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これは危険がアブナイ?(24)最終回

 Dマンションの正常化に関わった身として・・・5月の「(1月定期総会のやり直し)臨時総会」を無事に乗り切った新年度理事役員の方にエールを込めて最後に送ったコメントの後半です。

本シリーズのブログはこちら・・・
  これは危険がアブナイ?(1)
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これは危険がアブナイ?(2)
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これは危険がアブナイ?(3)
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これは危険がアブナイ?(4)
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これは危険がアブナイ?(14)
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これは危険がアブナイ?(15)」番外編
  これは危険がアブナイ?(16)
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これは危険がアブナイ?(17)
  これは危険がアブナイ?(18)
  これは危険がアブナイ?(19)
  これは危険がアブナイ?(20)
  これは危険がアブナイ?(21)
  これは危険がアブナイ?(22)
  これは危険がアブナイ?(23)

Dマンション管理組合 理事長H様

②理事会運営について

 管理組合の最高意思決定機関は「総会」です。そして標準管理規約には、(合議制の)「理事会」(執行機関)で決議されたことに基づき「理事長」が執行する仕組みが記されています。
 しかしながら、その仕組みが機能せず・・・(管理会社に全て任せ切っている)管理組合(理事会)が意外に多いように思います。
 ですから毎月理事会を開催して、(管理会社から提出される)月次報告を確認することが重要なのです。

 管理会社から見て、「理事会」が未開催のまま輪番制で選任された「理事長」に説明して了解さえ取れば・・・何でも承認されて通ってしまう昨年度までの「(ありがたい)言いなり管理組合」にならないでください。

 貴管理組合の1月の通常総会が中断した理由は、総会当日の一部の声の大きな組合員の発言や拙い管理会社の対応だけではなく、私には根本的な原因が他にあったのではないか?と思っています。

 「管理組合運営の主導権を管理会社に握られない(=管理組合の意思・主体性を確保する)運営の実現を実践!」なさって下さい。
 私が「管理組合は主体性が大事!」と念仏を唱えるように申し上げている理由もここにあります。
 
 具体的には、まず毎月の理事会で管理会社に委託している管理委託が(管理仕様書どおり)適正に(契約どおりに)行われているのかを確認することです。(適正実施されていない場合、契約期間中ならば是正を求めることが可能)

 また、未収金の有無を毎月確認することも重要です。ほとんど未収金が発生していない管理組合でも高経年化が進むと滞納額が増えることがあるからです。
 滞納は早く対処しないと未収金が雪だるま式に増えますが、滞納督促は管理会社が最もやりたくない仕事の1つです。管理組合のチェックが甘いと、管理会社の対応が後手に回りがちになります。

 ここまで読まれて、皆さんが「今年度の理事会は大丈夫!」と思われたかもしれません。
 しかしながら、貴管理組合では輪番制により毎年役員全員改選していきます。このような仕組みで「次年度以降も大丈夫!」と太鼓判を押せますでしょうか?

③マンション総合保険の更新について

 先にお伝えしているとおり、今年(2022年)10月1日より損害保険料は値上げが予定されています。
 今年10月31日に満期を迎える貴管理組合のマンション総合保険については、満期時点で更新すべきか?値上げ前の9月末日に途中解約&新たな契約をすべきか?(私が提案した)保険特約を別保険に分離して契約すべきか?・・・検討をされることになると思います。
 コスト面だけでなく、それぞれのプランにメリット・デメリットがあります。
 また保険会社が異なると、同じ保険内容に見えても微妙に条件が異なる場合もあります。(例:外壁からの漏水対応、水災提供の条件等々だけでなく保険金請求時の査定も異なる)

 いずれにしても・・・保険契約金額だけで判断するのではなく、保険代理店等からきちんと説明を受けてご判断されることをお勧めします。正解がある訳ではありません。理事会で充分にご検討をされて、理事会主体でお選びください。

④エレベーターリニューアルについて

 メーカーによるエレベーター部品の供給が停止するのは、2024年3月31日です。今から1年半以上の猶予があります。また2024年3月31日になるとエレベーターの運行が停止する訳でもありません。

 もちろん・・・部品供給が停止する以上、更新はしなければならないと思います。しかしながら(早く更新させたいメーカーや管理会社の薦めるままに)焦って更新を進める必要は無いかもしれないと思います。
 いずれにしても・・・(エレベーターに限らずですが)使用期間が長くなればなるほどリーズナブル(=初期費用÷使用期間の数字は小さくなるから:(例)初期費用1200万円➡使用期間30年=年間40万負担/使用期間40年=年間30万円負担)です。
 じっくり比較・検討なさってください。

 なお、メーカー(東芝)によるリニューアルも独立系のエレベーター会社によるリニューアルも一長一短があります。(いずれにしても現行法規には準拠できないので「既存不適格」のままです)

「既存不適格」とは?
 完成時の建築基準法等の基準で合法的に建てられた建築物も、竣工後の法令の改正(例:耐震基準の改正)都市計画変更や条例等(例:建物の高さ等の規制や用途の変更)により現行法の基準に合わなくなる場合があります。これを「既存不適格の建築物」と言います。

 竣工当時は合法だったので(法規等が改正されても)直ちに違法建築物にはならないけれど・・・今の基準に適合していない部分が生じているから「できる限り是正して!」と努力義務が課せられます。(エレベーターも・・・リニューアルしてもクリアできない安全基準の改正がありました)

 なお、こちらも保険更新と同様に正解はありません。

 例えば、リニューアル工事のコスト・製品仕様・工事期間・工事中のエレベーター不使用期間・リニューアル工事後のメンテナンスの仕様&費用・震度4以上の地震発生時の対応等々…様々なファクターを多角的に検討しベターな選択をなさって下さい。

最後に

 「雨降って地固まる!」
 Dマンションがこの半年で経験されたことが、教訓として今後の理事会に引き継いで行くことができたら、異常だった半年間は決して無駄にはならないと思います。
 Dマンション管理組合が、「おんぶに抱っこ」ではなく管理会社とのパートナーシップを継続され続けることを祈願して、本シリーズは、終わりたいと思います。  (おしまい)

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