彼女は魔法少女になり、そして不審死を遂げた……!!|『BRICK ブリック』(3)
テーマ発表!!
第1回、第2回に引き続き、映画「BRICK ブリック」をベースに新しい物語を妄想します。
※「BRICK ブリック」のストーリーなどについては、第1回の記事をご参照ください。
妄想開始!
嘉村 「BRICK ブリック」は、「男子高校生が、元カノを殺した犯人を探して麻薬密売人や常習者らがたむろする『危険な世界』に足を踏み入れるサスペンス」ですが、「設定を思いっきり変えても面白くなるのでは?」ということで……前回に引き続き、一体どんな物語にするといいかディスカッションしてまいりましょう!
三葉 承知しました。
嘉村 前回ご紹介したのは、「『BRICK ブリック』 ~『パパ活』編」、「『BRICK ブリック』 ~『ブラック企業』編」の2案でした。
案③
嘉村 それでは「案③」にまいりましょう!
三葉 はい。「案③」は、「『BRICK ブリック』 ~『魔法少女』編」です。
嘉村 魔法少女!
三葉 詳細をご説明する前に、「BRICK ブリック」風の物語を作る時に注意すべきポイントを振り返っておきましょう。
三葉 ……ですね(より詳しくは第1回の記事で)。
嘉村 ふむふむ。
三葉 これを踏まえて……「案③」!「BRICK ブリック」と比較すると以下のようになります。
三葉 ストーリーをご紹介しましょう。……舞台は、日本の地方都市。そして、主人公は陰気な男子高校生です。
嘉村 ふむ。
三葉 ある日、主人公は元カノから電話をもらう。2人は、3か月前に別れたばかりです。未練たらたらの主人公は思わず頬を緩ませる「もしや復縁話か!?」。しかし違った。元カノは何やら混乱しているようで、「困ったわ!」「組織が……」「あんな契約、まるで詐欺じゃない!」「浄化しないと……」「あの下劣なエイリアンが……」とよくわからぬことをまくしたてる。
嘉村 じつに意味深ですねぇ。
三葉 そして、唐突に電話が切れる。……何かあったに違いない!主人公は、慌てて元カノを探し始めます。
嘉村 ふむふむ。
三葉 さて……ここで、主人公と元カノの関係をご説明しておきましょう。彼らは、高校の同級生です。2人には、「控えめながら芯が強く、時に頑固者にも見える」という共通点があった。似た者同士と言えるでしょう。彼らはすぐに惹かれ合い、恋人関係になった。交際は順調に続く。ところが1年ほど経ったある日、事件が起きた。
嘉村 ほぉ……一体何でしょう?
三葉 彼女が、魔法少女に勧誘されたのです。
嘉村 魔法少女!
三葉 彼女は喜ぶ「私には魔法少女になる素質があるんだって!私、この力を世界のために使うわ!世界を救うの!」。真っ赤に顔を上気させている。しかし魔法少女だなんて……どう考えても怪しい!主人公は、カルト宗教や詐欺の類ではないかと疑う。ところが、である。彼女の話は本当だった。魔法のタクトをひと振りすれば、彼女はメタモルフォーゼ。鳥のごとく空を飛ぶ。タクトからは電撃が放たれる。……まさに、アニメの世界でおなじみの魔法少女なのだった。
嘉村 ふむ。
三葉 彼女曰く、「この世界には1000人ほどの魔法少女がいるそうよ」「私たちの敵は、人類を殲滅せんとする無数の魔物」「魔法少女は組織を作り、日々魔物と戦っているの」「私たち魔法少女は、有史以来、誰にも知られず人類を守り続けてきたの。お金や名誉のためではないわ。純粋に、人類を守るためだけに戦ってきた。私もその末席に加わるのよ。……嗚呼、嬉しい!」。
嘉村 なるほど。
三葉 かくして、彼女は「東日本魔法少女連盟」なる組織に加わり、先輩の指導を受けつつ魔物と戦うようになりました。魔物が出現するのは夜間です。当然、彼女は寝不足になる。授業中居眠りすることが増える。主人公と一緒にいてもいつも眠そうで、休みの日も「ごめん。今日は寝溜めさせてね。デートはまた今度……」。
嘉村 ほぉ……。
三葉 また、時には戦いでケガを負うこともある。幸い重症ではないものの……主人公は心穏やかではない。当初は「彼女のやりたいことだ。恋人として応援しなきゃ」と思っていた主人公ですが、次第に耐え切れなくなる。「世界を救うのもいいけどさぁ……オレはきみが心配だよ」「きみが戦わなくてもいいんじゃないかな?魔法少女の素質を持った人は、他にもたくさんいるだろ?」。しかし、彼女は聞く耳を持たない。魔法少女として戦うことに生きがいを感じていたのです。やがて主人公はぶち切れる「少しはオレの言うことを聞いてくれてもいいだろ!」「オレと人類、どちらが大切なんだよ!」「オレはきみを愛している!だから言っているんだ!」。彼女は寂しそうな表情を浮かべる。そして、主人公に別れを告げたのでした。
嘉村 ふーむ……。
三葉 さて、話を戻しましょう。支離滅裂な電話の後、主人公は慌てて元カノを探し始めました。しかし……手遅れだった。町外れで、彼女の遺体が見つかったのです。主人公は強いショックを受ける。彼女は一体なぜ死んだのか!死因は急性心筋梗塞というが……本当に?本当にただの病死なのか?主人公には、そうは思えない。魔法少女であったことが関係しているに違いない。主人公は決意します。必ず真相を明らかにしてみせる!
