これは危険がアブナイ?(9)
1月開催の定期総会で「管理会社との委託契約更新」も「新年度事業計画&予算」も「新年度役員選任」・・・何も決議されなかったDマンション管理組合の「定期総会議案書」を拝見した感想文パート4です。
今回は、幕の内弁当的に様々な事業が盛々になっていた第5号&第6号議案(新年度事業計画案&予算案)の中身から・・・①「マンション総合保険更新」に対する雑感をお話します。
①「マンション総合保険更新」
Dマンションは、5年契約のマンション総合保険(=火災保険をベースにしたマンション住民のために管理組合が加入する保険)が2022年11月1日(=新年度の決算後)に満期を迎えます。
議案書の別添資料を見ると・・・(現在加入中の保険と同一条件で取得したと思われる)複数損保会社から保険代理店が取得したと思われる「見積金額一覧表」が添付されていました。
そして事業計画には「(新年度決算後かつ次回の定期総会前に)満期を迎える保険を継続更新します。契約する保険会社選定は理事会一任願います。更新予算額は○○円。(=一番安価な見積金額の約1.5倍)」と記載されています。
一番安価な見積額x1.5倍が予算の理由
前述の見積金額一覧表」一番安価な損保会社と一番高い損保会社の見積金額には、約1.5倍の開きがあります。
一般組合員がこれを確認すると・・・「理事会で複数の保険会社から選定するには、予算に余裕を持たさないといけないから・・・予算は1.5倍にしたのかな?」と思うことでしょう。
確かにそれも理由の1つだと思いますが、マンション管理組合の支援を長年行ってきた・・・マン菅ブロガーたにやんには他の理由が透けて見えます。
1.5倍予算の真の理由は?
通常・・・保険会社は、1年先に更新される見積書は提出しません。1年先の更新時までに保険料の改定が行われる可能性があるからです。(大幅な保険料改定は、改定実施の半年前くらいにアナウンスされることが多い)
つまり保険代理店が見積書を提出した2021年12月時点の保険料で、2022年11月の継続更新はできない可能性がある!(たぶん無理!)・・・ということです。
たにやんが考える1.5倍の予算が計上されている真の理由は・・・「2022年11月の更新時に保険料が値上げされていても対応できるように余裕を持たせた」のではないのか?と思っています。
こんなアバウトな事業計画は、感心しないなあ・・・
保険料値上げのプレスリリース
現に・・・主要な損保会社は、2022年3月上旬に「2022年10月1日から平均11~13%程度の保険料値上げます」とプレスリリースしています。
値上げの原因は・・・日本各地で豪雨被害が相次いだことや世界的な災害多発したことだと言われています。
値上げ発表後も各地で地震被害も発生しているし、(ボディブローのように)ウクライナ情勢も影を落とすと思われるので・・・具体的に更新時(=2022年11月1日)の保険見積金額を確認(見積取得)するまでは、予断を許さないと考えて良いと思います。
予断を許さないとは?
プレスリリースの中の「平均」がミソです。
一番安価な見積金額を提示した保険会社の保険料算定基準が変更されてフタを開けると13%以上の保険料に値上がりしていた・・・といったパターンも有り得るからです。
現(=2022年4月14日)次点では、どんな保険代理店であっても・・・2022年10月1日以降の具体的な(各マンションの)改定保険料は、分からないと思います。
また「儲からない保険契約」や「赤字になる保険契約」に対して…損保会社の方から「この保険契約は引き受けられません」と通知が来る可能性もあり得ます。
値上げ前に解約&新規契約すれば・・・
損保会社の中には「マンション総合保険 優良物件割引」といった継続更新した場合の割引きサービスを提供している場合があります。
保険金請求が少ないマンション管理組合が契約更新する時に「保険料は通常価格から2割程度減額します」というサービスです。
このサービス適用条件に該当する場合は・・・もしかすると満期を待った方が保険料が安くなるということも考えられます。
しかしながら「マンション総合保険 優良物件割引」の割引率も10月の値上げと同時に改定される(=割引率が減少する)ことが予想できるので・・・
たぶん一旦途中解約して(解約返戻金を受け取り、保険料値上げ改定される前の9月30日までに)新たに保険加入する方が、結果的に保険料を安価に抑えられるのでは?と思います。
算定基準は既に変更されているかも?
実は1月に一番安価な保険料を提示された損保会社で保険金額の算定基準が改定されています。
「マンション総合保険」は「築年数」によって保険料が異なる保険です。
高経年マンションほど・・・保険請求が発生する事故率や保険金支払額がうなぎ登りに高くなる傾向があり、どの損保会社も同じマンションでも高経年になれば、保険料は高くなる仕組みになっています。
これまで・・・この保険会社では、「築年数」を5年毎に区切って保険料を設定していましたが、2022年1月から1年毎に改定されました。
Dマンションの築年数を考えると・・・たぶん算定基準が異なってくるので、今すぐ契約しても、総会議案書の保険料で契約できないのでは?と思います。ホント・・・アバウトな事業計画だなあ。 (つづく)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?