クソ男が女装して女子高に潜入し、人間的に成長する物語！！｜『トッツィー』（2）

100%ツールズ｜創作の技術

2020年1月28日 18:03

テーマ発表！！

　前回に引き続き、映画「トッツィー」をベースに新しい物語を妄想します。

※「トッツィー」のストーリーなどについては、前回の記事をご参照ください。

妄想開始！

嘉村　それではまいりましょう！

三葉　はい。

嘉村　「トッツィー」は、クソ男が女性に「変身」したことをきっかけに、人間的な成長を遂げる物語ですが、「設定を思いっきり変えても面白くなるのでは？」ということで……さて！どんな物語にしましょうか？

案①

三葉　まずは、「トッツィー」風の物語を作る時に注意すべきポイントを確認しておきましょう。

三葉　……ですね（より詳しくは前回の記事で）。

嘉村　ふむふむ。

三葉　以上を踏まえて「案①」は……ズバリ！「『トッツィー』　～『高校生』編」です。

嘉村　ほぉ！

三葉　「トッツィー」と比較すると以下のようになります。

三葉　「トッツィー」は、「中年男性」が「中年女性」に変身（変装）し、女性としてふるまう内に人間的な成長を遂げる物語ですが……。

嘉村　ええ。

三葉　「案①」は、「男子高生」が「女子高生」に変身（変装）し、女性としてふるまう内に人間的な成長を遂げる物語です。

嘉村　ふむふむ。

三葉　ストーリーをご紹介しましょう。主人公は、高1男子。彼には中学時代から付き合っている素敵な恋人（以下、Aさん）がいましたが……ある日、突然振られてしまう。Aさん曰く、「あなたには愛想が尽きたわ」。まさに青天の霹靂！主人公はショックを受ける「どっ、どうして！オレたちこんなに仲よしじゃないか！学校が違っても上手くいっているのに！」。Aさんは大きなため息を1つ。そして、「最後までデリカシーのない男ね」と言い残して去っていった。主人公には訳がわからぬ。

嘉村　ほぉ。

三葉　主人公は何もやる気が起きず、屋上で授業をサボる。そこへ友人がやってきて、主人公の肩を叩く「ご愁傷さま」。主人公は問う「なぁ、どうしてだと思う？あんなに仲よしだったのに！」。友人は一瞬ポカンとした表情を浮かべてから、「……あのさ。そういうところだと思うよ。お前のそういうところに愛想が尽きたんじゃね？」「どういうこと？」「いやさ、お前、合コンに行きまくってたじゃん。『学校が違うからAさんにバレる心配はない』とか言ってさ」「まぁな」「いや、『まぁな』じゃなくて……」「カノジョがいたって、合コンくらい行くだろ？男の付き合いだよ」「んー……っていうかさ、それにとどまらず、合コンで会った女と浮気しまくってたよね」「あー、それなぁ。でもバレてねぇよ。そこは抜かりない。男のマナーだからな！」「……そういうところじゃね？」「どういうところ？」。

嘉村　うーむ……見事なクズ男ですねぇ。

三葉　ええ、そうですね。主人公はイケメンでオシャレで、適度に頭が軽く、腰も軽かった。彼は幼いころから大いにモテて……その結果、高校生にして一端のクズ男に成長したのでした。

嘉村　なるほど。

三葉　しかしそんな主人公も、今回ばかりはショックを受けていた。彼は言う「オレもいろんな女と遊んだけれど、愛しているのはアイツだけなんだぜ」。そして彼は決断する。

嘉村　ほぉ……一体何です？

三葉　「オレは男だ！」「うん」「このまま引き下がることはできねぇ！」「うん？」「オレは行くぜ！」「どこへ？」「あいつの高校に転校する！そして、あいつが心変わりした理由をこの目でしかと見届ける！」「……Aさんが通っているのは女子高だろ？」「そっ、そうだった！」「それも全寮制だよな？」「たっ、確かに！」「諦めろって」「……ぐっ」「……」「……フフフッ！」「……狂ったか？」「ロミジュリだぜ！」「ん？」「障害があればあるほど愛は燃え上がるってヤツさ！」「Aさんの方はもう鎮火したみたいだけどな」。かくして、主人公は女装してみる。

嘉村　ふむ。

三葉　すると……嗚呼、さすがはイケメンである！大変よく似合う。友人もこれには驚嘆する「おおっ！」。主人公は得意気に「ふふっ、どうよ！美人だろ！」「うーむ……確かに」「アイツより、オレの方が美人だよな？」「……お前はAさんを取り戻しに行くのか？それとも対決しに行くのか？」。主人公は鏡の前で、ミニスカートをめくってみる。パンツが丸見えになる「我ながらそそるぜ！」。友人はそっと目をそらす。

嘉村　ははぁ……。

三葉　そして戸籍やら何やら裏で手を回して準備を整え、主人公は女子生徒として転校・入寮したのでした。

嘉村　「女装して寮に入る」と聞くと、アレですね。「ミントな僕ら」を思い出しますね。未有という子がかわいかったなぁ。

三葉　さてその後、主人公は女子高生に扮してAさんに接近し、彼女の本音を知ろうとするわけですが……そうこうする内に、人間的な成長を遂げていきます。

嘉村　ふむふむ。

三葉　成長のきっかけは様々ですが、ここでは「トッツィー」に倣って、大別して2種類にわけてご説明しましょう。

嘉村　ふむ。

三葉　第1に……しつこくナンパされたり、道を歩いていて「おっ、90点！なかなかの美少女じゃん」「オレはもうちょっと足が太い方がいいなぁ」なんて男どものゲスな声が耳に入ったり、あるいは男性教師の舐め回すような視線にさらされたり……主人公の写し鏡のようなクソ男どもと接する内に、これまでの自分がいかに女性にとって不愉快な存在であったかを自覚。主人公は大いに反省し、彼らを反面教師として女性との関わり方を学んでいきます。

