『ハチドリ』

私は幾分酔っていて、それが実像だったのか虚像だったのか今更分かるわけもないのだけれど。

右腕、肘より上に。そいつはノースリーブを着ていて、ハチドリのタトゥーがあった。その鳥はどう考えたって、止まっているはずだのに。HS3倍で4、5回羽ばたいた。きらりと光るそれは何となく昆虫みたいで、その動物の、種目、あるいは何て言うか、何科に属するのか分からない。その中途半端な青なのか緑なのか、青緑の物体の本来の色は今となってはよく思い出せないし、そいつの顔すらもボヤッとしていて、どうしようもないからそいつをハチドリと名付けた。

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