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宮悪戦車【ストロベリーソングオーケストラ、瀉葬文幻庫】
2020年6月2日 15:00
鴉になるのを夢見た子供 針山目掛けて大空飛んだ追い掛けるのは黒い雲 風の口笛道しるべ 親の形見を身につけて 朱の炯へ飛びたもう夜の太陽 蟲の囀り 時計の針痛い 浮かぶ箱舟 飛び立つ前に 時計に針を打て ざんばら髪の双子の姉妹 土の中に埋めて 夜汽車の鐘に身体くねらせ 大空へはばたけ両手を! 広げ! 大空! 飛べ!月の狂奏 犬の遠吠え 鴉の子守唄 吐き気もよおす夢物語
2020年6月1日 11:30
機械仕掛の墓石教室にはりつけた闇の書割に 夏祭りに買ってもらった柱時計の短針で無数の星を造りだしては 火遊び 流星 不帰の業死相を指した丑三つ時には 北では不慮の死描いた栄誉の映画が流され東には家族一同遺産を巡っての人生双六 西は義眼のシャンソン歌手 黙祷出来ず 暗い日曜日を歌いだし南 今日も何処かで巨星が沈むあなたが去ってからの日曜日は 暗い人形劇の様に糸が幾つも身体
2020年5月31日 19:19
それは以前誰かが生活をしていたのであろう、今は朽ち果てた廃屋の部屋から微かに聞こえてきた。ラジオなのか、それともテープレコーダーなのか。ざらついたその音声は、虚しくも誰も居ない空き部屋にボソ、ボソと闇に侵蝕していくのであった。 ー世界は黒煙と無数の喀血と共に新たな世界線を敷いたのである。赤い釘付けの日に国家の転覆、失踪都市化の拡大、地下の鉛筆ヴァンパイア達は、首吊り花の根に溜まった禁忌の蜜を
2020年5月30日 11:30
我が子の瞼 赤糸で紡ぎて 木漏れ日が写しだす 羽隠虫暗い羊水の中で俺は 映画の始まりを知らせるベルを聞いた寡婦の母親の胎内という指定席に浮かびながら俺は初めて映画のスクリーンに自分の血が流れている事を知った昭和四十九年三月七日 午前一時五十分うらぶれた場末の映画館で俺は 確かに産み落とされた映画のベルが鳴り響く スクリーンには念仏と菊の花が映し出される安月給 街
2020年5月29日 12:00
赤く火照った月の夜 ガラス細工の子猫が鳴きだし子供さらいの魔笛とともに 木偶の縫子の犯罪が始まる午前0時に渡した恋文 片思いのフランス人形彼女ったら読まずに私を 青い瞳でジロリと見つめるなにさアンタも無視するの?嗚呼、どうせ誰にも愛されず嗚呼、ボロボロと朽ちていく現実は死んだ、幻想さようなら縫子はフラれた腹癒せに 尖った鉛筆握り締め片思いのフランス人形 青い瞳に
2020年5月28日 12:00
黄泉の右から放たれた 臓器癒着の精神学を猫の額に書きなぐって これは恋文照れ隠し夢寐の呪縛に捕らわれた 先祖がえりの命日を墓石黒板に殴り書き 「夢」という字をド忘れる彼が唱えた辞世の句は 博士気取りの夢地獄ガラス細工の太陽に 黒い妄想注ぎ込め右・リビドー・幻想・地獄 左・エディプス・催眠・極楽上・サディズム・現実・地獄 下・デイドリーム・空想・極楽右・リビドー・幻想・地獄
2020年5月27日 11:30
病葉(わくらば)「わくらば」とは「病気や害虫にむしばまれて変色した葉。特に、夏の青葉にまじって赤や黄に変色している葉」とされている。寒い九月の夜僕は土に眠る無言に冷たい雨君の唇は熱く重ね弔う春の萌芽の時僕は鳥と唄う啄まれた嘘の言葉君の瞳は哀しく星を見つめる雲は流れる 僕の顔見てさ君に送った 一つの葉書忘れはしない 君の声をこの身が朽ちてしまっても忘れはしない 君の
