アイドルオタクが、アイドルの代役を務めることになって……!!|『トッツィー』(3)
テーマ発表!!
第1回、第2回に引き続き、映画「トッツィー」をベースに新しい物語を妄想します。
※「トッツィー」のストーリーなどについては、第1回の記事をご参照ください。
妄想開始!
嘉村 「トッツィー」は、クソ男が女性に「変身」したことをきっかけに、人間的な成長を遂げる物語ですが、「設定を思いっきり変えても面白くなるのでは?」ということで……前回に引き続き、一体どんな物語にするといいかディスカッションしてまいりましょう!
三葉 承知しました。
嘉村 前回ご紹介したのは、「『トッツィー』 ~『高校生』編」、「『トッツィー』 ~『オタク高校生』編」の2案でした。
案③
嘉村 それでは「案③」にまいりましょう!
三葉 はい。「案③」は、「『トッツィー』 ~『老婆』編」です。
嘉村 老婆!
三葉 詳細をご説明する前に、「トッツィー」風の物語を作る時に注意すべきポイントを振り返っておきましょう。
三葉 ……ですね(より詳しくは第1回の記事で)。
嘉村 ふむふむ。
三葉 これを踏まえて……「案③」!「トッツィー」と比較すると以下のようになります。
三葉 「トッツィー」は、「中年男性」が「中年女性」に変身(変装)し、女性としてふるまう内に人間的な成長を遂げる物語ですが……。
嘉村 ええ。
三葉 「案③」は、「若い女性」が「老婆」に変身(変装)し、老婆としてふるまう内に人間的な成長を遂げる物語です。
嘉村 ふむふむ。
三葉 ストーリーをご紹介しましょう。……主人公は、20代半ばの女性。彼女は、とある日用品メーカーに勤務しています。
嘉村 ふむ。
三葉 ところで……主人公の周りには、何人かの高齢女性がいます。例えば、離れて暮らしている実母、隣の家のお婆ちゃん、定年退職間近の会社の先輩など。主人公は常識的な人間で、一般的な敬老精神を持ち合わせています。……が、それはあくまでも「一般的な敬老精神」であって、果たしてそれで十分なのかどうかは物語が進むに連れて明らかになるでしょう。
嘉村 ほぉ。
三葉 さてある日のこと……主人公は、新商品開発チームの一員に選ばれます。チームリーダーが言う「いまわが社に必要なのは、シニアの皆さんに喜んでいただける商品だ!諸君、素晴らしいアイデアを期待しているぞ!」。
嘉村 ふむふむ。
三葉 「新商品開発」だなんてワクワクしてきますが……主人公は早々に行き詰る。アイデアが出ない。いや、アイデアはあるのだ。しかし、それが「シニアの皆さんに喜んでいただける商品」なのかと訊かれると……自信がないのです。なぜなら彼女は若く、老婆ではないから!老婆の気持ちがわからぬ!
嘉村 まぁ、確かに。
三葉 主人公は頭を抱える。そして……閃く「老婆に変装すればいいんだわ!老婆に扮して様々な体験を積めば、少しは老婆の気持ちがわかるようになるはず!」。
嘉村 なるほど。
三葉 かくして彼女はチームメイトの協力を得て、老婆に扮します。といっても、単に老婆風のメイクを施すだけではない。いわゆる「高齢者疑似体験装具」も身につける。
嘉村 あー、「特殊なメガネをかけることで、『白内障の人の見えづらさ』を体験する」なんてヤツですね。
三葉 ええ、それです。全身に重りを付けることで「筋力の低下」を、肘や膝にサポーターをつけることで「関節の曲がりづらさ」を、また、耳栓を付けることで「耳の聞こえづらさ」を、さらに手袋によって「細かい作業のしづらさ」を再現する。
嘉村 ふむ。
三葉 そして街に出ると……嗚呼、何と生きづらいことか!些細な段差が辛い!看板の文字が読めぬ!商品を掴めぬ!満員電車では露骨に嫌な顔をされる!いつもは親切な店員が今日に限って冷たい……「そうか!あの人は、私が若い女だから優しかったんだ!」。
嘉村 なるほど。
三葉 一方、セクハラオヤジ風の中年男性や、いかにもガラの悪そうな若い男性が意外にも親切にしてくれるなど、嬉しい発見もある。
嘉村 「私は三年間老人だった」というドキュメントがありますが、アレを彷彿とさせる物語ですね。
三葉 とまぁそんな具合に主人公は多くの経験を積み、「老婆の気持ち」を理解、素晴らしいアイデアに結実する。それと同時に、彼女自身も変化を遂げます。すなわち……これまでの自分が、必ずしも親切な人間ではなかったことに気づく。そして反省し、高齢女性に対する態度を改めたのです。こうして彼女は、会社員としても、人間としても大いに成長したのでした。……で、物語は幕を閉じます。
案④
嘉村 続いて、「案④」にまいりましょう。
三葉 はい。「案④」は、「『トッツィー』 ~『アイドル』編」です。
嘉村 今度はアイドル!