嘉村　なるほど。

三葉　そして第2に……主人公は、Aさん以外の同級生とも親しくなります。「○○さんって竹を割ったような性格だよね！」「男勝りのところがカッコいい♡」なんて具合ですね。

嘉村　「男勝り」っていうか……まぁ、男ですからね。

三葉　その結果、主人公は同級生から恋愛相談を受けるようになります。彼は、「ブスだのデブだの、そんなことを気にしてちゃダメよ！最後に勝つのは愛よ！一途な愛に敵うものはないわ！」と真摯にアドバイスを送る。その言葉に背中を押され、意中の人にアタックしてハッピーになった子もいる。無論、玉砕した子もいる。彼女は泣きながら「ダメだったけれど……告白してよかった！○○さんのおかげ！本当にありがとう！」と礼を言う。それを見て、主人公は思う「『一途な愛』って……どの口が言ってるんだよ。そうか、オレに足りないのは一途さだったんだ！」。

嘉村　ふむふむ。

三葉　かくして、主人公は人間的な成長を遂げました。やがて、彼はAさんにすべてを打ち明ける。Aさんは呆気に取られますが……主人公はいまや「女性の気持ちを思い遣れる男」です。Aさんは笑って許してくれる。……で、ハッピーエンド！

案②

嘉村　続いて、「案②」にまいりましょう。

三葉　はい。「案②」は、「『トッツィー』　～『オタク高校生』編」です。

嘉村　今度は、オタク高校生！

三葉　ええ。まずは、「トッツィー」との比較表をご覧ください。

三葉　ご覧の通り……「案②」は「リア充」が「オタク」に変身（変装）し、オタクとしてふるまう内に人間的な成長を遂げる物語です。

嘉村　ふむふむ。

三葉　ストーリーをご紹介しましょう。……夏休み！嗚呼、間もなく夏休みである！リア充高校生の夏休みといえば、海に山に祭りに花火。今日は友だちと出かけ、明日は恋人とデートするといった具合に大変忙しいものです。リア充らは、ウキウキしている。ところが、主人公だけは意気消沈。

嘉村　ほぉ……。

三葉　イベントが多いということは、それだけ出費がかさむということです。しかし……主人公の財布は軽かった！つい先日、クールな服を買いまくってしまったのです。「これで夏のオシャレはバッチリだぜ！」と思っていたのですが……いやいや、どれだけオシャレな服があっても、金がなければ始まらぬ！

嘉村　なるほど。

三葉　主人公は焦る「やべぇよ、やべぇよ！みんなアレコレ計画を練っているのに、オレだけ乗り遅れちまう……」。かくなる上は、バイトをするのである！だが、チンタラ稼いでいる場合ではない。1か月ほどでガッツリいくのだ！彼は求人情報サイトを見る。

嘉村　ふむ。

三葉　とはいえ、彼は高校生です。働き口は限られている。「ホスト」だの「ママ活」だのという言葉が脳裏に浮かぶが……いやいやいや。無理無理無理。そうこうしている間にも、刻一刻と時は過ぎゆく。最早迷っている場合ではない。大体、応募したからといって必ずしも採用されるわけではないのだ。「やべぇよ、やべぇよ！もう何でもいいよ！」。彼は業務内容も確認せず、時給が高くて自宅から通えそうな求人に、片っ端から応募する。ところが……ダメだ！不採用の嵐である。面接にすら辿り着けぬ！「クッ、クソ！オレが○○高校の生徒だからか！？確かに有名なアホ高校ではあるけれど……」。そんな中、面接の案内がようやく1通届く。「おおっ、神よ！感謝します！えっと、仕事内容は……」。それは、オタクグッズ専門店の販売員の仕事でした。

嘉村　おおっ……。

三葉　主人公は卒倒しかける「オッ、オタクぅ！？」。そう、彼はオタクを嫌っていたのです。キモい連中だと軽蔑していた。「クソッ！あんな連中を相手に接客かよ！冗談じゃないぜ！」。しかし……彼に選択の余地はない。「夏 or オタク」である。オタクに耐えれば、素敵な夏がやってくる。オタクを厭えば、夏が去る。否も応もない。「くっ……オレはやったるぜ！」ということで、彼は腹をくくる。そして考えてみると……オタクショップの販売員である。彼のようなリア充が面接で採用されるものだろうか？いや、不採用になるに違いない！あまりに客層とズレている！

嘉村　ふむふむ。

三葉　かくして……主人公は古典的なオタクファッションに身を包み、オタクに擬態して面接を受ける。そして採用され、その後1か月間に渡って、オタクとしてふるまうことになったのでした。

嘉村　ほぉ。

三葉　主人公はオタクらと交流したり、オタクというだけで差別的な扱いを受けたり、次第にオタク趣味に目覚めたりして、人間的な成長を遂げていく……これが「案②」です。

嘉村　なるほど。

三葉　以上、「『トッツィー』をリスペクトした物語」のアイデアをご紹介しました！

続きはこちら！！

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