ずっと昔から生活の中にある作品性のようなものに惹かれ
2023年8月19日 09:33
ゼロール社のアイスクリームスクープ。1935年に発明され、もう90年近くが経つという、ロングデザインなアイテムだ。我が家にもひとつ、食器棚の一軍エリアで、大御所の雰囲気を漂わせ控えている。アイスクリームを掬うのはもっぱら私の仕事だ。妻の分と自分の分を均等に盛る。男女平等に、アイスクリームは我が家に平和をもたらす。ゼロール社のアイスクリームスクープは、ハンドル部分を握ると、手の温かさが熱伝導
2023年8月6日 07:04
キャベツよりクレソンみたいな人が好きだ。シャキシャキで爽やかな、いつでもお呼びがかかるキャベツより、苦味と辛味を持ち合わせた、時々しか呼ばれないクレソン。でもお呼びがかかる時は、代わりがきかない時で、レアキャラとしてみんなから一目置かれる。すでにだいぶこじれた例え話で恐縮だが、さらに贅沢を言うなら、最初に出会うクレソンさん(勝手な妄想で擬人化が進んでいく)は、サラダ用の少し苦味が柔らかいく
2023年7月25日 21:04
子供の頃、土曜日のお昼ごはんは、いつもお好み焼きだった。広島に数年住んでいたため、我が家のお好み焼きはいつも広島風だった。母が慣れた手つきで、フライパンに生地を敷き、キャベツをどっさり(想像以上にどっさりと)盛る。並走していた焼きそばと卵焼きも合流し。何度もぎゅうぎゅうと上から押し付け焼かれる。その度に野菜の水分が蒸気となって、支度中のお好み焼きに張り付く家族をやさしく覆う。何層にも食材が密に
2023年7月19日 08:43
自らの手で折って取り分ける。そんな雑な仕様の「板チョコ」が好きだ。凹の形状に沿って綺麗に折ろうと思っても大抵うまくいかない。見事に凸の部分を横切るように割れたりする。それでも板チョコには粒チョコ(一粒づつ包まれたチョコのことをそう呼んでみる)にはない楽しみがある。なんだか自由を感じるのだ。なんだったら板ごと齧ったっていいのだから。紙のカバーはすぐに破ってゴミ箱に捨てることをお勧めする。
2023年7月18日 08:13
ある日の鮭の塩焼き。小さめのその姿は、ホテルの朝食バイキングの和食コーナに、陳列している景色を思い出させる。旅先での鮭は、いつもの生活とつながっているような気分にさせてくれて好きだ。時々しか食べないのにしても、なんだか落ち着く。ホテルでも自宅でも、今日も日本中で鮭は姿を現す。妻が作る料理をもう何年も撮っている。最初は美味しそうだから撮り始めたものの。もうずっと撮っている。撮っていてなんとなく感
2023年7月17日 11:02
ちょっといいハム。そこがポイントだ。「ちょっといいから、ちょっと工夫して食べてみよう」そんな気にさせる。ちょっといいハムにぴったりの相方は、ツンツンした香りにシャキシャキした食感のみょうがたち。スライスしたみょうがをこれでもかとハムの隣に並べる。食べる時はみょうがをハムで包んでお口の中に。ハムの甘味と油味の真っ只中を、みょうがの青々しい爽やかさが突っ走る。それらが混ざり合って食べる者の心を
2023年7月16日 08:34
たくあんを食べる時の音がスキ。コリッコリと音を聞きながら顎を動かすと、ほっぺがキュッと上がって、少し笑顔になります。音も「食べる」の中に包まれて。朗らかに噛んで暮らそう。今日も元気に。器は素敵な民藝品たちを扱っている「備後屋」さんで買った品。最近行けてないからまた行きたいな。