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あの夏。甲子園。すべてはそこから始まった!!|『ブロークバック・マウンテン』(2)

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テーマ発表!!


 前回に引き続き、映画「ブロークバック・マウンテン」をベースに新しい物語を妄想します。

※「ブロークバック・マウンテン」のストーリーなどについては、前回の記事をご参照ください。


妄想開始!


嘉村 それではまいりましょう!

三葉 はい。

嘉村 「ブロークバック・マウンテン」は、「ゲイ = 悪」の時代・場所を舞台に、相思相愛ながらどうしても幸せになれないゲイカップルを描いたラブストーリーですが、「設定を思いっきり変えても面白くなるのでは?」ということで……さて!どんな物語にしましょうか?


案①


三葉 まずは、「ブロークバック・マウンテン」風の物語を作る時に注意すべきポイントを確認しておきましょう。


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三葉 ……ですね(より詳しくは前回の記事で)。

嘉村 ふむふむ。

三葉 さて以上を踏まえて「案①」ですが……ズバリ!「『ブロークバック・マウンテン』 ~『高校野球』編~」です。


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嘉村 高校野球!

三葉 まずは、「ブロークバック・マウンテン」との比較表をご覧ください。


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三葉 ストーリーをご紹介しましょう。……主人公は高校球児で、ポジションはピッチャー。

嘉村 ふむ。

三葉 彼は、将来プロ入りが期待されるような名選手ではありません。むしろヘタクソだった。しかし高校に入り、素晴らしく相性のいいキャッチャーと出会う。それが同級生のAくんです。2人は以心伝心。Aくんの素晴らしいリードに導かれ、主人公はメキメキと成長していく。

嘉村 ふむふむ。

三葉 そして3年生の夏、彼らはついに予選を突破する。最後の夏に、夢を叶えたのです。……ところで、彼らの学校の所在地は神奈川県ということにしましょうか。甲子園球場のある兵庫県やその近辺以外ならどこでもいいのですが……マンガやアニメの世界では「神奈川県代表 = 強豪」というのが定番です。

嘉村 確かに、「ドカベン」の明訓高校から、「テニスの王子様」の立海大附属中学まで、に神奈川県代表は強いですね。


三葉 ええ。ここではその伝統に従うことにして、さて。試合を前に、彼らはバスで兵庫県に移動します。その日はホテルに泊まり、翌日に備えるのですが……主人公は落ち着かない。緊張だろうか?高揚だろうか?あるいは、それ以外の何かだろうか?深夜、寝つけぬ彼は1人ランニングに出かける。

嘉村 ふむふむ。

三葉 すると、後ろから足音が追いかけてくる……Aくんだ。2人は黙って夜の街を走る。しばらくしてから、彼らは河川敷に寝転んで一息つく。星を眺め、「いよいよ明日だな」なんて話していると……ふいに、Aくんが主人公にキスをする。主人公は仰天する。Aくんが、主人公の口の中に舌を押し込む。一体何事か……と驚きつつも、体は素直だ。主人公は無意識の内にAくんを強く抱き締めていた。そして2人はセックスをする。

嘉村 なるほど。

三葉 翌日、2人は何事もなかったような顔をして試合に臨む。絶好調だ。素晴らしいピッチングにより、チームは勝利する。その日から彼らは毎晩河川敷に向かい、どちらともなく性行為に及ぶのですが……3回戦で敗北。そして帰りのバスの中、主人公が呟く「オレはゲイじゃない」。隣に座っていたAくんもうなづく「ああ。オレもゲイじゃない」。

嘉村 ほぉ。

三葉 甲子園で敗北し、彼らの夏は終わった。部活を引退し、主人公は就職活動を始める。キャッチャーは進学すると聞いたが……帰りのバス以来、彼らは妙に気まずく、言葉を交わすこともなくなっていた。そしてそのまま卒業してしまう。

嘉村 ふむふむ。

三葉 その後、2人はそれぞれの人生を歩みます。主人公は就職する。しかしすぐに辞め、フリーターになる。地元の友だちと集まって酒を飲んだり、カラオケに行ったりするのが日々の楽しみです。一方、Aくんは大学に進学。そして卒業し、そこそこ名の知れた会社に就職する。2人は、ごく普通の生活を送っている……ように見えた。しかし、何をしても物足りなく感じてしまう。一体なぜだろう?

嘉村 ふむ。

三葉 さて……あの甲子園の夏から7年後のある日、25歳になった主人公のもとに一通の手紙が届きます。「○○日の夜、あの河川敷で待っている。気が向いたら来てくれ」。送り主は……そう。Aくんです。

嘉村 いよいよ再会ですね!

