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「悪の組織」が消える時、少年の夢が壊れる!!|『ライアー ライアー』(3)

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テーマ発表!!


 第1回第2回に引き続き、映画「ライアー ライアー」をベースに新しい物語を妄想します。

※「ライアー ライアー」のストーリーなどについては、第1回の記事をご参照ください。


妄想開始!


嘉村 「ライアー ライアー」は、嘘をつきまくっていたクソ男が、ある日突然嘘をつけなくなり、悪戦苦闘しつつ成長していくコメディですが、「設定を思いっきり変えても面白くなるのでは?」ということで……前回に引き続き、一体どんな物語にするといいかディスカッションしてまいりましょう!

三葉 承知しました。

嘉村 前回ご紹介したのは、「『ライアー ライアー』 ~『酒』編」、「『ライアー ライアー』 ~『アイドルの恋愛』編」の2案でした。


案③


嘉村 それでは「案③」にまいりましょう!

三葉 はい。「案③」は、「『ライアー ライアー』 ~『悪の組織』編」です。


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嘉村 悪の組織!

三葉 詳細をご説明する前に、「ライアー ライアー」風の物語を作る時に注意すべきポイントを振り返っておきましょう。


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三葉 ……ですね(より詳しくは第1回の記事で)。

嘉村 ええ。

三葉 さて、前回も申し上げた通り……「『嘘はいけない』といったありきたりな教訓に終始しない」のが、「ライアー ライアー」の特徴です。

嘉村 はい。

三葉 したがって、「『ライアー ライアー』をリスペクトした物語」を作るには、「完全な善ではないが、完全な悪でもないグレーなもの」をテーマに据える必要がある。

嘉村 ふむふむ。

三葉 そこで「案③」のテーマは……「悪の組織」!

嘉村 ふむ。

三葉 みなさんご存知の通り、「正義」とは「悪」があるから存在し得るものです。これは論理的に考えれば当然のことで……もしも世界から「悪」が消え去ったならば、「『悪』を倒す者 = 『正義』」も存在しようがありませんよね。

嘉村 確かに。

三葉 また、「悪」は「悪」でも、それが小物ではどうしようもありません。例えば、道に落ちていた100円をポケットに入れた少年がいたとして……彼に鉄拳制裁を加える男を「正義」と呼ぶでしょうか?

嘉村 うーむ。まぁ確かに、その少年は「悪」でしょうが……。

三葉 「正義」と名乗る以上、もっと本格的な「悪」を相手にしたいですよね。例えば「世界征服を企む巨悪」や「私欲のために無実の人びとを虐殺せんとする怪人」……それらを相手にしてこその「正義」じゃないですか!

嘉村 ふむふむ。

三葉 ということで、「案③」のストーリーをご紹介しましょう。……物語の舞台となる世界には、「世界征服を企む『悪の組織』」と、「それに対抗する『正義のヒーロー』」が存在します。

嘉村 なるほど。

三葉 さて、主人公は少年です。彼はヒーローのファンであり、ヒーローの勝利を願っている。

嘉村 ふむ。

三葉 しかしある日、ヒーローがボコボコに敗北。フィクションの世界では、「ヒーローの敗北」とは「ヒーローがレベルアップする機会」、あるいは「別のヒーローが登場する機会」であり、必ずしも世界の破滅を意味しているわけではありませんが……しかし、そんなことを理解し得ない純真な少年は悲鳴を上げる「もう止めて!せめて1か月でいいから……『悪の組織』なんて消えちゃえ!」。で、少年の願いは叶う。「悪の組織」は忽然と消えた。

嘉村 ほぉ。

三葉 翌日、人びとは平和を喜んだ。ヒーローは束の間の休息をとる。

嘉村 ふむ。

三葉 さらに翌日、お祝いムードが続く。ヒーローはじっくり体を休める。

嘉村 ふむふむ。

三葉 さらにその翌日、人びとは何だか物足りなさを覚えるようになる。また、ヒーローの体がなまり始める。

嘉村 おっ……。

三葉 さらにさらにその翌日、人びとはヒーローに声をかける「あのぉ……」「ええ、何でしょう?」「大変失礼ですが、土木工事を手伝ってもらえませんか?」。暇を持て余していたヒーローは喜々として協力する。彼の超パワーによって、工事はグングン進む。人びとは喜ぶ。感謝されればヒーローだって嬉しい「あの……明日は何時入りですか?」。

嘉村 ……。

三葉 少年は溜息をつく。彼が憧れていたのは、悪と戦うヒーローです。断じて、土木工事業者ではない!

