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メモとして使っています。

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記事一覧

『Asuka』

Love songを聞(聴)いたとき、抱いているのは歌の女ではないと思った。Asukaの気持ちを考える。

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13日前
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『カラス』

何となく、囲われているのが嫌で外に出た。公園には大人の健康器具しかない。勿論、それを有効活用している者はいない。いるのは犬とその連れ。その対が一群。犬同士で、尻…

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13日前
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『牛模様の猫』

多分こいつは鏡を見たことがない。もし鏡を見ても、そこに写る猫を自分だと分からないだろう。美しいか、飛びついてしまうほど美しいか。

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1か月前

『百円ライター』

君に貰った百円ライター。僕は何の遠慮もなく使っていたのだけど、さっきふと気がついた。僕と君はもう会うことはないし、たまたま、何かの間違いで道端ですれ違ったとして…

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1か月前

『歳の差』

男は「歳は関係ない」と言った。 女はアラフォーだし、当の男は30にもなっていない。悟りという言葉で片付けてしまえばそれまでの話だが、男もまだ"それ"ができる歳ではあ…

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1か月前

『焦点の合わぬままに』

ベッドの上には、私と彼女しかいないはずだのに。女は私の目の奥にいるだろう男に向かい、そのどこを見つめているかも分からない焦点の合わないまま、「愛してる」と言うの…

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3か月前

『少し小高い丘の家』

書くこといえば何もない。皆無だ。「あ」だの「か」だのの文字達が「安」だの「加」に見えてきて、文字の意味というか、それらの存在の意味さえ分からなくなってくる。ただ…

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3か月前
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『チョリソー』

黒猫は不吉の前兆、詳しい理由は分からないが、何かと縁起が悪いらしい。一方、白猫は縁起が良いらしい。その証拠に、招き猫は白猫だ。何の話をしているかと言うと、この間…

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8か月前

『メトロノーム』

煙たい店内には、その速度と同じくらいの気怠いメロディーが流れている。ほとんどの客は1人客で、皆、誰かを待っているようだった。密閉されたその空間には、コバエも入っ…

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9か月前

『蝉』

多分、もうすでに生まれ変わっている。聞こえるのは生前の声であって、今まさに泣いている、わけではない。要するに昔、今すら、今まさに昔なのだ。

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9か月前

『ハチドリ』

私は幾分酔っていて、それが実像だったのか虚像だったのか今更分かるわけもないのだけれど。 右腕、肘より上に。そいつはノースリーブを着ていて、ハチドリのタトゥーがあ…

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10か月前
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『風』

生温い風だったが、方向性があった。それを辿って行けば、どこかへ行ける気がした。だけども、僕はじっとその場から離れず、もっと強く吹いてはくれないかと、次の風を待っ…

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1年前
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『西から来た悪魔』

店は混んでいた。やっと座れた窓際の席から駅の出口を見下ろし、悪魔が来るのを待った。 その日は雨が降っていて、薄暗く、昼だというのに夜のようだった。悪魔が電車に乗…

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1年前
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『トマト』

死ぬほど眠たかった。(死んでしまいたいほど)僕は酷く酔っていて、コンクリートが柔らかい。割り増しのタクシーがすぐそばを通りすぎる。尺取り虫みたいに、くねくね車道ま…

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1年前
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『Blue&Orenge2』

ベランダで煙草を吸っていると、「別れましょう」と言ってきた。(彼女は)ベッドに寝転びながら(僕の)煙草に火を付けた。その日の朝はやけに明るく、ふと気を抜けば夕方のよ…

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1年前

『終電を逃す』

終電は1分前に発車していた。駅員から「終電終わりましたよ」と何故か喧嘩腰で言われてムカついた。普通、終電ってのは待ってくれるものだろうと思った。しょうがないから…

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1年前

『Asuka』

Love songを聞(聴)いたとき、抱いているのは歌の女ではないと思った。Asukaの気持ちを考える。

『カラス』

何となく、囲われているのが嫌で外に出た。公園には大人の健康器具しかない。勿論、それを有効活用している者はいない。いるのは犬とその連れ。その対が一群。犬同士で、尻の穴を嗅いでいる。それを見て、ニヤけているその連れの心を考えて見たが、よく分からない。何となくだが、犬の気持ちは分かる。その公園の真ん中は芝になっている。少し長すぎる。4階建てのボロアパートのベランダで薄着の女が煙草を吹かしている。多分、商

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『牛模様の猫』

多分こいつは鏡を見たことがない。もし鏡を見ても、そこに写る猫を自分だと分からないだろう。美しいか、飛びついてしまうほど美しいか。

『百円ライター』

『百円ライター』

君に貰った百円ライター。僕は何の遠慮もなく使っていたのだけど、さっきふと気がついた。僕と君はもう会うことはないし、たまたま、何かの間違いで道端ですれ違ったとしても、お互いに気がつかない。名前も知らない君。何色のライターをあげたのかも知らない君。オイルが無くなる頃に思い出す。いつかまた。また、あの日で。