2020年5月26日 11:50
―生まれて、すみません。切傷だらけで醜悪肥った 膿だらけの朱色の夜明け人生煮沸を啓示する 蝙蝠ラジオの怪音波ギ疑ギ くだらないと首を吊るよりも チ血チ 進んで電波を撒き散らしましょうギ疑ギ 疑う事なんてありゃしません チ血チ 血を以てお見世致しましょうワンと吼えろ! ワンと吼えろ! ワン!!続篇だらけの遺書に火を点け 偽善だらけに別れを告げ日本の未来を導く為に
2020年5月25日 11:30
黒い不吉な 咽び泣く夜 2時を知らせる柱時計に行方知れずの 父を名乗った 過去の蒐集虫唾の吐壺触れる事無い 粘膜の綯う 密葬計画 国家の絶叫機械仕掛けの青少年に 事件知らせる葉書が届く 鍵を挿せ! 昨日の支配に鍵を挿せ! 人間が腐りかける前に寝静まったメギドの夜に 戸籍家無しカリガリ博士膨れ上がったガス管 切断! 俺を尋ねる役所の黒服鍵を挿せ! 明日の終焉に
2020年5月24日 11:00
鏡の中に 映りし屍 手招く様に 酔いどれて仏壇売りが嘲り笑う 「この娘さん、憑かれまくり」沼に潜みし セロ弾きの豪主 奏でる音に 魅せられて国語教師の出席簿には 「あらまぁ、貴方、憑かれまくり!」憑依!踊れ!仏滅崇拝!憑依!笑え!元日返上!憑依!叫べ!黄緑の苺!憑依!唱え!恐山賛歌!頭の中でかき乱れる 少女地獄の一問一答真夜中の芝居小屋には 四人五脚の緻密な足音
2020年5月16日 11:00
この詩は軍歌である「海ゆかば」に宮悪戦車が、親交の深い「芝居屋・劇団羊のしっぽ」番外実験公演「祭」ー問う演劇の劇中歌として依頼を受け、宮悪戦車が補作詩、個人で楽曲を提供した物である。2015年1月作。海行かば 水漬く 屍 山行かば 草生す 屍大君の辺にこそ死なめ かへりみはせじ忠誠 向後 傀儡 瓦礫 空虚 探求 シ...カ....バ.....ネ...桎梏 撲滅 星霜 刹那 閃光
2020年5月23日 12:40
渦巻きネジれた夜 眠れない夜盲の少女天井の一番星 囁くは屋根裏ピエロ さあ、お嬢さん今宵の主役は あなたです 眠りましょう 限られた時間の中で その瞼 赤糸で縫う針が堕ちれば ガラスのソワレのぞきからくり 窃視の銀幕 空が廻れ!廻れ! ハリボテの球体銀輪の原動 ペダルのドラマ飛べよ!飛べよ! 畸形の鳥よ無限の空に 飛行機
2020年5月22日 11:30
青い小鳥を水脈(みお)に埋め込み 影を飲みこむ 白痴の太陽黒く染まった空の歴史に 行方不明の星屑の捜索 鉛の夜に溺れちまった 「 」の中に沈んだ月を天井の裏 網を投げて 機械仕掛けのオルフェを造りだす釘と釘との捻れの中に 赤いリズムの埋葬蟲の群れ過去の仮面を小鳥につけて カラス結社の無言のサボタージュ 核の中まで追いかけてきた 秘密国家の探偵術
2020年5月21日 13:09
迷い子の諷(うた) 風見鶏 壜に閉じ込めて 黒い隙間に影の人拐い 誰の背中に帰ろうか 声無き小鳥よ 蒼い眠りの 瞬く星無人駅に 懐かしい汽笛が 聞こえる前に 夢旅人捜そう月夜の明かり 無邪気に踊る 呼吸の幻影 消えゆく記号空には 眩い星一つの 懸想飛ばす目と目の愉悦 君の迷い子の諷 風見鶏 壜に閉じ込めて 黒い隙間に影の人拐い誰の背中に帰ろうか 声無き小鳥よ蒼い眠り