見出し画像

「麻薬グループ」でも、「パパ活組織」でも、あるいは「ブラック企業」でも、真実を明らかにするためならどこへだって飛び込む!!|『BRICK ブリック』(2)

画像1


テーマ発表!!


 前回に引き続き、映画「BRICK ブリック」をベースに新しい物語を妄想します。

※「BRICK ブリック」のストーリーなどについては、前回の記事をご参照ください。


妄想開始!


嘉村 それではまいりましょう!

三葉 はい。

嘉村 「BRICK ブリック」は、「男子高校生が、元カノを殺した犯人を探して麻薬密売人や常習者らがたむろする『危険な世界』に足を踏み入れるサスペンス」ですが、「設定を思いっきり変えても面白くなるのでは?」ということで……さて!どんな物語にしましょうか?


案①


三葉 まずは、「BRICK ブリック」風の物語を作る時に注意すべきポイントを確認しておきましょう。


画像2


三葉 ……ですね(より詳しくは前回の記事で)。

嘉村 ふむふむ。

三葉 さて、「BRICK ブリック」には「高校内の麻薬グループ」や「街の麻薬王」が登場しますが……。

嘉村 ええ。

三葉 「日本を舞台にした『BRICK ブリック』風物語」を考える時には、この部分がネックになると思うんですよね。日本の高校に麻薬常習者グループがあるとか、怪しいマントを付けた麻薬王が登場するとか、さすがに現実離れし過ぎているかなと。

嘉村 確かに。

三葉 そこで「案①」ですが……ズバリ!「『BRICK ブリック』 ~『パパ活』編」です。


画像3


嘉村 ほぉ!

三葉 「BRICK ブリック」と比較すると以下のようになります。


画像6


嘉村 「麻薬」の代わりに「パパ活」というわけですね。

三葉 ええ、その通りです。パパ活なら、舞台が日本でも受け入れられやすいでしょう。

嘉村 なるほど。

三葉 ストーリーをご紹介しましょう。……舞台は、日本の地方都市です。主人公は、陰気な男子高校生。人と群れるのが好きではなく、いつも1人でいる。

嘉村 ふむ。

三葉 ある日、主人公は元カノから電話をもらいます。久々の連絡です。元カノに未練たらたらの彼は、思わず頬がゆるむ。……が、どうも元カノの様子がおかしい。彼女は混乱しているようで、「私はドカタなんて……」「サイポリが……」「シュガーが……」と何を言っているのかよくわからない。そして間もなく電話が切れる。

嘉村 ほぉ。

三葉 主人公は慌てる。よくわからぬが……何かあったに違いない!彼は元カノの友人に連絡を取ったり、元カノのSNSを辿ったりして行方を追います。しかし、間に合わなかった。翌日、元カノの遺体が見つかる。主人公は衝撃を受ける。そして、「必ずオレが真相を暴いてみせる」と心に誓う。

嘉村 ふむふむ。

三葉 さてここで、「主人公と元カノが破局に至った理由」を確認しておきましょう。……2人はインドア派で、真面目な性格。ワイワイ騒ぐよりも、静かに読書することを好むタイプだった。彼らは高校に入学してすぐに意気投合し、やがて恋人同士になる。2人はラブラブだった。ところが、徐々にズレが生じる。すなわち、彼女が「変化」し始めたのです。

嘉村 変化と言うと……?

三葉 何しろ、高校生ですからね。そりゃ変化もしますよ。彼女の場合、「スクールカースト上位層 = リア充」に憧れを抱くようになったのです。キラキラしているなぁ。人生を満喫して楽しそうだなぁ。私もあんな風になりたいなぁ。彼女はリア充らに近づき、親交を深めていった。彼らと過ごす時間が増える。また、彼らの影響でバイトを始める。ファッションも派手になる。……主人公は面白くない。

嘉村 まぁ……でしょうねぇ。

三葉 主人公は、彼女を愛していました。だから、面白くない。「オレと図書館でデートするより、あの連中とカラオケに行くのか……」、「スカートの丈がまた短くなったようだ。ひざ丈がかわいかったのに……」と不満を抱く。しかし、彼女はますますリア充色に染まっていく。主人公は見過ごせず、アレコレ口出しするようになる。彼女はうんざりする。そして、ついに2人の不満が爆発する。主人公が叫ぶ「愛しているんだ!オレは誰よりもきみを想っている!」。しかし彼女は首を横に振る「違うわ!あなたは私を束縛したいだけよ!私が遠くに行くのが寂しいんでしょ!自分が否定されているようで耐えられないんでしょ!」。主人公は絶句する。なぜなら図星だったから。彼女は続ける「……もう終わりにしましょ。あなたのことを愛していたわ。でも……無理なの。私はもう、あなたとは違う世界にいるの」。かくして破局を迎えたのでした。

嘉村 なるほど。

三葉 さて、話を戻しまして……真相を明かさんとする主人公は、まず友人にサポートを求めました。それは、学校や街の事情に精通した男。フィクションの世界ではお馴染みの「頭脳キャラ」「情報屋」です。


嘉村 ふむふむ。

三葉 情報屋が推理します「彼女が遺した『ドカタ』『サイポリ』『シュガー』という言葉がヒントになるだろう。あー、じつに言いづらいのだが……」「言ってくれ」「いずれも、パパ活女子の使う隠語だ」「……」「それからもう1つ。きみと別れた後、彼女はクラスメイトの○○さんと親しくしていたが……なぁ、知っているか?○○さんは、校内のパパ活グループの幹部だ。希望者にパパをあてがっている」「……彼女もパパ活をしていたと?」「だろうな」。

嘉村 ふーむ。

三葉 彼女の死には、校内のパパ活グループや、複数の学校を統括するパパ活組織が関わっているに違いない……主人公は情報を得るべく、これらの組織に接近します。時には暴力をも辞さず、彼は真実に向かって突き進む。そして、彼女が組織内の権力闘争の巻き添えを食って死んだことが明らかになる。……以上が「案①」のあらすじです。


案②


嘉村 続いて、「案②」にまいりましょう。

三葉 はい。「案②」は、「『BRICK ブリック』 ~『ブラック企業』編」です。


画像4


嘉村 今度は、ブラック企業!