『歳の差』

男は「歳は関係ない」と言った。
女はアラフォーだし、当の男は30にもなっていない。悟りという言葉で片付けてしまえばそれまでの話だが、男もまだ"それ"ができる歳ではあるし、だけど、それをしないと死んでしまうほどの猿でもないが、男は男だ。男は言う、「俺は人を見ている」と。それは男にとって真実ではないが、嘘でもない。本質的な恋愛を理解している。そしてまた「顔も関係ない」と言う。当の女からすれば、性的な対

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『焦点の合わぬままに』

ベッドの上には、私と彼女しかいないはずだのに。女は私の目の奥にいるだろう男に向かい、そのどこを見つめているかも分からない焦点の合わないまま、「愛してる」と言うのだ。

『少し小高い丘の家』

書くこといえば何もない。皆無だ。「あ」だの「か」だのの文字達が「安」だの「加」に見えてきて、文字の意味というか、それらの存在の意味さえ分からなくなってくる。ただ、今私がやりたいことを仮に文字として表現するならば、海の見える少し小高い丘の家に住み、大きすぎる犬と細そすぎる猫と暮らし、時々夜中に海を眺め、その極めて緩やかに曲がっている地平線に、多分地球ってのは案外小さいのだなと、小馬鹿にしたい。

『チョリソー』

黒猫は不吉の前兆、詳しい理由は分からないが、何かと縁起が悪いらしい。一方、白猫は縁起が良いらしい。その証拠に、招き猫は白猫だ。何の話をしているかと言うと、この間、仕事帰りに黒猫を見たって話。僕は缶チューハイ片手に真っ暗闇を歩いていた。渋谷駅辺りだったってことは覚えているが(路地裏)、明確な場所は覚えてない。ただ、色んな食べ物の匂いが入り混じって、ゲロ臭いところだったのは覚えている。キラリと光るグリ

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『メトロノーム』

煙たい店内には、その速度と同じくらいの気怠いメロディーが流れている。ほとんどの客は1人客で、皆、誰かを待っているようだった。密閉されたその空間には、コバエも入って来れないのに。訪れもしない相手を永遠と待ち続ける。皆、せっかちに、なるだけゆっくりと最後の1本を吹かし、ふと腕の時計を眺める。その秒針もメロディーに合わせ……メトロノームのように。

『蝉』

『蝉』

多分、もうすでに生まれ変わっている。聞こえるのは生前の声であって、今まさに泣いている、わけではない。要するに昔、今すら、今まさに昔なのだ。

『ハチドリ』

私は幾分酔っていて、それが実像だったのか虚像だったのか今更分かるわけもないのだけれど。

右腕、肘より上に。そいつはノースリーブを着ていて、ハチドリのタトゥーがあった。その鳥はどう考えたって、止まっているはずだのに。HS3倍で4、5回羽ばたいた。きらりと光るそれは何となく昆虫みたいで、その動物の、種目、あるいは何て言うか、何科に属するのか分からない。その中途半端な青なのか緑なのか、青緑の物体の本来

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『風』

生温い風だったが、方向性があった。それを辿って行けば、どこかへ行ける気がした。だけども、僕はじっとその場から離れず、もっと強く吹いてはくれないかと、次の風を待った。

『西から来た悪魔』

店は混んでいた。やっと座れた窓際の席から駅の出口を見下ろし、悪魔が来るのを待った。
その日は雨が降っていて、薄暗く、昼だというのに夜のようだった。悪魔が電車に乗るわけないか。と思いながらも、駅の方を見ていた。傘を刺している人、刺していない人。小走りで軒下に駆け込む人。僕はなぜか、いつも以上に人間を観察していた。予定の時刻になっても悪魔は来ない。時計の針が11分過ぎたところで、黒いトレンチコートを着

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『トマト』

死ぬほど眠たかった。(死んでしまいたいほど)僕は酷く酔っていて、コンクリートが柔らかい。割り増しのタクシーがすぐそばを通りすぎる。尺取り虫みたいに、くねくね車道まで出て行く。そして、蛇行するタクシーに轢かれ、頭の上にタイヤが乗っかる。ペチャリと潰れる。脳みそがそこらじゅうに広がって、トマトの酸っぱい匂いがする。その酸味がすっと鼻を抜け、深い眠りにつく。夢なんか見ない。深い深い黒も白もない世界。

『Blue&Orenge2』

ベランダで煙草を吸っていると、「別れましょう」と言ってきた。(彼女は)ベッドに寝転びながら(僕の)煙草に火を付けた。その日の朝はやけに明るく、ふと気を抜けば夕方のようだった。僕はなぜか「いいよ」と言ってしまったが、別に後悔はなかった。(彼女は)ベットから降りて、立ちすくし、壁に掛けてあるモディリアーニのレプリカをじっと見ていた。

彼女との出会いは偶然だった。悪仲間と大学近くの居酒屋に行った時、彼

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『終電を逃す』

終電は1分前に発車していた。駅員から「終電終わりましたよ」と何故か喧嘩腰で言われてムカついた。普通、終電ってのは待ってくれるものだろうと思った。しょうがないからタクシーを探した。歩けない距離ではないが、歩く気力がない。

駅前にはタクシーの行列ができている。次から次へと人が乗り込む。トコロテンのように徐々に押し出されてタクシーに乗る。そう言えば、タクシーに乗る方も乗せる方も"拾った"と言うが。お客

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