三葉 ええ。2人は再会します。そしてキス、セックス。翌日には甲子園球場で高校野球を観戦。2人は「あのピッチャー、ヘタクソだなぁ。お前の方が100倍すごかったぜ」「昔の話だよ」「どうだ。キャッチボールでもしてみないか?」「……もう無理だよ」「そうか……」「……」「……」「なぁ、せっかく関西に来たんだし、たこ焼きを食いに行こうぜ」「たこ焼き?」「ああ。関西と言ったらたこ焼きだろ?あと通天閣ってのも見てみたいな」「ププッ。お前、昔よりガキになってないか?」「うるせぇな!」……なんて具合に数日間を共に過ごす。

嘉村 ふむふむ。

三葉 それ以来、彼らは年に数回の頻度で、甲子園球場の傍で密会するようになる。もちろん……家族や友人、職場に本当のことは言えません。「出張だよ」「野球部の連中と同窓会があるんだ」などと言って、あの河川敷へ向かうのです。

嘉村 なるほど。

三葉 一見すると彼らは幸福な時間を過ごしているようですが……じつは、そうとも言いきれない。まず、主人公。彼は「ゲイ = 普通ではない」という意識を強く持っており、自分とAくんの関係に罪悪感を抱いている。しかし、Aくんに会いした!そして、会えばセックスしたい!……その矛盾する気持ちに苦しんでいます。

嘉村 ふむ。

三葉 一方、Aくん。彼はより積極的です。主人公ともっと一緒にいたい。彼は、「一緒に暮らそうぜ」「甲子園球場の傍にアパートを借りてさ」「2人で小さな店を持つってどうよ!」と主人公を誘う。いまの生活をすべて捨てることも厭わぬ覚悟です。しかし主人公は「そんなことできるわけないだろ」。……Aくんはそのたびに深く傷ついていた。

嘉村 ふむふむ。

三葉 そんな生活が5年、10年と続き……ある日、Aくんが不意に死ぬ。彼の両親によると、Aくんは事故死だったとのこと。

嘉村 ふーむ……。

三葉 主人公はAくんの実家を訪れ、仏壇に手を合わせる。そして両親の許可を得てAくんの部屋を覗き……息をのむ!そこには、あの甲子園の思い出の品がズラリと並んでいた。記念写真。甲子園の土。彼らの活躍を報じる新聞記事の切り抜き。バット。ボール。ユニフォーム。リストバンド。黄色い押し花……河川敷に咲いていたメマツヨイグサだろうか。あの暑い夏から20年が過ぎようとしていたが、そうとは思えぬ眺め。時が止まっているように見えた。Aくんの魂は、いまもあの夏にあったのだ。……その時、主人公はふいに理解します。自分がゲイで、Aくんを愛していたことを。そして、Aくんも自分を愛してくれていたことを。彼はいま、ようやくありのままの自分を受け入れることができたのです。……で、おしまい!

嘉村 なるほど。

三葉 「ブロークバック・マウンテン」の主人公らが「ブロークバック・マウンテンで過ごしたひと夏」を忘れられなかったのに対して、「案①」は「『甲子園の夏』を忘れられない男たちの物語」というわけです。


案②


嘉村 続いて、「案②」にまいりましょう。

三葉 はい。「案②」は、「『ブロークバック・マウンテン』 ~『みんなで高校野球』編~」です。


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嘉村 「みんなで」……?

三葉 ええ。「ブロークバック・マウンテン」と比較すると、以下のようになります。


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嘉村 今度は、グループセックス!


三葉 ええ。「案①」が「主人公とAくんのラブストーリー」であるのに対して、こちらは「野球部員20人のラブストーリー」。つまり、甲子園での試合前に野球部員総勢20人でグループセックスに及び、そこから断続的に関係が続く物語です。

嘉村 ほぉ……。

三葉 何しろ20人ですからね。様々な人生がある。

嘉村 ええ。

三葉 「ブロークバック・マウンテン」や「案①」同様、主人公は「自分の性的指向(ゲイ&グループセックス)を受け入れられずに悩むキャラ」だとして……他に、「『オレたちは愛し合っているのに、年に数日しか一緒にいられないなんて!』と寂寥感に苦しむキャラ」、「『いまの生活を捨てられるヤツだけで集団生活をしよう!』と提案するキャラ」、「『何言ってんだ!20人全員が集まらないとダメだ!オレたちは20人で1つだろ……』と反対するキャラ」、「無理心中しようとするキャラ」、「カウンセリングを受けるキャラ」、「自殺しようとするキャラ」、「『AVに出演しよう!その金で共同生活するんだ!』と独断で仕事をとってくるキャラ」などなど……「禁断の愛」の内容を「グループセックス」にすることで、様々なキャラを登場させることができる。「群像劇版『ブロークバック・マウンテン』」なんて風に仕上げると面白くなると思うんですよね。

嘉村 確かに……結構面白そうかも!


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(担当:三葉)

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