三葉 ええ。まずは、「トッツィー」との比較表をご覧ください。
三葉 ご覧の通り……「案④」は、「アイドルオタクのオッサン」が「アイドル」に変身(変装)することで、人間的な成長を遂げる物語です。
嘉村 オッサンがアイドルに……。
三葉 ストーリーをご紹介しましょう。主人公は、とあるアイドルグループ(以下、グループA)のおっかけです。
嘉村 ほぉ。
三葉 なお、「アイドル」と言ってもピンキリですが、ここでは「ほとんど無名の10人ほどのグループ」ということにしておきましょう。「小規模の会場で20~30人ほどのお客を相手にライブを開催するレベルの地下アイドル(= ライブアイドル)」です。
嘉村 承知しました。
三葉 さてある日のこと。ライブ中にメンバーの1人(以下、Bさん)が誤ってステージから落下し……最前列で熱烈に応援していた主人公に激突!2人はひっくり返る。そして、すぐに病院に搬送される。主人公は幸い無傷だったが、Bさんは足を骨折。医師曰く、「半年は運動を控えてください」。Bさんはブチ切れる「じょっ、冗談じゃないわ!」。
嘉村 ほぉ……。
三葉 じつはグループAは、メジャーデビューを控えていました。大切な時期なのです。Bさんは叫ぶ「そんな時に休めるわけがないでしょ!私、アイドルに命をかけているのよ!」。
嘉村 ふーむ。
三葉 マネジャーは頭を抱える。Bさんの言うことはよくわかる。彼女はファンからの人気が高く、さらにグループ内では精神的な柱となっている。Bさんが抜けるのは……じつに痛い!だがしかし、前途ある彼女に無理をさせることはできぬ!「ダメだ!きみはしっかり休養をとらねば!」。
嘉村 なるほど。
三葉 Bさんとマネジャーは、しばらくの間激しく言い争いますが……やがてBさんが大きなため息をつく「わかったわ……。マネジャーさんの言う通りよ。子どもみたいなことを言ってごめんなさいね」。マネジャーはホッとした……が、それも束の間。Bさんが続ける「致し方がないわね。代役を立てましょう」。マネジャーはぶっ魂消る「だっ、代役!?」「そうよ!それも、ただの代役ではないわ!ファンにも、他のメンバーにも代役だと気づかれてはならない。つまり、私の完全なコピーよ!」「しかし……一体誰にそんなことができる?相貌に体型、仕草やちょっとしたクセ、そして歌とダンスまで完全にコピーできる人なぞ……」。Bさんが微笑む「フフッ。最適な人がそこにいるじゃない。……ねっ、○○さん」。突如名前を呼ばれた主人公が飛び上がる「ぼっ、僕ですか!?」。「そうよ。いつも最前列で応援してくれていたわよね。私のすべてを熟知しているのではなくて?」「えっ、いや……」「あら。あなたの私への愛はその程度のものだったの?」「そんな……」「私を愛しているでしょ?」「あっ、愛しています!誰よりもBさんを愛しています!私以上にBさんを熟知している人はいないでしょう!」「ありがと♡では決まりね」「えっ、いや、でも……」。Bさんが声を荒げる「お黙りなさい、この豚が!」「ぶっ、豚……?」。マネジャーが慌てる「おいおい!きみの本性、すなわちドSっぷりはファンには見せぬ約束だろ!」。Bさんが笑う「そうよ。ファンの前では、『穏やかなお姉さんキャラ』でいくわ。でも、この人はもうファンではないわ!私の代役よ!」。
嘉村 ははぁ……。
三葉 元々がBさんの大ファンで、さらにM気質の主人公です。彼女の命令には逆らえぬ。彼は言われるがままに整形手術を受け、過酷なダイエットを経て……そしてファンとメンバーの前にBさんとして登場した「ハロー!心配かけてごめんね♡」。
嘉村 なるほど。
三葉 かくして、およそ半年間のアイドル生活が始まりました。彼はステージ上で歌って踊り、他のメンバーと交流し、あるいはファンとの握手会を経験し、時にはストーカー被害に遭ったり、枕営業に誘われたり……アイドルとして過ごす内に、人間的な成長を遂げていくのでした。これが「案④」です。
嘉村 ふむふむ。
三葉 以上、「『トッツィー』をリスペクトした物語」のアイデアをご紹介しました!
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「トッツィー」の研究はこれで終了です。ありがとうございました。
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最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。
(担当:三葉)
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