- 運営しているクリエイター
2024年2月の記事一覧
愛した人(短編小説 2)
(あらすじ→ 5年前に亡くなった恋人、隼人を美紀は未だに忘れられない。かつて隼人が住んでいた住居が空き家になってるのか、既に新しい住人がいるのか、ずっと気になっていた。好奇心を抑えきれず、訪れてみると……。)
心臓がはち切れそうだった。
鼓動が激しさを増して、息苦しい。
予想外の出来事に何だか怖くなり、逃げ出したいと思いながらも、体が固まってしまって動けない。
最早、隼人以外の何者にも見えない男
愛した人 (短編小説 1)
その家の門の前に立つと、妙な違和感があった。
空き家にしてはそう古びた雰囲気がしない。
よく見ると、出窓にかかるレースのカーテンは真新しい白さだ。僅かに開いた窓から吹き込む風を受けて、軽やかに揺れている。
(新しい住人が住んでるのだろうか?)
その家は平屋建てで、玄関は引き戸だ。
グレーの壁は、さほど色褪せてはいない。
ふと、家屋に隣接するガレージに目を向ける。
シャッターが空いていた。中を覗