嘉村 ふーむ……。

三葉 とまぁ、このように「『悪の組織』は害悪である。しかし、『悪の組織』が消滅すればいいというものではない」というエピソードを盛り込み、最終的には「『正義のヒーロー』が人びとを守ってくれるなら、『悪の組織』が存在してもいいよね」というところに落ち着く。これが「案③」のアイデアです。


案④


嘉村 続いて、「案④」にまいりましょう。

三葉 はい。「案④」は、「『ライアー ライアー』 ~『性風俗、アダルトコンテンツ』編」です。


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嘉村 ……性風俗、アダルトコンテンツ?

三葉 ストーリーをご紹介しましょう。主人公は20代の女性です。物語冒頭、彼女はめでたく結婚する。ラブラブの新婚生活が始まりますが……間もなく、彼女はショックを受ける!

嘉村 まさか……。

三葉 ええ、その通り!結婚して初めてわかったことですが……彼女の夫は、性風俗やアダルトコンテンツが大好きだったのです!

嘉村 ふーむ……。

三葉 夫は、毎日毎日風俗店に通う。トイレや風呂場にスマホを持ち込み、こっそりAVを視聴する。夜中に起き出して、アダルトゲームをプレイする。……主人公と夫は新婚らしく高頻度でセックスをしていましたが、それでも夫は性風俗やアダルトコンテンツを手放せぬ様子。

嘉村 ふむふむ。

三葉 主人公は涙を流して夫に問う「私に問題があるなら言って!」。しかし、夫は悲し気な顔で首を横に振る「そういうことじゃないんだよ」。

嘉村 ほぉ……。

三葉 主人公は、どうしていいのかわからぬ。事が事だけに、誰にも相談できず、彼女は1人悩む。そしてある日、流れ星に願いをかけた「お願い!せめて1年……いえ、3か月でいいわ。3か月くらい私だけを見て!」。

嘉村 ふむ。

三葉 かくして、主人公の夫は、超常的な力によって性風俗・アダルトコンテンツを絶つことになりました。……風俗店に入ろうとすると、突如体の毛穴という毛穴からとんでもない悪臭が吹き出し、出入り禁止になるとか。あるいはAVを見ようとすると、猛烈な腹痛に襲われるとか。

嘉村 なるほど。

三葉 こうして主人公は、夫を独り占めできるようになったわけですが……その結果、とんでもないことになる!

嘉村 ほぉ……と言うと?

三葉 じつは主人公の夫は、異常性欲者だったのです!

嘉村 ……。

三葉 ここには到底書けないようなハードで、スカトロで、倒錯的なプレイが大好物だった!

嘉村 ……。

三葉 しかし、主人公は常人です。彼女は、ごくごく常識的なセックスを望んでいる。主人公の夫が性風俗やアダルトコンテンツを手放さなかったのは、すなわち妻への愛ゆえだった。愛しているからこそ、異常な性欲を彼女に向けぬよう配慮していたのです。

嘉村 ふーむ。

三葉 しかしいま、性欲という性欲がすべて主人公に向かうことになった!主人公は、毎晩毎晩天国だか地獄だかよくわからぬところをさまよう。毎日のように新しい何かを開発される。嗚呼、強すぎる刺激!彼女のアイデンティティはいまや崩壊寸前である!

嘉村 えらいことだ……。

三葉 とまぁ、要するに「性風俗にしろアダルトコンテンツにしろ、絶対善とは言えぬものの、同時に絶対悪とも言えぬ」というところに落ち着く。これが「案④」です。

嘉村 なるほど。

三葉 以上、「『ライアー ライアー』をリスペクトした物語」のアイデアをご紹介しました!


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 「ライアー ライアー」の研究はこれで終了です。ありがとうございました。

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 最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。

(担当:三葉)

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