火葬のテスト

機械仕掛の墓石教室にはりつけた闇の書割に　
夏祭りに買ってもらった柱時計の短針で
無数の星を造りだしては　
火遊び　流星　不帰の業

死相を指した丑三つ時には　
北では不慮の死描いた栄誉の映画が流され
東には家族一同遺産を巡っての人生双六　
西は義眼のシャンソン歌手　黙祷出来ず　
暗い日曜日を歌いだし
南　今日も何処かで巨星が沈む

あなたが去ってからの日曜日は　
暗い人形劇の様に
糸が幾つも身体にまとわりついた様な感覚を伴い

あなたが去ってからの月曜日は　
あなたを抱きしめた回数を指折り数えながら

あなたが去ってからの火曜日は　
二人で育てたサボテンに火をつけ

あなたが去ってからの水曜日は　
瓦礫と化したグランドピアノで
雨にうたえばを唄い

木曜日は四畳半の臥所にて喪に服し　

金曜日はあなたの大好きだった煙草に火をつけ

土曜日は唇から血を流し　

再び日曜日に散っていく
病葉のささやきをあなたの声と重ね
私は涙を流すのです

ふと　空を見上げれば赤い星　
赤い星は不吉な星

もう涙は枯れました　
後はあなたに逢いに行くだけです

あなたに逢いに行くだけです　
あなたに逢いに行くだけです
あなたに逢いに行くだけです

七つ目の星に火を放ち　
狂れた暦の赤い数字　佛滅崇拝　縁の糸車
いつしか呪い続ける様になった
七つの放火の記念日に

確かに触れた結婚記念日の過ちを　
長靴をはいた赤猫にそっと耳元で囁くも
頭巾の下は耳無芳一　地獄の無惨絵そのもので
喪主をつとめる
ラフカディオ・ハーンでさえ命日を忘れていた

月曜日は北で燃え　
火曜日は南で燃え
水曜日は西　
木曜日も同じ様に西で燃え
金曜日は燃えないゴミの日なのに
火葬となった一人の殺人犯
土曜日は東で燃え
日曜日は家族で笑っている　
家族で笑っている　家族で笑っている
家族で笑っている

2014年
影孕む密葬、月は静寂
ストロベリーソングオーケストラ
作詩・作曲/宮悪 戦車