嘉村 なるほど。
三葉 そして……虎穴に入らざれば虎子を得ず。主人公は「東日本魔法少女連盟」に潜入する。彼は、元カノが遺した謎の言葉を頼りに、時に魔法少女と魔物の戦いに巻き込まれたりしながら、真実に近づいていくのでした。……というのが、「案③」のアイデアです。
案④
嘉村 続いて、「案④」にまいりましょう。
三葉 はい。「案④」は、「『BRICK ブリック』 ~『田舎町』編」です。
嘉村 今度は田舎町!
三葉 ええ。まずは、「BRICK ブリック」との比較表をご覧ください。
三葉 「BRICK ブリック」も、ここまでご紹介してきた「案①②③」も、「『男性主人公』が、『元カノの死』をきっかけに『危険な世界』に足を踏み入れる物語」でしたが……。
嘉村 ええ。
三葉 無論、男女を逆転させることも可能です。すなわち「案④」は、「『女性主人公』が、『元カレの死』をきっかけに『危険な世界』に足を踏み入れる物語」。
嘉村 ふむふむ。
三葉 主人公は20代の女性です。ある日、彼女の恋人が切り出した「オレ、田舎に移住するよ」。主人公はぶっ魂消る「ええっ!急にどうしたのよ!?」。聞けば、社畜生活にうんざりしたのだと言う。
嘉村 ほぉ。
三葉 主人公は「数年後には、この人と結婚するんだろうなぁ」と思っていました。ところが……突然の移住宣言!都会で生まれ育った彼女には、田舎暮らしはピンと来ない。仕事はどうするの?将来子どもを産むことを考えると、やはり都会の方がいいのではないだろうか?……不安しかない。
嘉村 まぁ、突然の話ですからね。そりゃ戸惑い、不安になるでしょう。
三葉 しかし彼の決意は固い。……じつは彼は、過労ゆえに精神のバランスを崩していたのです。
嘉村 あー……。
三葉 かくしてぶち切れる「うるさい!オレはもう決めたんだ!嫌なら無理についてきてくれなくていいさ!」。そして一方的に別れを告げ、彼は田舎に移住してしまった。
嘉村 ええっ……。
三葉 それから2か月経ったある日のこと。主人公のもとに一本の電話が入る。相手は元カレです。彼は混乱状態で、支離滅裂なことを叫ぶと唐突に電話を切ってしまう。主人公は呆気に取られる。何が何やらわからぬ。「でも、彼の身に何かあったに違いないわ」。彼女は、週末になったら彼の様子を見に行こうと決める。しかし……手遅れだった。翌日、彼が死んだという連絡が入る。
嘉村 ふむ。
三葉 主人公はショックを受ける。そして決意します。何があったのか、私が突き止めてみせるわ!そのためには……虎穴に入らずんば虎子を得ず。彼女は、思い切って田舎町に移住する。そして元カレとの関係を伏せ、何食わぬ顔で住民と交流し真実に迫っていく。……これが、「案④」の物語です。
嘉村 なるほど。
三葉 以上、「『BRICK ブリック』をリスペクトした物語」のアイデアをご紹介しました!
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「BRICK ブリック」の研究はこれで終了です。ありがとうございました。
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最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。
(担当:三葉)