三葉 ええ。まずは、「BRICK ブリック」との比較表をご覧ください。


画像6


三葉 「BRICK ブリック」や「案①」は、高校生主体の物語でしたが、「案②」ではもう少し年齢を上げてみましょう。すなわち、主人公は24歳の大学院生です。

嘉村 ふむ。

三葉 彼は落ち込んでいた。3か月ほど前に彼女に振られ、いまも未練たらたらなのです。……2人は、大学1年生の頃に恋人同士になりました。それからおよそ4年間順調に交際を重ね、主人公は大学院に進学。一方、彼女は社会人になった。進路は違っても2人の関係は変わらない。そう思っていたのですが……次第に隙間風が吹き始める。

嘉村 ふーむ……一緒にいる時間が減る上、2人とも慣れぬ新生活ですもんね。どうしたって距離が生まれますよね。

三葉 ええ、そうですね。特に、問題は彼女の方です。

嘉村 ほぉ。

三葉 彼女が就職したのは、激務で知られる大企業(以下、A社)。彼女は才気に溢れ、やる気も十分。「バリバリ働くんだ!将来は起業しちゃうもんね!」と張り切っていた。

嘉村 ふむふむ。

三葉 そしてその言葉通り、入社するや否や猛烈に働き始めました。終電までの残業は当たり前。休日出勤も珍しくない。そんな環境です。彼女はいつも目の下にクマを作っていた。頬もこけた。

嘉村 ふーむ。主人公は心配でしょうね。

三葉 ええ、彼は心配でたまらなかった「バリバリ働くのもいいけれど……健康第一だぜ?」。当初、彼女は「大丈夫大丈夫!体力には自信あるもんね!」と笑っていたが、次第に笑顔は消えた。いつもピリピリしている。些細なことにイラつき、かと思えば妙にボンヤリしていることもある。

嘉村 ヤバそうだ……。

三葉 主人公は、転職すべきだと伝える。しかし、彼女は聞く耳を持たない。それどころか、「そんなこと言わないで応援してよ!頑張っているんだから、応援してよ!」とヒステリックに叫ぶ。あるいは、「嫉妬は止めて!」と怒ることもあった。「嫉妬?」「そうよ!自分が学生だから、私が一人前の社会人になるのが面白くないんでしょ!」「そんな……」「そうに決まっている!○○くんって昔から子どもっぽいところがあるもんね!」。主人公は言葉を失う。彼女は、賢くも穏やかな女性だった。こんな風に口を尖らせ、人を糾弾するような女性ではなかった。そして……こうしたやりとりが何度か繰り返され、やがて主人公は振られてしまった。

嘉村 なるほど。

三葉 さて、話を戻しまして……彼は元カノに未練があった。あの調子で働き続けたら、そう遠くない内に心身を壊すに違いない。心配で仕方がなかった。

嘉村 ええ。

三葉 そんなある日、主人公に連絡が入る。相手は大学時代の友人……すなわち、様々な情報に精通している「頭脳キャラ・情報屋」です。彼は言う「知っているか。彼女が死んだぞ」。自殺でした。

嘉村 あー……。

三葉 主人公は強いショックを受ける。過労自殺に違いない。彼女は疲れ果て、精神を病み、そして死んでしまったのだ……。彼はふと思い出す「そういえば……彼女はSNSの裏アカウントを持っていたな」。少しでも彼女の死について知りたい主人公は、彼女の両親の許可を得てスマホを確認し、IDとパスワードを知る。そして、裏アカウントの投稿を見る。そこには、仕事関係のグチが並んでいたが……時々、暗号のようなものが混じっている。主人公は、情報屋に助けを求める。情報屋はしばらく投稿を眺めてから、こう言った「ただの自殺ではないかもな」。

嘉村 ほぉ。

三葉 情報屋曰く、「暗号はまだ解けねぇが……どうも彼女の会社で何かあったような気がする。例えば権力争い。彼女はそれに巻き込まれたんじゃないかな?」。そうとわかれば、黙ってはいられません。虎穴に入らざれば虎子を得ず。真相を明らかにするには、思い切って飛び込むしかない。彼は大学院を中退し、何食わぬ顔でA社に入社する。そして情報屋のサポートと、元カノの遺した暗号を頼りに、彼女を自死に追いやった原因 = 犯人に迫っていく。……というのが「案②」です。

嘉村 なるほど。

三葉 以上、「『BRICK ブリック』をリスペクトした物語」のアイデアをご紹介しました!



続きはこちら!!

---🌞---

関連

---🌞---

最新情報はTwitterで!

---🌞---

 最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。

(担当:三葉)

この記事が参加している募集

コンテンツ会議

最後までご覧いただきありがとうございます! 頂戴したサポートはすべてコンテンツ制作に使います!